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エレクトリカルパレードやゴッドファーザーの曲じゃダメ? EVやHVの「接近通報音」の規定とは

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エレクトリカルパレードやゴッドファーザーの曲じゃダメ? EVやHVの「接近通報音」の規定とは

この記事をまとめると

■モーター走行ができる電動化車両は20km/hまでの走行時に音を出すことが義務化されている

どこが便利でどこが不便? 「EV乗り」がホントのところを語る!

■走行音は規定に適合して認可されたものであれば好きな音を選択してもよいとされている

■サイレンや警報音、動物の鳴き声、自然現象音などは不適当とされていてNGだ

電動車の低速走行時に走行音を出すことは義務化されている

ハイブリッド車やEVが低速で走っているときに、個性的な電子音が聞こえることを不思議に思った人も多いかもしれません。「昔からあんな音してたっけ?」「なんでせっかく静かなEVから音を出すの?」といった、さまざまな意見があると思います。

でも従来のガソリン車など内燃機関を搭載するクルマのエンジン音や走行音は、歩行者にとっては目で確認できない場所から近づいてくるクルマに気づくための要素ともなっており、ハイブリッド車やEVといった、エンジン音が出ず、走行音もほとんど出ないクルマの場合には歩行者が気付きにくく、実際に事故の危険性を感じた人や、「音がしなくて不安を感じたことがある」といった意見が自動車メーカーや自治体などにも寄せられるようになり、国土交通省がガイドラインとして対策を通達。徐々に自動車メーカーの対応も進み、現在では日本で販売されるすべての電動化車両のなかで、モーターのみによる走行が可能となっているクルマは、20km/hまでの走行時に音を出すことが義務化されています。

これは国土交通省の自動車局が2016年10月に道路運送車両の保安基準等の一部改訂を行い、その際に新型車は2018年3月8日から、継続生産車は2020年10月8日から、「ハイブリッド自動車等の車両接近通報装置」を義務化したためです。改訂前は、夜間や閑静な住宅街などで音を出したくない場合に、ドライバーが任意に音を消すことができるスイッチがありましたが、現在はEUを中心に日本を含め52カ国が加盟するWP29(国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム)の第168回会合で、新たに「静音性車両に係る協定規則(R138)」が採択され、そのなかで車両接近通報装置を停止させる機能の搭載が禁止されたため、音を消すことはできなくなっています。

ただ、この協定規則に定められた車両接近通報装置の性能要件には、細かな項目で音の設定があるのですが、その規定に適合して認可されたものであれば、ドライバーが好きな音を選択してもよいとされています。それなら、もしかして昔憧れたテレビドラマの「ナイトライダー」のメロディや、「ゴットファーザー」のテーマ、ディズニー好きなら「エレクトリカルパレード」の音などにしたら楽しそう! などと思いますよね。果たしてそれは可能なのでしょうか。

電動車の低速走行時の走行音には細かい規定が存在していた

静音性車両に係る協定規則にある条件をおおまかに紹介すると、まず10km/h及び20km/hでの前進走行時、及び後退走行時について、車両走行中心線から側方2.0m、地上高1.2mに設置されたマイクロホンで特性音圧レベル(dB)を測定し、周波数分析を行います。その際に装置から発せられる音が、協定規則(R138)で定められるoverall レベル及び1/3オクターブバンドごとのレベルを超えることが求められます。overall レベルは10km/hで50dB、20km/hで56dB、 後退時で47dBとなっています。周波数については、少なくともふたつのバンドで定められたレベルを超えることと、そのうちひとつ以上のバンドは中心周波数が1.6 kHz以下のバンドであることとされています。

さらに、速度に応じて周波数特性が変化することも求められ、発生する音のなかで、少なくともひとつの成分音が5~20km/hの速度域で1km/hあたり0.8%シフトすることという規定もあります。そのうえで、不適当とされる音も記載されており、「サイレン、チャイム、ベル及びメロディ音」「警音器の音」「鳴き声など動物や昆虫が発する音」「波、風及び川の流れなどの自然現象の音」「そのほか、常識的に車両から発せられることが想定できない音」に当てはまる音がNG。いやはや、細かいですよね。

そんなわけで、どうやら音量や周波数をクリアしたとしても、「ナイトライダー」のメロディなどは認可されそうもないことがわかります。残念ですが、そもそもこの車両接近通報装置は、歩行者に危険を知らせることが第一の目的のはず。とくに視覚に障害を持つ方からすれば、メーカーや車種ごとに違った音が鳴るのではなく、電動化車両=この音、という世界共通の音にしてもらったほうが、本来の目的に合っているのではないでしょうか。

とはいえ現状では、各メーカーが規定やメーカーポリシーに則ってさまざまな音を開発しています。先日発表されたメルセデス・ベンツのEV、EQSでは、「Silver Waves」「Vivid Flux」「Roaring Pulse(オプション)」という3タイプの音を任意で選べるようになっています。また、AMG 53 EQSでは「Authentic」「Performance」の2タイプがあり、「Performance」に設定しておくとドアを開け閉めしただけでもフォンッといった迫力のある音が響いて周囲の注目を集めました。

こうした次世代自動車と音の関係性はまだまだ始まったばかり。歩行者の安全を守りつつ、誰もが気持ちよく耳にできるような音が定着することを願います。

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