個性が明快になったエクステリア・デザイン
BMWのデザインというと、私がカーデザイナーになりたての頃はお手本であり、ベンチマークでした。当時、賛否両論あったクリス・バングル時代でしたが、それまでのコンサバティブなデザインからの変化は、他メーカーのカーデザイナーにも影響があるものでした。
【画像】BMWデザインの『攻めの姿勢』 画像はこちら 全19枚
ある意味カーデザインの先端だったBMWですが、ここ最近はプロポーション、ディテール共に、どうも『洗練さ』が足りないと感じていました。
しかし、今回解説する新型X3で、また新たなステージになった印象があります。
皆さんは、旧型X3がどのようなデザインだったかを明確に思い出せるでしょうか?
均整の取れたプロポーションやいかにもBMW的な比率の顔まわりなど、多くの方に『ハンサム』に映るデザインだった反面、とても従来的なデザインなので、歴代X3の中でもかなり地味な印象を持っていました。
しかし新型X3では、まずサイドシルエットの印象が個性的になりました。顔の厚さが増し、さらにリアゲートが立ち気味になったおかげで、旧型X3よりもノーズやルーフの長さが強調され、ボクシーとも言えるデザインになりました。
サイドシルエットだけで言うとハイパフォーマンスSUVである『XM』の印象に近づいたと思うのですが、荒々しいXMに対して、X3は洗練されていると思います。
従来のBMWとは異なる魅せ方
さらに面構成でもチャレンジをしています。
従来のBMWは、他のドイツ製ブランドと同様に一本の断面をドラッグしたような、動きの少ない印象のドア面だったのですが、この車は大胆な立体構成で、キャラクターラインでは無く、マツダのように『リフレクション』で魅せようとしています。マツダに比べて明快ではないのですが、従来のBMWとは明らかに異なるデザインです。
面のボリュームで魅せるデザインは『iX』も同様ですが、X3はリフレクションの変化を狙っている造形なので、より高度になった印象があります。
顔まわりの印象は、見方によってはファニーにも見えるバランスやグラフィックになっています。もちろん迫力もあるのですが、どこかフレンドリーな印象すらあります。この辺りは好みの分かれるところですが、威嚇するようなデザインが多い最近の顔まわりの中で、意義のあるデザインだと感じます。
トレンドから脱し、新しさを追求するインテリア・デザイン
X3は、インテリアでもチャレンジをしています。
最近のインテリア・デザインのトレンドといえば、横基調かつ薄いインパネです。従来的な価値観では、インパネの厚さや充実さでクルマの車格を表現していました。しかし現代は、横方向の広さを強調しつつ、空間に溶け込むようにデザインして、圧迫感を無くし、リラックスできるように仕立てているデザインが主流です。
それは時代の要望なのですが、その結果、どのメーカーも横基調で薄型のインパネを採用するようになり、デザインの新規性においてはやや停滞していた印象もあります。
それが新型X3ではトレンドに反し、インパネの厚みがしっかり感じられる造形になっています。
大きな塊をディスプレイ部でカットした基本造形は非常に明快で、その結果、助手席前は非常にボリューム感があります。これがある種の安心感のある空間になっていて、乗ると意外と居心地が良いんですよ。
しかも、ドアトリムにあるV字型の『光る華飾』により、横方向の広がりも感じさせています。この辺りは非常に上手いデザインだと感じました。
この光る華飾はアクリルの中にLEDを仕込んでいて、最近のBMWでよく採用されています。ただ7シリーズや5シリーズでは、トレンドの横基調デザインの中にこの光る華飾があるので、どこか派手で装飾が過ぎた印象を持っていました。
ですが、このX3になると、そもそも従来と異なった特徴的なデザインなので、この華飾もある種の説得力が感じられます。この辺りも好みがあると思いますが、従来のトレンドを変えてやろうというBMWデザインの『攻めの姿勢』が見えることが良いと感じました。
新型X3は、将来のBMWデザインを占うモデルか
前述の通り、ここ数年のBMWデザインは『洗練さ』が足りないと感じていましたが、もしかしたらそれらは新興国市場を念頭に置いたものかもしれません。
それまで一般的なユーザーがBMWに期待していたのは、スリークで走りが良さそうなデザインだと思いますが、それが新たな顧客を獲得するために、強さや奇抜さなど迫力重視のデザインに変わったのだと思います。
この変化は、全高が59mm高くなり、印象がガラリと変わった現行7シリーズ以降、5シリーズ、さらにはX2などで顕著になった印象があります。
しかし今後は原点回帰し、本質を問うデザインに戻るのではないかと思います。例えば2023年に発表されたコンセプトカー『Vision Neue Klasse』では、逆スラントしたノーズで伝統的なBMWを表現しつつ、車体全体としてはこれまでに比べ非常にシンプルで明快なシルエットや面構成で、かつグリルやランプなどグラフィックは必要最小限になっています。伝統あるキドニーグリルとヘッドランプを一体にした顔まわりは議論のあるところかもしれませんが、デザインの方向性を示す明快なメッセージが伝わるデザインです。
新型X3でも、端的にいうとコンセプトカー同様シンプルで明快なデザインになっており、またリフレクションの変化までを意識した造形は、従来のBMWに無いものです。それら点で、新時代のBMWデザインを示唆するものではないかと感じており、3シリーズなど今後出てくる車種に期待しているところです。
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