■1月2日にケン・ブロック氏がユタ州でスノーモビルの事故で死去
世界的ラリードライバーであり、合計再生回数数億回を誇る「ジムカーナ」シリーズの神業ドライブでもおなじみのケン・ブロックが1月2日午後、ユタ州においてスノーモビルの事故で亡くなりました。55歳でした。
【画像】世界を虜にしたケン・ブロック! 2022年に乗ったマシンを見る!(47枚)
ケン・ブロックのチーム『HOONIGAN』の公式インスタグラムで日本時間1月3日午前11時頃にお知らせがありました。
「本日、ケン・ブロックがスノーモビルの事故で亡くなったことは事実であり、大変残念でなりません。
ケンは我々にとっての洞察者であり、先駆者であり、象徴でありました。そして最も、父親であり、夫でありました。
彼の死は大きく惜しまれます。
また、残された家族のプライバシーを尊重するようお願いします。」(訳:加藤博人)
事故を取り巻く詳細はまだ明確ではないとのことですが、ケン・ブロック氏は数日前、自身のインスタグラムにユタ州にある牧場でスノーモビルをしていることや、これから雪がずっと降り続くであろうことを投稿していました。
ケン・ブロックは、ドリフトや四輪車での過激な走りがイメージされますが、実は幼い頃からスノースポーツに関しても卓越した才能を発揮しており、以前、筆者がインタビューした際にはスノースポーツに関して以下のように話してくれていました。
「僕が生まれたのは南カリフォルニアだったけど雪も降る結構な高地だったから、幼い頃からスケート、スノーボード、ダートバイク、そしてステージラリー(区間ごとにタイムを競う、競技としてのラリー)を楽しみながら育った。
15歳くらいから家の前の広場で親のカローラを乗り回して、良く怒られていたね。
僕が住んでいた場所はだいぶん田舎だったし、冬には雪が降る地域だったから雪の中で車を走らせることもあったよ」
■日本のクルマ文化を尊重していたケン・ブロック
ケン・ブロックはこれまで何度か来日しており、近年の東京オートサロンでは動画再生回数億回を誇る、「ジムカーナ」シリーズそのままの圧巻の走りを多くの来場者の前で披露してくれていました。
そして2023年。トーヨータイヤの招へいで3年ぶりに東京オートサロンにゲストとして来日することが発表されており、筆者含めて楽しみにしていたファンも多かったと思いますが残念ながらこんな悲劇が起こってしまいました。
以前、ケン・ブロック氏にインタビューした時に、「命の危険」について筆者はこんな話を聞いていましたのでここで紹介させていただきます。
-- パイクスピークをはじめ、数々の「極地」にて素晴らしい走りを披露していらっしゃいますが、これまで、命の危険を感じたことはありますか?
ケン:確かに危険な状況もあったよ。これからもあるだろうね(笑)。
標高4000M超のガードレールのない山道でのドリフトはもちろん、街中のビルにぶつかることだってあるだろうし、森の木にぶつかるかもしれない。
だから、常に安全には細心の注意を払っている。
管理されていない状況で無茶な走りをするのは絶対にダメ。
危険なことをやるならきちんと管理された場所で(道路を封鎖するなどして)挑戦するべきだね。
それは、自分自身の命に関わることでもあるし、誰かに危害を加えてしまう可能性だってある。
だから僕は普通の街の中では絶対にやらないよ。
自分は危険と感じていないけど、真似する人が現れて事故を起こしてしまうことは絶対に避けなくてはいけない。
-- 今後走ってみたい道、都市、クルマで挑戦してみたいことはありますか?
ケン:ぜひ、東京でやりたいね!ビルの谷間を走り抜けてみたいよ!
日本のクルマカルチャーは素晴らしい。独特の文化を持っている。独特の文化が育っている。
日本は島国で、それでいて世界有数の自動車生産国だから、世界に誇れる独特の自動車文化が育つ…そんな土壌があるんだろうね。
※ ※ ※
日本の若者のクルマ離れについて尋ねた際にはアツいメッセージもいただきました。
「日本のクルマはとてもユニークな歴史を持っているし、日本の自動車文化は世界にも例を見ない素晴らしい独自性を備えているんだよ。
せっかくそんなに素晴らしい、日本という自動車王国に生まれたのだから、クルマへのパッションを失くして欲しくないね」(ケン・ブロック)
※ ※ ※
日本のクルマ文化のすばらしさを語ってくれたケン・ブロック。
「いつか東京の街を走ってみたい!ビルの谷間を走り抜けてみたい!」という彼の夢は叶うことはなく、思いもよらないスノーモビルの事故で旅立ってしまいました。
心からご冥福をお祈りします。
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みんなのコメント
信じたくないのだが…
あんな一般人には無茶、無謀とも思えるような完璧なドライビングテクニックの持ち主が事故で亡くなるなんて・・・