今や高級ブランドとしての確固たる地位を確立しているレクサス。その歴史を紐解いてみると、日本車で高級車というブランディングを作っていくという、創造といった意味での困難があった。改めて、今や高い人気を誇っているレクサスブランドの始まりを、簡単にだが振り返ってみよう。
文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb
今や圧倒的な高級ブランドとなったレクサスのブランディング戦略が完璧すぎてた件
【画像ギャラリー】初期の発売されたクルマたちのおかげで今があるって考えると、感謝しかないよね(12枚)
■アメリカ市場での高級ブランド確立への挑戦
レクサスはこのLSから全ては始まった
レクサスブランドの誕生は1989年のアメリカであった。日本ではセルシオとして販売された初代LSがブランドのフラッグシップモデルとして位置した。LSは1989年1月のデトロイトモーターショーで発表された。
アメリカの伝統的なモーターショーであるデトロイトで発表された、そんな背景を見てもレクサスは相当アメリカ市場を意識していたのが分かる。
実は同年である1989年、日産もインフィニティブランドをアメリカで立ち上げている。1980年代後半と言うのは、アメリカ市場で安くて壊れない…そんなイメージの日本車が、更なるブランド力を付けようとしていた時期であったのだ。
その背景には日本車の輸出規制が背景にもある。輸出制限がかけられたことで、安価な日本車にアメリカではプレミアム価格が付けられるようになったのだ。それでも売れる。
そうなれば、ディーラーの利益が増えるだけ。ならばより高級なモデルを販売して、メーカーも利益を上げなければいけない。そんな事情もあったものと思われる。
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■引けを取らない高級車とブランディング
レクサス SC400。レクサスというだけでラグジュアリー感が増してくる
こうしてレクサスブランドが誕生した訳だが、単純に利益を求めて高価格なモデルを造る訳ではなく、高級モデルがひしめくアメリカ市場でもしっかりと評価される魅力的なモデルを造ること。
そしてブランディングの構築といった部分をしっかりと意識した戦略が練られた。
初代LSは当時のレクサスブランドの方向性を決めた1台と言える。米国トヨタはレクサスブランドの顧客ターゲットを「ヤッピー」と呼ばれる自力で富を築いた新しいタイプの富裕層に絞った。
この層は現実的で価値に敏感であるため、性能はメルセデスベンツSクラスと同等ながら、価格を1万ドル程度安く設定してLSを登場させたのだ。
またブランディングの構築という意味では、販売店にホスピタリティの徹底をした。これまでとは異なり高級車を買ってもらうという世界観を創造していったと言えるだろう。
こうしてLS登場の翌年となる1990年には、JDパワー社による自動車初期品質調査においてブランド別ランキングで1位を獲得。
1991年には、お客様満足度調査(CSI)と販売活動満足度調査でもトップを獲得し、業界初の3冠を獲得したのだ。
そして、SC400(ソアラ)やES300(ウィンダム)などを投入し、ラインアップを充実させて高級車ブランドとしての地位をアメリカで確率していった。
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■日本やヨーロッパ市場でもブランドの進化を続けた
こちらが初代 RX。高級クロスオーバーSUVの始まりだ。
アメリカで高級ブランドとしての地位を確立したレクサスは、1998年にRX(ハリアー)を投入し、高級クロスオーバーSUVという新たなジャンルを創造した。2005年からは日本市場でもレクサスブランドが導入された。
しかし、日本市場やヨーロッパ市場では当初、レクサスブランドはヨーロッパの伝統的なプレミアムブランドに押されていた形であった。
そんな状況を打破するために、スポーツブランド「F」の確立やモータースポーツへのレクサスブランドの参戦などが積極的に行われた。
こうしたアメリカ市場だけに満足しない、たゆまぬ努力のおかげで世界的に高級車ブランドとして認められるようになっていったのだ。
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みんなのコメント
そこそこ世界で認知され、富裕層にもユーザーが増えてるのは確かですね。
成功の範囲じゃないかな。
でもそれでいい。見栄を張りすぎず気軽に所有できて気楽に乗れる。適度な高級車というのもアリ。