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電動パーキングブレーキの採用が進む理由とは?

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電動パーキングブレーキの採用が進む理由とは?

今、多くの新型車に搭載が進む電動パーキングブレーキとは? 世良耕太が解説する。

電動パーキングブレーキの仕組み

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電話の「ダイヤルをまわす」や、テレビの「チャンネルをまわす」、切符に「ハサミを入れる」と同様、「サイドブレーキを引く」という表現も、世代によっては通じなくなるかもしれない。

パーキングブレーキをかけるのに相変わらず“引く”行為が必要なことに変わりはないが、電動パーキングブレーキの登場と普及によって、下に伸ばした腕を鋭角に折り曲げる必要はもはやなく、人差し指をほんの少し動かすだけで済むからだ。

電動パーキングブレーキ(Electric Parking Brakeの頭文字をつなげて「EPB」と表現することも)は、手で引くタイプのパーキングブレーキ(このタイプを「サイドブレーキ」や「ハンドブレーキ」とも呼ぶ)や足踏み式のパーキングブレーキを電動式に置き換えたものだ。

手動式や足踏み式のパーキングブレーキは、レバーを引いたり、ペダルを押し込んだりすることでワイヤーが巻き取られ、後輪のブレーキユニットに取り付けられたパーキングブレーキが機能する仕組みだ。停車時や、エンジンを止めてクルマから離れるときに、クルマが勝手に動き出さないよう保持しておくための機構である。MT乗りにとっては、上り勾配で発進する際にクルマが後退しないよう止めておくためのデバイスにもなる。

電動パーキングブレーキは、手動でワイヤーを引く行為をモーターの動きに置き換えたものだ。シートのスライドやリクライニングを手動で行うか、電動で行うかの違いと似たようなものである。多くのクルマは、シフトレバーの近くにある、“P”のスイッチを指で軽く引き上げるだけで操作は完了。これで、パーキングブレーキがかかった状態になる。解除する場合は、スイッチを押し下げればいい。

便利なオートブレーキホールド機能

電動パーキングブレーキが手動式と異なるのは、多機能な点だ。手動式/足踏み式パーキングブレーキの場合は解除する際、ブレーキをかけるときと同様に手または足を使って動きの大きい、そして力の要る操作をしなければならない。

電動パーキングブレーキの場合は、Dレンジ(またはRレンジ)に入れたり、アクセルペダルを踏んだりすると自動的に解除される場合が多い。パーキングブレーキをかける必要もなく、エンジンストップボタン(エンジンを始動したり停止したりするのに、「キーを回す」こともなくなってきた)を押すと自動でパーキングブレーキがかかる(機能や操作方法はメーカーや車種ごとに異なる。以下同)。

オートブレーキホールド機能を使えば、信号待ちなどでの停車時にブレーキを踏みつづけている必要がなくなる。パーキングブレーキ・スイッチの後方に「AUTO HOLD」と書いたスイッチがある。エンジンもしくはシステム始動後にこれを押しておくと、ブレーキペダルを踏んで停止したとき、自動でパーキングブレーキがかかる。メーターに「HOLD」の表示灯が点灯していれば、ブレーキペダルから足を離してもパーキングブレーキが自動でかかってクルマが勝手に動かないよう保持してくれる。この機能、使ってみると、ブレーキペダルを踏むのに結構大きなエネルギーを使っていることに気づく。

アクセルペダルを踏み込むと自動的にパーキングブレーキが解除されるのは、電動パーキングブレーキを通常どおり作動させたときとおなじ。負荷が軽減されるので、信号待ちだけでなく、渋滞時にも便利な機能だ。個人的には、1度使ったらやめられない機能だと思う。面倒臭がらず(怖がらず?)に1度試してみてはいかがだろう。

メリットは?

電動パーキングブレーキのメリットは、自動機能を活用することにより、パーキングブレーキのかけ忘れや、戻し忘れを防止できることだ。手引き式のパーキングブレーキは力の弱い人にとっては難物で、クルマを固定しておくのに十分なブレーキをかけられない場合がある。電動パーキングブレーキなら、その心配は要らない。力に自信のある人にとっても、間違いなく運転負荷の軽減につながる。また、車両デザイン側にとっては、パーキングブレーキのレバーが不要になるため、運転席まわりのデザイン自由度が上がる。

電動パーキングブレーキの採用車種が増えているのは、上記のメリット以外にも理由がある。全車速追従機能付きクルーズコントロールに、電動パーキングブレーキが欠かせないからだ。「全車速~」を作動させているときに先行車が停車した場合、自車も停止させる必要がある(そうでないと衝突してしまう)。停止後に先行車が発進するまで止まっている間、ドライバーにブレーキを踏んでもらっては利便性を損なうので、自動で電動パーキングブレーキを作動させてクルマを停車させておくシステムとするのが一般的だ。

全車速追従機能付きクルーズコントロール(ステアリング・アシスト機能とセットになっている場合が多い)はとくに近年、クルマの商品力を高める有力なデバイスになっている。見方を変えれば、電動パーキングブレーキの採用が増えているのは、全車速追従機能付きクルーズコントロールの採用が増えているから、と理解することもできる。

そう考えると、将来は採用例が増えこそすれ、減る方向に推移するとは考えにくい。電動パーキングブレーキの採用による数少ないデメリットは、サイドブレーキを引いてリアをスライドさせるテクニックが使えなくなることぐらいか……。そんなことを残念がるのはごく少数かもしれない。

ちなみに、走りに振った新型GR 86/SUBARU BRZは前型と同様、電動パーキングブレーキではなく、サイドブレーキを採用しているのでご安心を。

文・世良耕太

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みんなのコメント

13件
  • バッテリー上がりで移動させる場合にパーキングブレーキの手動解除はめんどくさいですけどね。
  • ブレーキ引いて遊べなくなった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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