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日本製EVのbZ4Xとソルテラは売れるのか? 売れると日本のEV環境は変わるのか?

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日本製EVのbZ4Xとソルテラは売れるのか? 売れると日本のEV環境は変わるのか?

 トヨタ&スバルの肝いりとなる量産型EV、bZ4Xとソルテラの2台。そもそも売れるのかどうかの見通しに加え、補助金や充電環境(戸建て住宅ではなく、特に集合住宅の)、そして人々の意識はこれまでからどのように変わっていくのだろうか。国沢光宏氏がレポートする!

文/国沢光宏、写真/奥隅圭之、平野 学、ベストカー編集部、日産

日本製EVのbZ4Xとソルテラは売れるのか? 売れると日本のEV環境は変わるのか?

■トヨタのbZ4XはサブスクのKINTOのみで展開

トヨタbZ4XはサブスクのKINTOでの展開となる。1カ月平均でKINTOは2000台ほどだが、果たしてどれほど上乗せできるのかは未知数だ

 受注開始まで秒読み段階となってきたトヨタとスバル共同開発のbZ4X&ソルテラながら、果たして売れゆき好調という状況になるだろうか。はたまた圧倒的な販売力を持つトヨタの参入で日本の電気自動車を取り巻く環境が変化するだろうか。一般メディアもいろいろな意味で注目している様子。専門分野から売れゆきを分析し、電気自動車の普及開始につながるかどうか考察してみたい。

 まず売れるかどうか、ということだけれど、すでにbZ4Xは「KINTO」というトヨタが本腰を入れて始めたサブスクリプション(毎月の金額に車両使用料や任意保険などを含むリースのようなもの)のみの扱いとしているらしい。

 つまり、販売しない、ということ。2022年における生産可能台数は5000台程度と言われており、支払い金額が妥当ならトヨタの営業力からすると難しくない数字だと思う。

 という声がある一方、現時点でKINTOの契約台数は1カ月平均で2000台ペースと言われている。そこにbZ4Xを1000台上乗せできるのか、という意見も出ているようだ。

 専門家から見たらどうかと聞かれたら簡単だ。価格次第です。bZ4Xの車両価格は540万~650万円といったあたりだと考える。補助金85万円を引くと450万~560万円で、アルファードやハリアーの上級グレードと同等。

 450万円のアルファードやハリアーの場合、KINTOだと月額6万円前後。現金で購入し、5年乗って手放すと、月あたりの金額は5万円を下回るだろう。5万~6万円と考えれば間違いなし。bZ4Xがこの金額に近いなら5000台なんて難しくない。

■焦点となってくるのは残価設定だが……

アルファードやハリアーよりやや下回るKINTOでの月額5万円前後ならば充分に年間5000台は見込めると国沢氏は指摘する

 気になるのはbZ4Xの残価設定をどのくらいにするかです。当然ながら3~5年後の下取り相場など予想できない。日産リーフなんか厳しい状況だった。

 3~5年後にはbZ4Xより優れた性能を持つ電気自動車が出てくるかもしれない。となれば中古車相場だってガタガタになる。リスクを考えたらbZ4Xの残価はアルファードやハリアーのように高くできないです。

 5年後の残価を100万円としたなら、毎月の支払い金額が9万円近くになるだろう。普通の人だとbZ4Xに乗ろうとは思わない額だ。電気自動車好きの私だって無理。

 逆にトヨタが電気自動車の普及推進活動費だと考え、残価設定をアルファードやハリアーと同等にしたら、ランニングコストの低さ(月に1000km走るならハイブリッド車より7000円くらいエネルギーコスト低い)もあって順調な契約台数になると思う。トヨタの営業力を持ってすれば5000台くらい契約しちゃうかもしれませんが。ただ、割高なら2023年以降相当厳しいと予想します。

■スバルのソルテラは一般販売されるが、その雲行きは怪しそう

KINTOでの展開となるbZ4Xとは異なり、スバルソルテラは一般販売される。実用的なトヨタ車といった出来栄えとなっており、ユーザーに対して強烈にアピールするポイントが薄い点が気になる

 方や、販売すると言われているソルテラの売れゆきやいかに。電気自動車の、いわゆるアーリーアダプター(新しいものを率先して購入する人たち)はリーフを買って相当疲弊している。日産によればリーフからARIYAに乗り替える人も予想していたよりずっと少ないそうな。85万円の補助金が出るとは言え、3~5年後のリセールバリューが読めないソルテラに450万円以上出す人って多くないと思う。

 しかもbZ4Xとソルテラは光り輝く魅力度を持っていないという点で厳しい。開発チームも「実用的な電気自動車を作りました」と言っているとおり、実用車です。豊田章男体制になる前のトヨタ車の如く80点主義の電気自動車なのだった。同じ価格帯のアイオニック5に乗ると、魅力度の差に愕然とするほど。bZ4Xとソルテラにクルマ好きのサイフをこじ開けるパワーはない。

 クルマ好きから興味を持ってもらえないとすれば、割高&実用性でハイブリッド車に勝てない電気自動車に乗る人など少数派だと考えます。何より「スバルらしいか?」と聞かれたら「う~ん!」。尖っていないし、水平対向でもない。アイサイトだってなし。どこがスバルかと聞かれたら、なかなか答えにくい。発売当初は相応の受注を取れると思うが、継続して売れるかどうかは難しいだろう。

■EVの新時代を切り開くのは日産サクラか

日産の新型軽EV、サクラがEVの新時代を切り拓くモデルになる可能性が高い(写真は2019年の東京モーターショーで公開されたコンセプトモデルのIMkコンセプト)

 ということで、bZ4Xとソルテラに現在の電気自動車を巡る環境を変えるパワーは期待できないと予想している。残念ながら高価だし、クルマとしての魅力を追求していないため華を持っていない実用車だし。数年後はさらに高い性能を持つ電気自動車が出てくることも容易に考えられるだろう。すでに韓国車に代表される新興勢力に勝てていない点も厳しいところ。

 日本の電気自動車の普及開始のきっかけになるとすれば、bZ4X&ソルテラじゃなく、間もなく登場予定の日産サクラ(仮称)と三菱自動車の軽電気自動車になるそうな気がする。補助金を使って180万円を下回る金額を付けてきたらヒットを飛ばすんじゃなかろうか。日本の電気自動車を巡る環境を替えようとするなら、サクラのようなヒット車が3~4車種出てこないと難しい気がします。

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みんなのコメント

13件
  • トヨタ「うちはキントで様子見、ギャンブルはお前らスバルの仕事な?」
  • 一番の問題は、この車が売れなくても、トヨタにはさして問題ではないというところだとお思う。
    欧州でBEV化への動きが強まれば、今の投資は別に無駄にはならないし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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