最近はコンパクトカーの人気が高い。販売比率は乗用車全体の26%を占めて、軽自動車を除いた小型/普通乗用車に限れば40%に達する。
人気を高めた要因は2つある。まずは内外装から走りまで、コンパクトカーの質が高まったことだ。
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2つ目は、安全装備、運転支援機能、環境性能の向上などにより、クルマの価格が2000年頃の1.2~1.4倍に値上げされたこと。平均所得は20年前よりも下がっているため、小さなクルマに乗り替えるユーザーが増えた。この影響でコンパクトカーの売れ行きも伸びている。
コンパクトカー人気の原動力はハイブリッドだ。主力車種の日産 ノート、トヨタヤリス、ホンダ フィットは、いずれも2020年に登場したから設計が新しく、全車ハイブリッドを用意する。ノートではノーマルエンジンを選べず、e-POWER(ハイブリッド)のみの設定だ。
このコンパクト3強のハイブリッド車におけるベストグレードは? なかでも最も買い得な1台と合わせて解説したい。
文/渡辺陽一郎 写真/編集部、TOYOTA、NISSAN、HONDA
【画像ギャラリー】どれを買う? 本稿で紹介したヤリス・ノート・フィットの内外装を比較!
コンパクトの“3強”はHVの買い得感が極めて高い
ノートe-POWER、ヤリスハイブリッド、フィットe:HEVのベストグレードはどれか?
ヤリスとフィットではノーマルエンジンも選べるが、ほかの上級カテゴリーに比べると、ハイブリッドを割安に抑えた。
ミドルサイズ以上のミニバンやSUVでは、ハイブリッドの価格はノーマルエンジンよりも40万~70万円高いが、ヤリスは売れ筋の「G」で見ると1.5Lノーマルエンジンに対して37万4000円の上乗せだ。
フィット「HOME」も、ハイブリッド(e:HEV)と1.3Lノーマルエンジンの価格差を34万9800円に収めた。
しかもこの価格差で、コンパクトカーのハイブリッドは装備を充実させている。ヤリスハイブリッドの場合、「G」以上であれば、ノーマルエンジンの同グレードが1万6500円でオプション設定するバックガイドモニターを標準装着する。ウインドウのIRカット機能も充実するから、ハイブリッドの価格が37万4000円高くても、実質的には35万円まで縮まる。
購入時に納める税額もハイブリッド「G」は、2020年度の実績で5万円少々安いため、最終的なノーマルエンジンとハイブリッドの差額は、「G」同士で30万円に収まる。
フィットも同様だ。「HOME」ではハイブリッドがノーマルエンジンに比べて34万9800円高いが、ハイブリッドにはUSBジャックや本革巻きステアリングホイール&ATレバーなども加わる。そうなると実質差額は32万円だ。ハイブリッドは税額も4万円少々安いから、最終的な差額は28万円まで縮まる。
この28万~30万円の最終差額を燃料代の節約で取り戻せるのは、ハイブリッドの燃費が優れたヤリスで11万km、フィットでも13万kmだ。しかもハイブリッドは、加速が滑らかで静粛性も優れるから、走行性能や快適性でもメリットが得られる。
そのために走行距離の短いユーザーがハイブリッドを選ぶこともあり、ヤリスでは全体の46%をハイブリッドが占める。フィットでは60%以上がハイブリッドだ。
そこでノートe-POWER、ヤリスハイブリッド、フィットe:HEVについて、それぞれの買い得グレードをガイドしたい。
ノートは装備を考えると最上位グレードがオススメ!
ノートe-POWER グレード:X/全長4045×全幅1695×全高1520mm/価格:218万6800円
まずノートe-POWERでは、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなど、運転支援機能のプロパイロットを装着することを前提に考えたい。ヤリスハイブリッドやフィットe:HEVでは、運転支援機能が全グレードに標準装着されるからだ。
ノートではプロパイロットがセットオプションに組み込まれ、これを装着できるグレードは「X」(218万6800円)のみだ。
そして、ノートのプロパイロットはカーナビ情報を利用して制御されるから、必然的にカーナビもセットオプションに含まれる。液晶式インテリジェントルームミラーなども一緒に装着されるため、プロパイロットを含むセットオプション価格は42万200円に達した。
さらにノートでは「X」でもLEDヘッドランプがオプション設定で、ハイビーム使用時に相手方の眩惑を抑えるアダプティブ機能も備える。
そのためにオプション価格は9万9000円になり、以上を「X」の車両価格と合計すると270万6000円だ。高額だが、これがノートのベストグレードになる。
ヤリス&フィットHVのオススメグレードは?
ヤリス グレード:ハイブリッドG/全長3940×全幅1695×全高1500mm/価格:213万円
次はヤリスハイブリッドを考える。価格の最も安い「X」は、LEDヘッドランプをオプションでも装着できない。
そこで中級のハイブリッド「G」(213万円)を選び、オプションのLEDヘッドランプ(8万2500円)、先に述べたノートのセットオプションにも含まれるブラインドスポットモニター&リヤクロストラフィックオートブレーキ(10万100円)、パノラミックビューモニター(3万3000円)を加える。ハイブリッド「G」の車両価格と合計すれば234万5600円だ。
フィットe:HEVの場合は、価格が一番安いベーシックでは充電用USBジャックなどが装着されず装備内容が物足りない。そこでe:HEV「HOME」(206万8000円)を選ぶ。
これにナビ装着用スペシャルティパッケージ(4万9500円)、ディーラーオプションの8インチインターナビ(14万3000円)を加えると、合計226万500円になる。
最も買い得なのはフィットe:HEV「HOME」
フィット グレード:e:HEV「HOME」/全長3,995×全幅1695×全高1515mm/価格:206万8000円
以上3車種のベストグレードの中で、最も買い得なのはフィットe:HEV「HOME」だ。ブラインドスポットモニターなどが用意されないため、安全装備は物足りないが、その分だけ価格も安い。
しかもフィットは、全高を立体駐車場が使いやすい1550mm以下に収めたコンパクトカーでは、車内が一番広い。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ半に達する。ミドルセダン並みの余裕で、ノートの握りコブシ2つ分、ヤリスの1つ少々を上まわる。
ヤリス、ノートに比べてフィットの室内は広く設計されており、荷物を多く積むことができる。写真のように背の高い荷物も車内の中央に積むことができる
燃料タンクを前席の下に設置したから荷室の床も低く、後席を畳むとボックス状の広い空間になる。後席の座面を持ち上げて、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。価格の安さに加えて、車内が広く、荷室のアレンジも豊富だから、3車の中で最も買い得なのはフィットe:HEV「HOME」だ。
2位はヤリスハイブリッド「G」。後席と荷室はフィットやノートよりも狭いが、衝突被害軽減ブレーキの機能は充実する。ブラインドスポットモニターなどの安全装備もオプション装着できる。
ヤリスハイブリッド「G」のWLTCモード燃費は35.8km/Lだから、ノート「X」の28.4km/L、フィットe:HEV「HOME」の28.8km/Lと比較しても良好だ。ヤリスハイブリッドは、日本で購入可能なハイブリッドの中で、燃費性能が最も優れている。
このようにヤリスは買い得感が強いが、ハイブリッド「G」に、オプションの15インチアルミホイール&タイヤ(5万9400円)まで加える時は、上級のハイブリッド「Z」を選ぶ。
ハイブリッド「Z」は、15インチアルミホイール&タイヤとLEDヘッドランプを加えた上で、価格を割安に抑えたからだ。つまりヤリスハイブリッドでは、アルミホイールを装着しない場合はハイブリッド「G」、装着するならハイブリッド「Z」という選び分けになる。
そして15インチタイヤは、ハイブリッド「G」に標準装着される転がり抵抗を抑えた14インチに比べると、乗り心地が少し向上する。
3位はノートだ。プロパイロットを含んだセットオプションが42万200円と高額で、LEDヘッドランプもオプションだから、ノート「X」の総額は270万6000円に達した。今後はプロパイロットやLEDヘッドランプなど人気の装備を過不足なく標準装着して、価格を割安に抑えた特別仕様車を追加するだろう。
ノートe-POWERを割安に買いたい場合の方法は?
ノートを価格を抑えて購入するには、ベーシックグレード「S」がオススメ。価格を202万9500円(プロパイロット搭載なし)まで抑えることが出来る
現時点で価格を抑えるノートの買い方としては、ベーシックな「S」(202万9500円)に、LEDヘッドランプや後退時の安全性を高める装備を組み合わせたセットオプション(24万5300円)、ディーラーオプションのカーナビ(14万8000円)を装着する方法もある。プロパイロットは得られないが、車両価格まで含めた総額を242万2800円に抑えられる。
この金額であれば、先に述べたヤリスハイブリッド「G」の総額になる234万5600円、フィットe:HEV「HOME」の226万500円に近づく。こういった買い方をするユーザーも多く、プロパイロットは注目の装備なのに、ノートの装着比率は41%と低い。
ノートは、機能や装備と価格のバランスではライバル車に比べて割高だが、走行安定性と乗り心地は熟成され、取り上げた3車種の中では運転感覚が最も楽しい。
グレード構成を高価格のe-POWERに限定して、ノーマルエンジンを用意しなかったから、内装も上質に仕上げられた。後席も相応に広いので、ノートには4名乗車で使えるプレミアムコンパクトカーの雰囲気がある。
いっぽうフィットe:HEVは、後席や荷室が広くて視界も良く、価格は割安だからファミリーユーザーにピッタリだ。
ヤリスハイブリッドは、軽快な運転感覚が特徴で、燃費が抜群に優れているため、走行距離の伸びるユーザーにも適する。この3車種を試乗して、ご自分にベストな1台を見つけていただきたい。
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みんなのコメント
その金額でコンパクトカー買わん。
だったらコンパクトSUV買える。