当時は最も快適に移動できた1台 故障は少なめ
シンプルなシトロエン2CVをベースに、パワフルなエンジンと豪華な内装を与え、ワンランク上のモデルを狙ったアミ6。当初のエンジンは空冷の水平対向2気筒で、点火タイミングを司る複雑なディストリビューターは存在せず、機械的な故障は少ない。
【画像】2CVとIDの間を埋めた変顔! シトロエン・アミ 同時期の小型ファミリーカー 最新アミも 全145枚
コイルスプリングを採用した独立懸架式サスペンションは、相互接続され、抜群の乗り心地を実現。シートもふかふかで、現役時代は最も快適に移動できるクルマの1台といって良かった。
ホイールは軽量化が図られ、ブレーキはハブ側ではなく、ドライブシャフト付け根側のインボード・レイアウト。バネ下重量も抑えられている。ラジアルタイヤと油圧ブレーキという仕様は、当時の小型ファミリーカーとしては先取りの装備だった。
またステアリングラックは、先進的なラック&ピニオン式。トランスミッションは、変速しやすいオールシンクロの4速マニュアルが組まれる。車内のベンチレーション機能に優れ、ヒーターも備わった。
インテリアは、シトロエンDSとイメージが重なるシングルスポークのステアリングホイールが新鮮。ダッシュボードから伸びるシフトレバーを動かせば、古いシトロエンに乗っているという気分が高まる。ハンドブレーキレバーは、アンブレラ・スタイルだ。
アキレス腱はボディやシャシーのサビ
1960年代には、最も個性的な見た目のファミリーカーといえたシトロエン・アミ。1970年代に入ると、フェイスリフトを受け少し癖は抑えられている。
アキレス腱といえるのが、ボディやシャシーのサビ。使用された鋼板は薄く、防錆処理も充分とはいえず、非常に錆びやすいのが悩みだろう。また、2CVをアップグレードするため、部品取り車になることも多かった。
流通する部品は少なく、ボディパネル自体は出てくるものの、トリム類は入手が難しい。複雑なパネル面は修復しにくく、凹んだ部分へ大量にパテが盛られている場合もある。
エンジン音がガタガタと大きく、パワー不足を感じる場合は、ピストンリングの交換やバルブ調整を検討したい。アミ・スーパーが積む4気筒エンジンは力強いが、現存数は非常に少ない。
フロントサスペンションは、頻繁なメンテナンスが必要。キングピンは劣化しやすく、初期型では1600km毎のグリスアップが指定されていたほど。
ブレーキは、確実に停車できて正常。フロントドラムのフルード量のほか、シリンダーやピストンの固着がないか確かめたい。多くは2CVと共有するため、交換部品は探しやすいはず。
アミ6では特に、味わい深く小さなエンジンの限られたパワーを使い切る、という走りに深い充足感を得られる。質素なフレンチ・クラシックを運転する、他にはない面白さを満喫できるはず。
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
フロントパネルにサイドシル、フロアパン、シャシーの上面、荷室の床面、バンパーマウント、前後のフェンダー、ドアの底面などは特に錆びやすい。エンジンルームを仕切るバルクヘッドや前後のピラー、ルーフとそれを取り囲むリムの状態も要確認。
ルーフパネルは、サルーンのベルリンではグラスファイバー製。ステーションワゴンのブレークではアルミ製となる。化粧トリムは、部品が出てこない。
エンジン
水平対向2気筒エンジンでは、ピストンリングの破損と、点火プラグホールのネジ山の欠損に注意したい。アミ・スーパーが積む4気筒エンジンは、かなり珍しい。
1968年式以前のアミには、シングルチョークのソレックスキャブレターが載る。経年劣化で摩耗し、不調を起こすことがある。リフレッシュは可能だ。
ボンネット内にスペアタイヤが載っている。オリジナル仕様の、125 R15のミシュランX タイヤは現在でも入手できる。
内装
柔らかく肉厚なシートと、スタイリッシュなドアパネルなどが、シックなフランス車感を醸し出す。しかしシートカバー以外、内装の交換部品を見つけるのは難しい。
サスペンションとブレーキ
キングピンの摩耗や固着、スプリングとダンパーのサビ、異音がないか確認したい。ブレーキはインボード構造で、アミ6では前がドラム、8とスーパーではディスクとなる。
トランスミッション
シフトパターンは通常と異なるが、すぐに慣れるだろう。水平対向2気筒エンジンの場合、トップはオーバードライブになる。
ギアの回転を調整するシンクロメッシュの不調で、変速時にギアが噛まないか試乗で確かめる。特に3速が弱いようだ。ベアリングの異音や摩耗にも注意したい。
シトロエン・アミ・シリーズのまとめ
個性的なスタイリングをまとった、驚くほど快適なコンパクトカー、シトロエン・アミ。6と8、スーパーでは性格が大きく異なる。ステーションワゴンのブレークの方が奇抜さは薄く、実用性で勝る。関心を抱いたら、自分にピッタリの1台を探したい。
とはいえ、アミ自体が珍しい。180万台以上が生産されたが、残存例は少なく、一部は交換用部品の入手も難しい。レストア前提で購入しても、必要な部品が揃わない可能性もある。できるだけ状態の良い例を選ぶのが賢明だろう。
良いトコロ
機械的にはシンプルで、2CVと多くを共有するため、エンジンやシャシー関係の部品は探しやすい。状態次第では、時間をかけてレストアするという楽しみもある。
良くないトコロ
錆びやすく、ボディや内装のトリムは入手困難。状態の良くないアミ・シリーズは、金食い虫になる可能性も・・。
シトロエン・アミ(1961~1979年/英国仕様)のスペック
英国価格:1465-1670ポンド(1976年時)
生産数:184万396台
全長:3960-3980mm
全幅:1520-1550mm
全高:1485-1500mm
最高速度:104-144km/h
0-97km/h加速:16.4~34.3秒
燃費:9.9-17.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:660-769kg
パワートレイン:水平対向2気筒602cc 自然吸気/水平対向4気筒1015cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:24ps/4750rpm-53ps/6000rpm
最大トルク:4.0kg-m/3000rpm-7.1kg-m/3500rpm
ギアボックス:4速マニュアル(前輪駆動)
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みんなのコメント
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一応身に着けたほうがいいだろうな。
ミーティングに出た時、これでエンジンかければ
一躍注目を浴びること間違いナシ笑