ヤマハはMotoGPの2024年シーズンにおいてコンストラクターズランキング4位。表彰台はゼロと苦しい状況が続いている。ヤマハ内部としても、開発に対する姿勢にも大きな変化があった1年間だったようだ。
MotoGPはこの数年間、ドゥカティによってシリーズが支配されている状況にある。かつては日本メーカーが勝利を独占していたが、今は全く太刀打ちできておらず、ドゥカティだけでなくアプリリアとKTMら他の欧州勢にも水を開けられている。
■ヤマハ増田PLに訊く“どん底”2024年MotoGP「マシンの力不足が苦戦の全て……ライダーには感謝しかない」
ヤマハ、そしてホンダの大苦戦ぶりからMotoGPは、戦力均衡に向けて新たな優遇措置制度(コンセッション)を2024年から導入。ヤマハとホンダの2社は開発における自由度が大きく高められることになった。
通常なら禁止されるシーズン中のエンジンのアップデートや、エアロの変更回数の増加、レギュラーライダーによるテスト許可と自由なプライベートテスト実施などがこの優遇措置のメリットで、これらを活かしての日本メーカー復活に対する期待の声もあった。
しかし2024年シーズンもホンダとヤマハは苦戦。ヤマハはコンストラクターズランキングでは5メーカー中4位で、チームランキングは8位………ファビオ・クアルタラロは2023年よりも獲得ポイントが減りランキング13位、新加入のアレックス・リンスも良いところは見せられず18位という結果だった。
しかしヤマハのMotoGPプロジェクトリーダーである増田和宏は2024年シーズンを振り返り、数字上の結果はともかく、ヤマハ内部では改革が進んだ1年間でもあったという認識を示し、今後のさらなる改善に期待を寄せている。
12月にメディアの取材に応じた増田プロジェクトリーダーは、2023年の結果から2024年のマシン開発をどう進めてきたかを問われると、こう語った。
「昨シーズンからどこにパフォーマンスの問題があったのかと言うと、やはり加速の領域ですね。ロングストレートの(加速時の)ウイリーから、我々がエンジンリミットと呼んでいるエンジンのパフォーマンスがものを言う領域において、他社に対してのビハインドが明らかにありました。そこを我々の重点項目として開発を進めてきました」
「昨年(2023年)の冬季のテストから用意してきて、それを開幕に持ち込んだという形になります。 目標はストレート改善で、ある程度そこは達成できたという手応えを、冬季テストや(2024年開幕前の)セパンとカタールのテストで掴んで開幕戦に臨みました」
「ストレート改善はある程度……トップには至らなかったですけれども、他社に対してビハインドがあるところからは一歩二歩とステップアップできました。そう感じながらレースをスタートさせたんですが、それと引き換えに失った部分も感じていました」
「ライダーからのハンドリングや切り返しでバイクが重く感じるなどのコメントだけでなく、如実に切り返しセクションなどでビハインドが見て取れるようになりました」
増田プロジェクトリーダーは、2024年シーズンのヤマハYZR-M1のパフォーマンスについてそう語った。そこからは優遇措置を活かして積極的な開発を目指していくものの「“どうしていいかわからない”苦しい時期」があったとも認めている。
ドゥカティから加入のエンジニア、空気・マインドを変える。
しかし今年のヤマハ内部はひと味違ったという。飛ぶ鳥を落とす勢いのドゥカティから新加入しテクニカルディレクターに就任したマッシモ・バルトリーニを中心に、昨年までのヤマハでは難しかったスピード感のある開発が進められるようになったのだ。
それはシーズン中に投入されたエンジンやシャシーでどれだけ仕様違いが存在していたか、というところにも現れている。
ヤマハによるとエンジンはおよそ5種類、シャシーもそれと同程度の数をトライしており、ピットに並ぶ2台のマシンで同じ仕様になっていることが少なかった、というから驚きだ。
増田プロジェクトリーダーは「今まで自分たちのやり方の延長線上ではないことをいっぱいトライしました」と言う。
「従来はリクエストを受けたあと、検討やものづくりに必要な時間が前提条件となるところを、もっと別のやり方で時間を短くできるアイデアが本社メンバーから出るなど、トライに前向きな議論が多くなりました」
「そのおかげで、例年と比べるとびっくりするようなスピードで開発ができましたね。短いサイクルでやれたおかげで、結果としてバイクのパフォーマンスを積み上げていく大きな助けになったと思っています」
ヤマハは従来、手堅く行くスタイルで開発をやってきた……そう増田プロジェクトリーダーも語っていたところから、2024年は「安全性はこれまで通り妥協はしない前提で、パフォーマンスが必ずしも良くなるとは限らず、GP現場・開発や、パーツ運営に混乱を生じる多少のリスクが残っていてもいいから、より早く現場にものをください」と、スピード感を持って進めるように変化していた。
そして、その変化をもたらしたのがバルトリーニだった。ドゥカティからの移籍してきたことを考えれば、マシンの違いなどを指摘したのかと想像してしまうが、実はヤマハにとって大きかったのは、バルトリーニの仕事への取り組み方や、その考え方だったという。
「彼にテクニカルディレクターというポジションで今シーズンは率いてもらいましたが、テストのやり方、レースウィークの進め方、物事の判断の仕方……そういったところですごく変化を与えてくれましたし、僕らも気づきが非常に多かったです」
「こういう状況で辛い面も多いですけど、『できることはできる。できないことはできない。今の状況からできることはこれだよね』っていうふうにポジティブに解釈してそれを僕らにはっきりと示してくれて、良い雰囲気で開発も進めることができました」
「日本にも何度も来て、非常に積極的にコミュニケーションをとってくれていました。仕事への取り組み方とか、車を良くしていくことへの考え方とかそういったところに大きな影響を与えてくれたと思っています」
今年のヤマハは彼らの地元静岡・遠州地域の気風とも言われる『やらまいか』(とにかくやってみよう、のような意味)精神に近いモノがあったと言えるかもしれない。そしてそれは、リスクを負うことをきちんと言葉にしてくれるバルトリーニの存在なくては実現しなかっただろうと増田プロジェクトリーダーは語った。
「テクニカルな面での責任者である彼が、『リスクは分かった』と、残ったリスクは現場でマネージするから持ってきてといったことを、きちんと言葉にして言ってくれるんです」
「僕らはヤマハの素性で育っているので、これでいいのかという思いがある中でも、ポンと彼がそれを言葉にしてきちんと言ってくれるので、みんなの背中を押してもらえるんですね」
「(バルトリーニがいなければ)迷いながら時間をかけて判断したり、検証を重ねて判断したり……いや、していたでしょうね」
とはいえ2024年のヤマハの成績はいまだ低迷中……バルトリーニの加入によってこれまで言われてきた日本と欧州メーカーの“良い所”をミックスさせようという試みが、真の果実を結ぶことを、2025年シーズンに期待したい。
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みんなのコメント
ってのを期待してる。
ストレートも長く、強烈なブレーキングポイントのあるコースに早く改修してくれー!