「都道最狭」155号線は東京都八王子市と町田市をつなぐ道
「酷道」や「険道」といった言葉を聞いたことはないだろうか。
【画像13枚】ワンボックス車は危険レベル!?「屠道」の怖さを写真で体感
国道や県道といったいかにも「整備されているはず」の道なのに、離合(すれ違い)が困難なほど狭かったり、舗装がされていなかったり、はたまた階段状になっていて車両の通行が不可能な道のことを指すスラングだ。
そんな酷道や険道をツーリングの途中で楽しむという趣味を持つライダーも少なくない。クルマでは離合が難しい道でもバイクであれば気にならないし、軽量な原付クラスであれば人力で押さないといけないシチュエーションでもクリアすることができるからだ。
そんな「険道」といえる道が日本の首都、東京都にもある。厳密に言うと東京都の場合は「都道」なので、趣味人の間では「険道」ではなく「屠道」といった当て字のスラングで呼ぶこともあるが、はたしてそれが「都道155号線」である。
東京都八王子市と町田市をつなぐ155号線は、場所によっては中央分離帯のある片側2車線になっているほど整備された道だが、今回紹介したいのはその中でも町田市と多摩市の境あたりにある「都道最狭」と呼ばれる区間だ。
紹介した画像は、町田市のほうから向かったときのものだが、曲がり角の目印となるのは「正山寺」という寺院の看板。その横には「2.0m以下通行可」の標識と「2.0t以上通り抜けできません」という注意書きがある。このあたりは通常の住宅街のような道に見えるが、その先ははたしてどれほど狭くなっているのだろうか。
車同士のすれ違いが不可能な区間も多い
ゆるい坂道を上がって右に曲がると、いきなり左右に高木が生い茂った状態になり、まるで舗装林道のよう雰囲気。ガードレールのようなものはなく、ワンミスで落ちてしまいそうな恐怖感がある。
その先は農村集落といったエリアになるが、ところどころに離合用スペースはあるものの、基本的には四輪車がすれ違うのは困難な道幅。実際、ワンボックスカーとすれ違ったときは、こちらが原付スクーターだから難なく離合できたが、クルマであれば軽自動車同士でも難しい道幅なことは画像からもわかるだろう。
のどかな農村風景を見ながら走っていくと、再び木が生い茂ったエリアが目に入る。
そこは両サイドが土壁の切通で、登りながら右左と切り返すシケインとなっている上に、舗装がかなり荒れていて、10インチタイヤのスクーターはステアリングを取られるほどスリリング。当然、対向車が来る可能性もあるのでカーブミラーで確認しながらの走行だ。
その先で、自転車とすれ違った。そこには「この付近にごみを捨てないで下さい」という看板がたてられているが、これはある種のフラグだ。
その先は視覚的に道がグッと狭くなっていく。不法投棄防止のためであろうトタンの塀が続いていることで圧迫感があるからだ。さらに木もうっそうと茂っている。後半区間は、「千と千尋の神隠し」の冒頭で、主人公家族が林道を暴走しているような気分になってくる。東京都とは思えない異世界感が味わえる。
「最狭」区間は約2km、走行時間は約3分と短いがスリルは満点
道幅は変わっていないが、とにかく圧迫感があって離合は不可能に近い。スクーターであっても対向車が来たらアウトの区間だ。祈りながらアクセルを開けていくと、パッと視界が開け、Y字路に出る。ここが都道最狭区間の終わり。右にいけば155号線で八王子方面へ抜けることができるというわけだ。
こうして書くと長い最狭区間に感じるかもしれないが、走行時間は3分少々。期待しすぎると拍子抜けしてしまうかもしれないが、これが東京都内にあって、なおかつ東京都が管理している「都道」だというのだから驚きだ。
そして、先ほどのY字を右に行き、最初のT字路を左折すると155号線は、片側2車線の立派な道路になる。そのコントラストも最狭区間を走り楽しみかもしれない。
なお、画像を見てもわかるように155号線の最狭区間には民家が多く、生活道路でもある。町田市から多摩市へ、逆に多摩市から町田市へ抜ける道として利用するのは正当な走り方だが、なんども往復するようなマナー違反な行為は謹んでいただければ幸いだ。
※画像は2021年5月頃に撮影したものです。
レポート/写真●山本晋也 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実
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そう思って締め括るなら記事にしなければいい、これでマニアが行くようになれば筆者に責任あり。