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安価な次世代EV、元テスラ技術者が主導 「台数重視」から移行目指すフォードの電動化戦略とは

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安価な次世代EV、元テスラ技術者が主導 「台数重視」から移行目指すフォードの電動化戦略とは

収益性の高い次世代EV群を開発中

フォードが世界で最も効率的な電気自動車EV)の量産化を目指し、新しいプラットフォームを開発中だ。

【画像】こんな「フォード」は初めて見たぞ!【新型フォード・カプリとフォード・エクスプローラーを写真で見る】 全46枚

テスラ出身のエンジニアが開発を主導しており、フィエスタフォーカス、プーマといった小型車の後継EVへの採用が見込まれる。現在販売しているエクスプローラー、カプリ、マスタング・マッハEよりも小型で低価格のEVシリーズが登場しそうだ。

フォードのEVを統括するモデルE部門のマリン・ギャジャ最高執行責任者(COO)は、AUTOCARの取材で、「手頃な価格について、企業レベルでかなりの時間を費やしています」と述べた。

「そうする必要があることは分かっていますし、時間をかけて積み上げていく必要があるのです」

「(フォードの)グローバルのラインナップを見ると、現時点では手頃な価格帯のセグメントはあまり多くありません。当社にとって重要なのは、手頃な価格で差別化を図り、利益を上げることです。わたし達はあまりにも長い間、手頃な価格のセグメントにとどまり、損益分岐点か赤字のどちらかにいました」

「問題は、特に中国のような非常に低コストの製造拠点が手頃な価格の自動車を送り出している場合、そのセグメントでどう競争するかということです」

「そこがジレンマです。真の大衆ブランドになるために、消費者にエクスプローラーのようなクルマに乗り換えてもらいたいのは間違いありません。では、どこから手を付ければいいでしょう? 米国では手頃な価格のプラットフォームでそれを実現しており、そのプラットフォームが欧州でも製品を生み出せない理由はありません」

元テスラ技術者が目指す低コスト・高効率

このプラットフォームがプーマの次世代モデルに使われるのは明らかだ。新プラットフォームをベースにした量産車は「2026年後半か2027年前半」に登場し、まず米国で発売されるとギャジャCOOは述べた。

他のモデルについては今のところ予想の域を出ないが、ギャジャCOOの発言から、プーマ以外にも複数のモデルが登場すると期待される。

エクスプローラーは全長4.5m、4万ポンド(約800万円)のミドルサイズSUVで、その下にプーマ以外のモデルが加わる余地は十分にある。

「わたし達の感覚では、EVは時間の経過とともに、より小型のモデルが増えていくでしょう」とギャジャCOOは予測する。

「というのも、燃料代に最も敏感なのはこの層だからです。一般的に、手頃な価格であればあるほど、ドライバーはコストを重視します。そして、クルマの大きさや豪華さにはあまり感情を動かされにくくなります」

ただし、今後すべての新型車は従来通りの形状やサイズではなく、それぞれのセグメントで「差別化」されたものになるという。

ギャジャCOOは、プラットフォーム開発プロジェクトの背景について、「このプログラムの責任者はアラン・クラークです。アランは、実際に利益を生むEVを設計したEVアーキテクトです」と説明した。

アラン氏は長年テスラに在籍し、EV開発の初期段階ではその舵取り役を担っていた。設計、エンジニアリング、調達、製造方法を検討するチームを率いていた。

「彼は数年前にフォードに入社し、地球上のどのEVよりも効率的なプラットフォームを構築しようとしています。それが目標です」

米国のIT系メディア『TechCrunch』が最近報じたところによると、このプラットフォーム開発に取り組むチームは約300人にのぼるという。その中には、テスラ、リビアン、アップルなどのエンジニアや、F1のエアロダイナミクス専門家も含まれる。

新プラットフォームの開発が初めて明らかにされた2月、フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は、「最終的な競争相手は、手頃な価格のテスラと中国メーカーになるでしょう。そのため当社のEVチームは皆、EV製品のコストと効率に焦点を当てています」と述べた。

ギャジャCOOは、新しいプラットフォームでは低コストのリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリー技術を利用する可能性が高いと述べた。「より手頃で、耐久性にも優れています」

「バッテリー1kWhあたり20ドルから30ドルを削ることができ、100kWhのバッテリーではかなりの(コスト)削減になります。たくさん充電しても、はるかに耐久性があり、おそらく5倍のデューティサイクルに耐えられます。このバッテリーは基本的に壊れません」

「当初LFPは寒冷地ではあまり性能を発揮できないと考えていましたが、同じように機能することがわかりました。実際には(これまで一般的だったニッケル・マンガン・コバルトと比較して)密度の違いしかありません」

薄利多売から高収益のビジネスへ

現在販売しているプーマや新型のエクスプローラーは、以前のフィエスタやフォーカスとは方向性が異なるモデルだ。フォードは新しいポジションへとブランドを移行させようとしている。

「わたし達はフォードブランドを新しい場所に持っていこうとしています。これまでは安くて、陽気で、信頼できる移動手段として見られていたと思います」

「今、わたし達はよりプレミアムな製品を導入しています。プーマはその方向への大きな一歩であり、プレミアム価格をつけることができるような実力があると感じていました。エクスプローラーもそうなることを望みます」

欧州フォードのモデルEの販売・ブランド管理担当ディレクターであるアンナ・レナ・ストリゲル氏によると、同社は今後「小規模で的を絞ったポートフォリオ」を持つことになり、「単に台数だけを追求することはない」という。

ストリゲル氏は、フォードのディーラーはクルマの大量販売に慣れているため、ブランドの変革を成功させるためにはディーラーを巻き込むことが重要だと述べた。

従来型の主流ブランドから脱却するだけでなく、EVへのシフトも行う「ダブルスイッチ」を推進している。

「ディーラーは、フィエスタに乗っている多くのお客様をプーマに移行させるという素晴らしい仕事をしてきました」

「特に電動化が進んでいない市場のディーラーは神経質になっていますが、エクスプローラーを実際に見て運転することで、自信を持ってくれます。個々の販売員との信頼関係を築くことが重要です」

2030年のEVシフトは「野心的すぎた」

以下、フォード・モデルE最高執行責任者マリン・ギャジャ氏とのQ&A。

――EV市場がまだ成長すると確信している理由は?

「今は誰もがEV市場の成長の遅さに失望していると言いますが、わたし達は一歩引いて、年間1000万台規模の市場があることを認識しなければなりません。予測を見ると、2018年でさえ今頃300万台といったところでした」

「2018年の予測よりもずっと早く、非常に速いスピードで進んでいます。しかし、今は成長率が10~20%に戻り、米国、中国、欧州は横ばいになっており、スピードが遅く見えます」

「しかし、新しい技術の登場、新しいセグメントへの参入、新しい地域の開拓、補助金、金利の変化、燃料価格の変化など、あらゆることが成長率を上下に少しずつ変化させるでしょう。それでも、内燃機関事業よりも速く成長することに変わりはないでしょう」

――フォードは2030年までに欧州の販売をすべてEVにする計画でした。それは野心的すぎたのでしょうか?

「ええ、お客様の投票によって、それは野心的すぎると言われたのだと思います。この業界では、誰もがそのことを痛感していると思います。また、現実は計画を調整させるものです。2030年までにすべてEVにすることは、当社のビジネスにとっても、特にお客様にとっても良い選択ではないと考えています」

――そう考えると、フィエスタの引退は早すぎたのでしょうか?

「そうは思いません。ここ欧州では、本当に競争力のあるEVが必要がありました。そして、エクスプローラーとカプリを投入したことで、わたし達は本当に良いポジションにいると思います。わたし達を未来へ飛躍させるものです」

「(引退が早すぎたかどうかを)本当に判断できるのは5年後だと思います。その時振り返って、『我々はどこにいるのか? フィエスタをあと2、3年作っていたら、我々はもっといい位置にいただろうか?』と自問するでしょう」

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