ホンダはなんと2Lハイブリッドを積んだプレリュードのほかに、1.5Lハイブリッドも用意していた。しかも1.5Lエンジンは新開発という気合のいれよう。この1.5Lハイブリッド、e:HEVを搭載したヴェゼルに乗ってみた!
文:国沢光宏/写真:ベストカーWeb編集部、ホンダ
ホンダの新型ハイブリッドがすごい! しかも新開発!! 今のハイブリッドより圧倒的に楽しかった!!!
【画像ギャラリー】しっかりホンダは1.5Lエンジンを作っていた! おそろしく走りは気持ちよかった!(5枚)
■小型車用1.5L e:HEVは新開発エンジンだった!
新開発の小型車用1.5L e:HEVを積んだヴェゼルに試乗
ホンダ三部敏宏社長は社長就任半年後、カーボンニュートラルへのアプローチに対し「Hondaはエンジンをやめることを選んだ」と発言したけれど、ちゃっかり改良型ハイブリッドの開発を行っており、それを搭載する新型プレリュードの試作車に乗ったら楽しくてびっくりという記事を書いた。実はそれ以上に「なんだよ!」という状況になっているということをお伝えしたいと思う。
新型プレリュードに搭載されるだろう2Lハイブリッドのe:HEVは、基本的に現行ステップワゴンなどに搭載されている2モーター式で、それに低速用の直結ギアを追加。エンジンも改良型である。
試乗後「次は1.5Lの次世代ハイブリッドの説明をしますのでこちらに」と違う展示コーナーへ移動した。正面に置いてあるパネルを見たら「新開発1.5Lエンジン」と書いてある。新開発?
2年半前、エンジンを止めることを選んだと言ってたのに。聞いてみたら正真正銘の新型エンジンだという。2Lハイブリッドのように”改良”なら「エンジンを止めることを選んだ」に含んでもいいと思う。されど新開発とな! 脱エンジン宣言後も開発現場は止める気などなかったらしい。しかもエンジンだけでなく、補機類を含め全て新開発だというから驚く。
従来に比べ高効率領域を40%拡大した1.5Lエンジン
新型1500ccエンジンは発電機として使われる回転数&負荷だけでなく、直結モードの燃費を向上させるため、専門用語で「目玉」と呼ばれる熱効率の良いエンジン負荷を40%も拡大しているそうだ。
エンジンの熱効率、回転数と負荷を一定にすれば向上させることだって難しくない。けれど、アクセル開度や回転数が変化した時に効率を求めようとすれば、技術的なハードル高い。
しかも全域でストイキ(完全燃焼する理想空燃比)燃焼を行うという。これまた普通は熱対策のためアクセル全開時に濃い燃料を吹く。当然ながら汚染された排気ガスを出すし、燃費落ちる。
次世代小型e:HEVシステム
アクセル全開時のストイキ燃焼、なかなか難しい。逆にストイキ燃焼できれば、高速燃費は向上。全開加速時の排気ガスのクリーン度を確保出来る。実際、次世代排気ガス規制に対応しているそうだ。
■新型1.5L e:HEVエンジンを積んだヴェゼルに試乗
新開発1.5L e:HEVを搭載したヴェゼルの走りは今までのハイブリッドとは違い圧倒的に楽しかったという
味見といきましょう。Dレンジをセレクトして走り出すと、あらま! 40km/hくらいまでエンジン掛からない。ハイブリッドに乗ったことのある人ならわかって頂けるだろうけれど、モーターで走り出した後、エンジンが掛かった時に「う~ん」という気分になる。超滑らかで静かなモーター走行から、賑やかなエンジン併用モードになるためだ。エンジン掛からなきゃいいのに、と思う。
ということをホンダの開発陣も感じており「なんとかしたい!」。そこでエンジンの始動速度を上げている。タイヤなどからの騒音レベルが高まった時点で滑らかに火を入れるということ。日産e-POWERもこの手の対策を行っているけれど、ホンダの新開発1.5L e:HEVはノートよりさらに高い速度でエンジンを掛けにいく。滑らかだし、エンジン始動時のガッカリ感も大幅に少ない。
左がエンジン、中央がバッテリーパック、右が電動4WDユニット
続いて「まるでクロスレシオのマニュアルギアのような走り」(詳細は新型プレリュードの記事でご覧ください)を狙うS+モードを試す。味付けの方向性は新型プレリュードと同じなのだけれど、1.5L e:HEVは新開発ということで、2L e:HEVより熟成度合いがやや低い感じ。このあたりは気にしないでおく。ホンダの開発者はこちらのほうが“やんちゃ”と言っていた。
大きな違いは車内スピーカーがないこと。新型プレリュードは車内に疑似サウンドをスピーカーで流している。これが案外気持ちいい。新開発1.5Lエンジンを搭載したヴェゼルは疑似音なく、エンジン音だけでスポーティ感を出そうとしている。
こちらの方が好みだという人もいるようだけれど、私は「ここまでやるならもっと!」と考えるタイプ。少しばかり物足りなかった。やはりエンジン音、高回転じゃないと盛り上がらない。
とはいえ、今のハイブリッドと比べたら圧倒的に楽しい。熟成が進むと、さらに気持ちよくなると思う。いずれにしろ今後10~15年はハイブリッドがパワーユニットの主力の一つになる。
燃費が良くて排気ガスがクリーンなホンダの新世代ハイブリッドは楽しみでしかありません。できればトヨタのような武闘派のスポーツモデルを作って楽しませて欲しい。
こちらの新開発1.5L e:HEVを積んだクルマが登場するのは2026年。次のヴェゼルかフィットか、いずれにしても期待して待ちたい。
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みんなのコメント
本当に社長の言うままEVに全ベットなら会社が危なかった
非常に実用的な車ですeパワーといいとこ取りをして
THSを超える燃費実用性が期待できると思います。