スペシャルティカーの黄金期ともいえる1980年代は、従来とは異なる魅力を備えたモデルの開発にも注力された。連載6回目となる日産ヘリテージコレクションの名車紹介では、そんな時代を象徴する1台である「エクサ」を取り上げる。2ドアなのにステーションワゴンもあるというヘンテコなクルマはどのように生まれたのだろうか。
文/大音安弘、写真/池之平昌信、日産
クーペとキャノピーふたつのスタイルが楽しめた! 個性派モデルの「日産エクサ」は当時も今でも新しすぎた!?
■デザインは米国の「NDI」が担当
先代パルサーエクサからパルサーの名が外され、2代目エクサとして1986年に登場した
エクサは、スペシャルティクーペの「パルサーエクサ」のフルモデルチェンジモデル版として、1986年(昭和61年)10月14日に発表された。
日本では、従来のパルサーシリーズから独立した新提案モデルとされたが、メイン市場の北米では引き続き、パルサーエクサの北米名である「パルサーNX」を名乗った。この2代目で「エクサ」の名は消えるが、実質的な3世代目は前回紹介したNXクーペが、その役目を担っていた。
2代目エクサの開発テーマは、「もっと自由で開放的な、そしてなによりも楽しいクルマ」とし、時代の最先端を行く若々しい感性を持った人々の多彩な生活シーンに応えることができる、本格的パーソナルスペシャルティクーペが目指された。
最大の特徴であるエクステリアデザインは、米国・カリフォルニア州のデザイン拠点「NDI」(NISSAN DESIGN INTERNATIONAL)との共同開発。先代パルサーエクサからは、スペシャルティカーの人気アイテムのひとつだったリトラクタブルヘッドライトと2ドアスタイルを受け継いでいた。
新型の特徴としてヘッドライトカバーの片側のみ、NISSANのロゴ入りとした左右非対称デザインやダイアゴナルスリットデザインのリアコンビネーションランプなどの個性的なデザインを採用。
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■クーペなのにキャノピー装着でステーションワゴンになる?
こちらはキャノピースタイルのエクサ。取り外しが可能になっていた
そして、新エクサの最大の特徴はテールゲートにある。クーペフォルムとなるサイドの三角窓とコンパクトリアガラスを組み合わせたテールゲートに加え、ステーションワゴンスタイルとなるキャノピーが用意された。
いずれも取り外しが可能となっており、標準装備となるTバールーフ同様に、取り外すことでオープンカーさながらの開放感あるドライブが楽しめるように演出されていた。
また、急な天候変化に対応すべく、Tバールーフが車内に収納可能な構造とするだけでなく、簡単に取り付け可能なキャンバスハッチもディーラーオプションとして揃えていた。
エクサのインテリア。メーター横左右のサテライトスイッチの採用はのちのZ32フェアレディZやR32スカイラインなどにも通じる
インテリアは、スポーティさを意識したもので、サテライトスイッチ、ホワイト文字盤メーター、センター補助メーターなどを採用したスポーティなコックピットに加え、フロントシートはヘッドレスト一体式スポーツシートとした。
また、基本的にふたり乗りがメインという構造のため、リアシートはヘッドレストもなし。一体式のため、簡単に折りたため、ラゲッジスペースを拡大できる仕かけとなっていた。
■日本では法規の関係でクーペとキャノピーの付け替えは不可
日本でのエクサのパワートレーンは直4、1.6LDOHCのCA16DEのみだった
発売時のグレード構成は、クーペとキャノピーともに、エントリーのタイプAと上級のタイプBの2種類。1.6L直列4気筒DOHCエンジン「CA16DE」を搭載。5速MTと4速ATが選べた。価格は、164万~192万9000円(東京・名古屋・大阪地区価格)となっており、キャノピー仕様のほうが15万円高となっていた。
米国では、クーペとステーションワゴンに変形可能とした構造が自由で開放的なクルマを象徴する機能となっていたが、日本では形状変化するコンセプトが法規に適合しないため、クーペとステーションワゴンをボディ形状の異なるクルマとしていた。
さらに法規に触れぬように、ヒンジ部を専用化することで、クーペハッチとキャノピーの付け替えができない仕様となっていたのは非常に残念であった。
エクサキャノピーのリアビュー。ダイアゴナルスリットデザインのリアコンビネーションランプを採用していた
日産ヘリテージコレクションの収蔵車は、初期モデルのキャノピータイプB(5MT車)だ。フロントマスクは、クーペルックなのに、リアに回るとステーションワゴンというスタイルはシューティングブレーク風だが、そこまでのスポーティさはなく、ちょっとギア感が強い。
まさにクロスオーバークーペの先駆者というべきだろう。ちなみにクーペには、日本初のリアスポイラー一体型のハイマウントストップが装備されていた。
■まったく新しい価値のクルマに挑戦した日産の心意気!
座間の日産ヘリテージコレクションに収蔵されているエクサキャノピーのタイプB
当時のベストカーを振り返ってみよう。発売直後の1986年12月10日号では徳大寺有恒氏が同車を分析。
「スペシャルティカーの楽しみを広げてくれる新しい価値のクルマ。エクサは、カーデザイナーとスタイリストのひとつの提案を生産という形で大メーカーが実現した。過去、この種の実験や提案は少なくなかったが、実験と生産は根本的に違う。これを生産させた日産は、その勇気を褒められてしかるべきであろう」と日産の心意気を買う高評価であった。
ただ、アイデアこそよかったが、キャノピー自体が重かったため、簡単に取り外すわけにもいかなかった。また、海外でも手軽にオープンエアが楽しめるクルマとしてこそ愛されたが、ボディチェンジを可能とする提案は、不発に終わった。
それを裏付けるかのように、パルサーエクサの流れを汲むNXクーペにもTバールーフと2ドアスタイルのみが受け継がれている。
クーペ市場が冷え込みを見せる今、同車のコンセプトは、軽量な構造など提案次第では、クロスオーバークーペという新たな輝きを与える存在になりそうでもある。かつて、新しく楽しいクルマに挑んだ開発者たちの心意気を、エクサは今も伝えてくれている。
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みんなのコメント
もっとも、こっちのは市販してるとこが凄い。
実物を頻繁に見る機会があったけど、けっこうカッコいい。