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【功労車のボヤき】至れり尽くせりのクーペカブリオレなのに、彼女に勝てなかった理由。フォルクスワーゲン イオス

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【功労車のボヤき】至れり尽くせりのクーペカブリオレなのに、彼女に勝てなかった理由。フォルクスワーゲン イオス

誕生秘話、武勇伝、自慢、愚痴、妬み……。

耳をすませば聞こえてくる中古車たちのボヤきをお届けするカーセンサーEDGE.netのオリジナル企画。今回は、特殊なルーフ機構をもつの4シーターオープンのフォルクスワーゲン イオスが物申す!!

【功労車のボヤキ】シリーズの過去記事はこちら

ひと味違う、華麗なクーペカブリオレ

アタシの名は、EOS。

失礼ね、カメラじゃないわよ。アタシはフォルクスワーゲン家のイオス。

由緒正しき一族の長~い歴史をふり返れば、ほんの一瞬ではあったけど、それでも華を飾ったのよ。生真面目な一族の歴史に、お洒落でスマートで、熱い華をね。

アタシのボディスタイルは、電動でオープンになるハードルーフを採用した4シーターのカブリオレ、いわゆるクーペカブリオレ。

デビューした2006年当時は、プジョー家の206CCとか、ボルボ家のC70カブリオレとか、世界的にこのスタイルが大人気だったわ。 だけど、流行をそのまま追いかけたりしないのが、わが一族の生真面目なところで、アタシには他のクーペカブリオレとはひと味違った、独創的なチャームポイントがあったの。

それまでのク―ペカブリオレのハードルーフは、3分割されてトランクルームに収まる仕組みが主流だったんだけど、アタシのハードルーフは、なんと世界初の5分割!

ルーフを開けたときのアタシの立ち姿が華麗に見えた秘密は、そこにあったのよ。 

独創的な5分割ハードルーフの秘密

3分割と5分割で、どう違うのかって?

5分割の方が、ルーフはよりきめ細かく滑らかに開くの。つまり、セクシーってわけ。

もちろん、5分割方式のメリットは色気だけじゃないわ。ルーフを細かく折りたたんで格納できるから、ルーフの全長を大きくすることが可能になったの。 ルーフの全長が伸びると、どんなメリットがあるのかというと……。

ルーフが伸びればボディのAピラーを短くすることができるから、3分割方式のクーペカブリオレよりも頭上に余裕が生まれるわけ。 そのおかげで、オープンカーらしいエレガントなフォルムを実現できたの。もちろん見上げる空だって、まるで軒下の露天風呂みたいな他のクーペカブリオレよりも広いわよ。

ルーフの自慢なら、もっとあるわ。

ハードルーフは5分割になるだけじゃなくて、そこに大きなグラストップが組み込まれているの。もちろん、そのグラストップ部分だけをチルトアップしたり、スライドさせて開けることもできるわ。 さらに開放感をお望みなら、わずか25秒でフルオープン……。どう、サービス満点でしょ?

なんだか、ルーフの話しばっかりになっちゃったわね。 

一族の中でも、非の打ち所がないアタシ

ルーフしか取り柄がないのかって?

そ、そんなことは……ないわ。

アタシの顔つきは、同じ一族のゴルフVに似てるって言われるけど、じつはベースとなったのはパサートなの。ま、パサート兄さんもゴルフVと共通する部分が多いんだけどね。 ホイールベースはゴルフVと同じだけど、トレッドはパサートと同じ。全長はゴルフVより少し長くて、ようするにゴルフとパサートの間に位置するニューモデルであり、一族初のクーペカブリオレでもあるってわけ。

さらにはアタシ、エレガントさが売りのお嬢さんと思われがちだけど、じつは走りだって熱いのよ。

エンジンは、ゴルフR32譲りの3.2L(250ps!)を搭載した「V6」と、ゴルフGTIと同じ2.0Lターボ(200ps!)を積んだ「2.0T」の2種類。そして、トランスミッションが伝家の宝刀DSGときたら、どう? しかも、そんな熱い走りを、オープンでもクローズドでも楽しめちゃうのよ。

スマートで、セクシーで、ユニークで、しかも情熱的。名車揃いの一族の中でも、非の打ち所がないはずのアタシ。

あぁ、それなのに……。 

至れり尽くせりなのに、ただひとつ欠けていたもの

至れり尽くせりのアタシなのに、日本での販売はデビューからわずか3年後、2009年に終了しちゃったの。

理由は、いろいろあったと思うわ。500万円という新車価格も強気すぎたかもしれない。だけど、アタシにはわかってる。

アタシが短命に終わってしまった、本当の理由……。

フォルクスワーゲン家の中で、アタシの個性は際立っていたわ。だけど強力なライバルがいたのよ、同じ一族の中に。

その名は、ニュービートルカブリオレ。 アタシと彼女の間に共通点はほとんどないわ。同じオープンカーとはいえ、あちらは昔ながらの幌タイプ、こちらは世界初の5分割ハードルーフ。

走りはモッサリしてるし、顔つきにしてもフォルムにしても、アタシに比べたらスマートとは言い難いはずのニュービートルカブリオレ。

だけど、彼女は当時も今も大人気。なぜなら、彼女には“物語”があったから。一族の祖である、あのビートルの生まれ変わりである、という物語……。

その物語が、彼女の走りも、顔つきも、フォルムも、背中に背負った不格好な幌も、ぜ~んぶチャームポイントに変えてしまったのよ。至れり尽くせりのはずアタシに、ただひとつ欠けていたもの、それは物語だったのね。

だけど、アタシの物語はこれから始まるのよ。

わずか3年間しかこの国に存在しなかった、だからこそ今となっては貴重な、そして今なお独創的でエレガントなフォルクスワーゲンのクーペカブリオレに乗る、という物語……。

それはお洒落な物語? それとも熱い物語?

その物語を、これから道に描くのは……アナタよ。 イオスの中古車を探す▼検索条件フォルクスワーゲン イオス(初代)×全国文/夢野忠則 写真/尾形和美、フォルクスワーゲン、プジョー、ボルボ

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みんなのコメント

24件
  • 4名乗車できるオープンカーを日本で探すと選択肢は無い
    と言っていいほど
  • V6に乗ってました。世界でも唯一無二と思われる「フルオープンなのにガラスサンルーフもある」というのが素晴らしかったです。あたりの個体だったのか7年のってトラブル皆無。維持費なんて基本的にゴルフと同じです。V6は排気量が大きく低速トルクがあるのでDSGのもたつきもなく、いい車でした。
    VOLVOのC70と比較試乗しましたが、試乗車で幌の収納デモをやってもらったらトラブルが出たのでC70はボツったんでした。
    EOSは配車前で実写を見ずに「えいや」で発注しましたが、結果としてラッキーでした。
    いやあ、懐かしいなあ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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