マツダから新登場の3列シートSUV「CX-80」にさっそく公道試乗!
マツダは2024年10月10日、新型クロスオーバーSUV「CX-80」を発売しました。「CX-60」に続いて国内でのラージ商品群の第2弾であり、マツダの国内市場におけるフラッグシップモデルとなります。そんなCX-80にモータージャーナリスト橋本洋平氏がいち早く試乗。徳島~淡路島~神戸を往復するロングドライブを通して見えてきた○と×とは?
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ゆったりした空間を与えられたマツダのフラッグシップ
「CX-60」を皮切りに始まったマツダの新世代ラージ商品群。その日本における第2弾となる「CX-80」がいよいよ走り出す。じつはすでに北米ではそれより上の「CX-90」が存在するが、日本への導入はない。全長5mを超える車両となるため、日本にはマッチしないだろうという判断らしい。日本でもなんとか使える3列シートのSUVをという狙いがあり、日本はCX-80にしようとなったようだ。
事実上、かつて存在していた「CX-8」の後継モデルといっていいこのクルマは、それを目の当たりにすると、日本市場を考えているとはいえ圧倒される存在感がある。ちなみにCX-8のサイズは全長4900mm×全幅1840mm×全高1730mmでホイールベースは2930mm、最低地上高は200mm。いっぽう今回のCX-80のサイズは全長4990mm×全幅1890mm×全高1710mmでホイールベースが3120mm、最低地上高は170mmとなっている。
おかげで室内はかなりゆったりとした空間が広がっている。2列目のスライドを目一杯後ろにすれば、足も組めるスペースが広がるし、サンルーフを装着しているモデルでは開放感がさらに増している。ホイールベースが伸びたことで、ドアの全長がとても長くなり、結果として窓面積も大きいために圧迫感もない。
3列目の居住性と快適性は流石の「おもてなし」レベル
注目の3列目シートに腰掛けてみたが、身長175cmの筆者であっても頭上には拳5分の4個くらいは入る。もちろん、そこに座る際には2列目のシートを少し前に出してもらわなければならないが、現実的なところまで前に出してもらえれば100kmくらいまでの走行なら耐えられるかなという感覚がある。子どもや小柄な方であれば不満はないだろう。
そう感じさせてくれるのは3列目に備えたおもてなし装備の数々。USB-C、ドリンクホルダー×2、そしてなんとエアコンの吹き出し口まで奢ってあるのだ。試乗した当日は涼しくなってきたとはいえ、まだまだ車内ではエアコンを使いたい環境だったため、これはとても有り難かった。さらに、気になる静粛性に関しても流石。風切り音やホイールハウスからの音の侵入は最小限に抑えられている。CX-8時代よりもそのあたりは確実に進化したと思える環境がある。
どんなシーンでもなめらかなドライブフィール
後席を味わった後にいよいよステアリングを握ってみる。CX-60の延長版といえるCX-80は、はたしてどんな仕上がりなのか? まずは何もアシストを持たない素のディーゼルモデル「XD Lパッケージ」からスタートだ。
走り出すとトルクコンバーターレスのATはかなりなめらかに走るようになったと感心する。つねにダイレクトな感覚を味わえ、軽快にステップして行く感覚が心地よい。3.3Lの直6ディーゼルも力強く、低回転からそれが味わえる。結果としてどんなシーンでも不満はない。
後に乗ったハイブリッドモデル「XDハイブリッド プレミアムスポーツ」では、低負荷になるとエンジンが停止、そこから再びアクセルを踏み込むと瞬時にエンジンが復帰して駆動を与えるというi-STOPが盛り込まれている。CX-60の初期はこの復帰の際にエンジンの回転が同調せず、ガクッと減速ショックを伴っていたが、それもプログラムの改善を進めてなめらかに繋がっていたことが好感触だった。これらは以前のユーザーにも展開され始めたという。マツダの良心といっていい。あらゆる領域が新世代になったために、まだまだ煮詰めが追いついていないということなのだろう。
2列目&3列目の乗り心地は今後の熟成に期待
煮詰めに時間がかかりそうだと思えたのはシャシーの仕上がりだった。ほとんどのクルマがピッチセンターを車軸の中心としている中で、CX-60から始まった新世代ラージ商品群はそれを車両後方へと飛ばし、リアからの入力でフロントサスが共振を起こさないように設計したほか、リアサスはトー変化を嫌ったマルチリンクを採用。縦にはスムーズに入力させて動かし、横方向は動かないようにすることで、ロングドライブでも疲れ知らずになっているという触れ込みだった。入力に合わせて体の筋肉が自然と反応することを狙っているらしい。
CX-80ではリアをさらにしなやかに動かすために、CX-60に対してブッシュ類を柔らかい方向にセット。さらにリアのスタビライザーも廃止したという。走ればステアリングの切り始めにクセがなく、スムーズに切れ込むところは好感触。ただ、乗り心地に関してはかなり独特だ。フロントはアンチノーズダイブが強調された仕上がりで、一方でリアはかなり動くイメージなのだ。
とくに連続したうねりからゆっくりとした入力が入るような路面では、ずっと上下動している感覚。一方で荒れた路面で瞬間的にハイスピードな入力が入ると今度は一気に突き上げをくらう。この乗り心地は2列目、3列目に移行するほど大きく、同乗者からも不満があがっていた。どこに座っても同様に感じられる動きに改まることを期待したい。基本的にはCX-60と変わらないという印象だ。ただ、CX-80ではホイールベースが延長されたおかげで直進安定性は多少改善されたようにも感じた。今後の進化に期待したい。
specifications
■MAZDA CX-80 XD L Package(4WD) マツダ CX-80 XD Lパッケージ(4WD)
・車両価格(消費税込):501万6000円 ・全長:4990mm ・全幅:1890mm ・全高:1710mm ・ホイールベース:3120mm ・車両重量:2040kg ・エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ ・排気量:3283cc ・エンジン配置:フロント ・駆動方式:4WD ・変速機:8速AT ・最高出力:170kW(231ps)/4000-4200rpm ・最大トルク:500Nm/1500-3000rpm ・燃料タンク容量:74L ・公称燃費(WLTC):16.8km/L ・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン、(後)マルチリンク ・ブレーキ:(前&後)ベンチレーテッドディスク ・タイヤ:(前&後)235/50R20
■MAZDA CX-80 XD-HYBRID Premium Sports マツダ CX-80 XDハイブリッド プレミアムスポーツ
・車両価格(消費税込):632万5000円 ・全長:4990mm ・全幅:1890mm ・全高:1710mm ・ホイールベース:3120mm ・車両重量:2120kg ・エンジン形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ ・排気量:3283cc ・エンジン配置:フロント ・駆動方式:4WD ・変速機:8速AT ・エンジン最高出力:187kW(254ps)/3750rpm ・エンジン最大トルク:550Nm/1500-2400rpm ・モーター最高出力:12kW(16.3ps)/900rpm ・モーター最大トルク:153Nm/200rpm ・燃料タンク容量:74L ・公称燃費(WLTC):19.0km/L ・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン、(後)マルチリンク ・ブレーキ:(前&後)ベンチレーテッドディスク ・タイヤ:(前&後)235/50R20
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みんなのコメント
サイズ感やバランス、いい車だったのにね。
CX-60が出たときにベタ褒めして不興を買ったから評価するほうも警戒してるのかもね 自身の信頼に関わる面倒な案件なのかも