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完成度は驚くほど高かった──新型BYDシール試乗記

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完成度は驚くほど高かった──新型BYDシール試乗記

BYDの新型「シール」に、小川フミオが中国で試乗した。日本導入予定のあたらしいピュアEV(電気自動車)の魅力に迫る。

高性能かつ機能的

本命、ようやくあらわる!──新型レクサスRX350h試乗記

期待以上のクオリティで、話題になっているBYDのピュアEV。2023年は「ATTO3」と「ドルフィン」という2台の大小ハッチバックが導入されたが、このあとシールが控えている。パワフルで、走りを楽しませてくれるモデルだ。

ファストバックスタイルのシールは、全長4800mm、全高1460mmのファストバックスタイルのセダン。パワフルなAWD(全輪駆動)モデルが設定されている。

前後に1基ずつのモーターを搭載するAWDバージョンは、システム合計の最高出力が390kWに達し、最大トルクは670Nm。静止状態から100km/hまでの加速タイムはわずか3.8秒と、ほぼ高性能スポーツカー並だ。

私が中国・珠海で乗ったモデルは、リアエンドに「3.8S」なるブラックバッジ付き。このサブネームは加速タイムをあらわす。

試乗場所は珠海のサーキット。F1開催を目指して建設されたサーキットである。そこに「イノベーション・ミーツ・アクセラレーション」なる標語とともにシールが並べられた。標語の意味は、新技術の粋を集めたイノベーションが、(未来への)加速を実現するってことだろうか。じっさい、BYDは、4輪ホイールインモーターのSUV「仰望(Yangwang)U8」まで開発している。

アニメの世界から出てきても不思議でないような、走る未来と呼びたくなるほどのU8に較べると、BYDシールはまっとうなスタイリングだ。むしろエレガント。

実際、BYDデザインを統括する元アウディのウォルガング・エッガーは「従来の自動車の美しさを継承した」と、している。プロポーションだけ見ると、BEV的な新奇さは皆無。

乗り込むと、インテリアは、ATTO3やドルフィンを知っているひとならおなじみ、電動で回転する大きなインフォテインメント用モニタースクリーンが目に飛び込んでくる。15.6インチと巨大なスクリーンにくわえて、ドライバーの前には10.25インチの液晶計器盤も並ぶ。

プッシュアンドプル式のトグルスイッチを使ったシフターや、回転式のドライブモードセレクターなど、機能性重視のデザイン。外観同様、奇をてらったところはない。

サポートが大きなスポーティシートは、背面と座面がダイヤモンドパターンのキルティングで、上質感がたっぷり。作りのよさは、BYDの魅力のひとつかもしれない。

アウトバーンでも走りたい走りは、加速にこだわっているだけあって、速い。ただし、速度コントロールが巧みだ。

速いだけではなく、加減速時、アクセルペダルを介してのドライバーと車両とのコミュニケーションのようなものが、なかなかよい。反応のよいハンドルとともに、クルマと対話するような関係が感じられるのが、好感度“大”である。

空力ボディの効果もあるようで、ぐんぐんと高い速度域まで入っていく。

サーキットでは先行車もあって、ストレートでも185km/hがせいぜいだった。この速度域では安定感がしっかりある。ドイツをはじめ欧州でも販売されるだけあって、これならアウトバーンも走りたくなった。

シールには「iTAC」と呼ぶ、四輪のトルクを電子制御し、滑りやすい路面などでも不安感なく走れるシステムが搭載されている。サーキットでもこのシステムの効果はしっかり感じられた。

シールが搭載するメカニズムの特徴として、「ブレードバッテリー」というショートしても発火しないことを謳うBYD独自のバッテリーを、シャシーの一部とした「セル・トゥ・ボディ」構造の採用がある。

従来のセル・トゥ・パック構造に較べると、厚みが減り、同じ出力なら全体にコンパクトにまとめられたというのも、シールの大きなメリットだ。他社も採用を検討している技術を、いちはやく採り入れている。

満充電での走行距離は、555km(欧州WLTP値)。(日本には数少ないけど)150kWの高速チャージャーを使えば、10%の残量から80%まで充電するのに、37分しかかからない。

中国だと、ショッピングモールに120kWの充電器(アンペア数は不明)が林立しているし、深夜電力が安い(日本だとたとえば東京電力では深夜電力プランにすると昼間の電気代が割高になったりする)ので、BEVに乗りたい向きにはちょっとうらやましい環境だ。

シールの日本発売は2023年年末を予定。本国ではシングルモーターの後輪駆動モデル、さきごろ追加されたプラグイン・ハイブリッドも設定されているが、日本導入予定モデルについては、価格とともに未発表。楽しみに待とう。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

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    >完成度は驚くほど高かった

    しかし日本での反応は驚くほど低かった
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