アラムコの燃料リサーチ・センターでディレクターを務めるピエール-オリバー・カレンディーニは、FIA F2とFIA F3で2025年から使用する100%持続可能燃料を手がけることは、その1年後である2026年から100%持続可能燃料の使用が義務付けられるF1用の燃料開発には、メリットをもたらさないと考えている。
既報の通り、2026年からは全てのF1マシンで従来の石油由来のガソリンを使うことは許されず、持続可能燃料のみ使うことが許される。
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そのF1に先立ち、2025年からはFIA F2とFIA F3が、持続可能燃料で争うこととなる。この燃料はバイオ由来の燃料であり、アラムコがオフィシャルサプライヤーを務める。
アラムコはサウジアラビアに拠点を置くエネルギー系企業で、世界の時価総額ランキングでもトップ10入りしている超巨大企業。F1では、アストンマーティンとパートナーシップを結んでおり、2026年からF1に正式復帰するホンダのパワーユニット(PU)も、このアラムコの持続可能燃料を使うことになる。すでにホンダとアラムコの間では密にやりとりが進められていて、その仕様選択に向けた調整が進められている。
アラムコはF1で持続可能燃料を使う前から、F2やF3で使われる持続可能燃料を先行して手がけることになる。このことは、F1におけるアドバンテージになるのではないかという見方もできる。
「我々はアストンマーティンやホンダとも深く関わっており、2026年シーズンに向けて、いわゆる持続可能燃料を開発している」
カレンディーニはそう語った。
「この燃料は、FIAのF1に関する、具体的なレギュレーションに従っている。これは、パートナー企業との継続的な取り組みだ。シーズンが始まったら、もっと詳しくお話ししたいと思う」
しかしカレンディーニ曰く、F2とF3の燃料を手掛けたとて、F1におけるアドバンテージを生み出せるモノではないという。
F2とF3で使われる燃料は、前述の通りバイオ由来のモノである。しかし将来的には、空気中から回収する二酸化炭素と、水を電気分解して作り出した水素を用いて作る合成燃料……いわゆるeフューエルにすることを目指しているという。2026年からアストンマーティンF1で使う燃料は、このeフューエルになる可能性が高いと見られる。
「F1とF2とでは、使う燃料もそのレギュレーションも異なっている。結局のところ、エンジンも同じではないからね」
そうカレンディーニは言う。
「たとえ一部のコンポーネントが同じであっても、競うフィールドは異なるんだ」
「エンジンのレギュレーションによって、燃料自体もかなり異なる。モータースポーツ……特にF1では、燃料の成分を調整して、最大限のパワーを引き出す必要がある。他の競争相手……シェルやペトロナス、そしてエクソンモービルなどは、最高のパフォーマンスを発揮するために限界に挑戦しているからだ」
「一方でF2やF3は、誰もが同じエンジンと同じ燃料を使う。パフォーマンスをバランスさせることができるんだ」
しかし持続可能燃料を作るという基本的な部分ではアドバンテージになるのではないか……そう尋ねられたカレンディーニは、次のように説明した。
「正直に言ってそういうことはない。逆に言えば、我々はパートナーと行なっている全てのことによって、知識を得ることができているとも言える」
「しかし結局のところ、燃料はそれぞれ異なっている。もちろん基本的な知識を得ることはできるが、ある特定のモータースポーツで、特定のエンジンのパフォーマンスを最適化する方法は、それぞれのシリーズによって異なる」
「F1のエンジンを最適化する方法は、F2やF3で行なっている方法とは大きく異なるんだ」
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