走りとは無縁のイメージのEVがじつはいい!
レーシングドライバーとしてのキャリアらみればスポーツカーだろうがファミリーカーだろうが4輪のタイヤで走る自動車という乗り物である以上「走りの良さ」を謳うならある条件をクリアしていることにこだわる。それは「意のままに操れる」ということ。そんな視点から納得できるファミリーカーを選んでみた。
レーシングドライバーでも操れない! 運転が難しすぎる市販車3選
1)日産リーフ
ご存じリーフは100%電気駆動のEVだ。そんなリーフの走りがいいというのは意外に思われるかもしれない。リーフの走りはコーナーで極めて4輪の接地性が高く、加減速も思いのままにコントロールできるのだ。
その理由はリーフのパッケージングにある。まず容量の大きな重いバッテリーパックは車両重量を大きくし、運動性能面では不利に作用するはずだが、リーフはそれを車体中央フロア下にレイアウト。それで極端な低重心化が可能となり、ロールやピッチングを抑えこむことに成功している。コーナーでの姿勢変化が少なく4輪が常に路面に接地している感覚があり、操舵に対してもリニアに反応してくれるのだ。
また駆動が電気モーターであることも幸いしている。モーターは回転直後から最大トルクが引き出せるのでスロットルペダルの特性チューニングで、如何ようにもパワー特性を設定できる。リーフではスロットルペダルの操作量や操作速度に応じてトルク変動が即応し操りやすい。
また駆動方向だけでなく、減速方向も同様でブレーキ力にディスクブレーキに頼る前にモーター回生による減速Gをブレーキペダルでコントロールできる。どんなに攻め込んでもブレーキが発熱し、フェードしてしまうこともなく制動力は安定している。
パワー(トルク)、シャシー安定、制動力と走りの良さを支える3要素が揃っているのだ。
2)ホンダ・フリード モデューロX
トールボディで人気の軽自動車を、そのまま小型車枠に拡大したようなパッケージングが特徴のホンダ・フリード。その丁度言いサイズ感や実用性の高さは大いに魅力的だ。しかし、走りに対しては安定性やドライバビリティなどプロドライバーを満足させるレベルではなかった。
だが、そのフリードをベースにホンダ・アクセスが仕上げたモデューロ仕様は走りが劇的に変化! フリードの開発担当主査をして「本当はこういう風に仕上げたかった!」と言わしめるほどの走りに進化させられていたのだ。
専用のサスペンションとホイールが採用され「フラットライド」「外乱感受性」「応答性」「安定性」「ハーシュネス」の各要素が改善され走りの質感が大幅に高まるとともにコントロールの自由度も高まった。
トランスミッションの制御まで進化していてストレスを感じさせない走りとなっている。
軽自動車にも意のままになるモデルは存在する!
3)マツダ・アテンザ
デビューして6年以上が経過するアテンザ。そろそろフルモデルチェンジの時期とも言えるが、マツダは新技術を時期を待たずに惜しみなく投入するというポリシーのもと、現行モデルにも大幅な改良モデルを投入してきている。
アテンザはデビュー当初よりワイドトレッドかつ低重心のパッケージングでコーナリング限界が高くバランスのいい走りを示していた。最新モデルでは次世代技術に繋がるようなベクタリング制御も盛り込み完成度を高めている。
スタイリッシュなボディデザインは一見後席居住性が低そうに見えるが、実際はヘッドクリアランスや足元スペースも十分に確保されており、トランクスルー機能など実用性も高くファミリーセダンとしてお薦めできる車なのだ。
4)ホンダN-BOXターボ
ファミリーカーというジャンルに入れていいか迷ったが、ファミリーにもお薦めしたい車種であることは間違いない。
N-BOXはトールボディの軽自動車で販売台数トップを独走する大人気車なわけだが、じつはその走りはレーシングドライバー目線でも納得できる走りなのだ。
お薦めはターボモデル。わずか660ccの排気量ながらターボチャージャーを装着することで実用上十分以上の動力性能を発揮している。テストコースで試したら140km/hの速度リミッターがあたる領域でもずっと快適に走り続けることができるほど。
ハンドリングに関しては旧モデルのカスタム・ターボがもっとも素晴らしく、ハイルーフにもかかわらず重心が低く感じられる適切なロール設定に感心させられた。
新型が80kgも軽量化され魅力的だが、それに合わせたサスペンション設定がやや柔らか過ぎる。個人的にはN-VANのロール剛性を高めたリヤトーションビームを新型のターボ・カスタムに装着してみたい。
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