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新型スープラの走りは想像以上に楽しかった!──プロトタイプモデル最速試乗記

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新型スープラの走りは想像以上に楽しかった!──プロトタイプモデル最速試乗記

トヨタ スープラのプロトタイプ試乗会は、さながらブラインドデートのようだった。会場で手渡された資料に記してあるスペックは、以下の3つのみ。

・駆動(FR)
・トランスミッション(8速スポーツAT)
・パワートレーン(3ℓ直6ターボ)

進化するBMWデザイン──新しい扉を開く8シリーズ、Z4のデザイン

すでに報道されているように、新型スープラはトヨタとBMWが協力して開発したモデル。スープラは、2018年秋のパリサロンで発表されたBMW Z4の兄弟になる。なにはともあれ、会場となった袖ヶ浦フォレストレースウェイで、ボディがカムフラージュされたスープラに乗り込む。

エクステリアだけでなく、インテリアもほとんどの部分が黒い布で覆われ、詳細は確認できない。ピットから発進しようとウィンカーを出したつもりが、ワイパーが作動した。つまり右ハンドルではあるけれど、ウィンカーレバーはステアリングホイールの左側に位置する。ガイシャだ。

第1コーナーに向かう途中で、エンジンの鋭いピックアップと滑らかな回転フィールにほれぼれする。張りがあって抜けがいいエグゾーストノートとともに、もっと回せ! と、エンジンがドライバーを煽る。

ちなみにBMW Z4に搭載するのは3.0リッター直列6気筒ターボエンジン。最高出力の340psも立派であるが、1600rpmという低回転域から500Nmもの大トルクを発揮するのが特徴だ。同じエンジンがスープラにも搭載されていると考えるのが妥当だろう。

最初の右コーナー手前でフルブレーキング。ステアリングホイールの手応えはしっかりしたもので、この日はあいにくのウェット路面だったけれど、タイヤと路面の関係がくっきりと手のひらに伝わってくるから自信を持って操作できる。

ターンインは軽快で、ステアリングホイールを操作するとサッと身を翻す。ブレーキング時の巌のような安定感と、ターンイン時の“ひねり王子”こと体操の白井健三選手のような身のこなしが、見事に両立している。

ウェット路面に慣れてアクセルが踏めるようになると、従来のトヨタ車との違いが明らかになってくる。パワーを与えた時に、テールスライドを許すようなセッティングになっているのだ。

VSC(ヴィークル・スタビリティ・コントロール=横滑り防止装置)とトラクションコントロールのモードを、「TRACTION」と呼ぶモードにすると、それが顕著にわかる。テールスライドをまったく認めないわけではなく、ある程度の自由がドライバーに認められているのだ。

だから何が言いたいかというと、楽しい!

2速や3速で回るコーナーでアクセルペダルを踏むと後輪がズルッと滑るけれど、大げさなカウンターステアを当てずとも、ほんのちょっとだけアクセルペダルを戻して、ステアリングホイールを直進状態に戻すとスープラは安定した姿勢を取り戻す。そして本当にヤバい姿勢になると、そこでVSCが作動してスピンから救ってくれる。

このクルマのドライバーは、お釈迦様の手のひらで遊ぶ孫悟空だ。好き放題に遊んで、手のひらから落っこちそうになるとお釈迦様が助けてくれる。

パドルシフトからシフトセレクターでのマニュアルシフトに切り替えると、操作系がBMW流儀であるのがわかる。すなわちシフトセレクターを手前に引くとシフトアップ、向こう側に押し込むとシフトダウンだ。

シートに身体が押しつけられる加速時には手前に引いてシフトアップ、身体が前につんのめる減速時には押し込んでシフトダウン、だから理に適っているとBMWのエンジニアに説明を受けた記憶が蘇ってきた。

新型スープラが、いつまでも乗っていたくなるような素晴らしいスポーツカーであるのは間違いない。ただひとつ気になるのは、ドライブフィールがまんまビーエムじゃないか、といった点だ。鉄のパネルで組み立てたのではなく、無垢の金属を削り出したかのようなソリッド感はいかにもBMWっぽい。Z4にトヨタ スープラというエンブレムを付けたのではないか、という疑問がアタマをもたげる。

といったあたりを、開発のまとめ役を務めたトヨタの多田哲哉氏に訊く。

スープラの復活が決まったのは2012年。1978年にデビューした初代モデル(日本ではセリカXXと呼ばれた)以来、スープラのキモは「直6のFR」だった。けれども2012年時点で、トヨタに直6エンジンの持ち合わせはなかった。そこでディーゼルエンジンの開発などで関係のあったBMWとのコラボレーションが始まったそうだ。

ただし、「決してBMWの基本的な車体構造(プラットフォーム)を単純に流用したわけではない」と、多田氏は主張する。プラットフォームこそBMWのZ4&3シリーズと共有するものの、開発はまったく別々におこなわれたというのだ。

ただし、ウィンカーレバーの位置やシフトセレクターについては、現代のクルマにあっては電子プラットフォームを変えるのが一大事であるというのが理由で、そのままにしているという。

走行面については、トヨタ伝説のテストドライバー、故・成瀬 弘さんの後継者が独自の味付けをおこなったそうだ。テストはモンテカルロ・ラリーやツール・ド・フランスがおこなわれるようなヨーロッパのワインディングロードをはじめ、スポーツカーの聖地であるニュルブルクリンクサーキットも走り込んだ。

ベンチマークはポルシェ 718ケイマンSで、0-100km/h加速やスラロームのタイムなどはすでに凌駕するという。ちなみに718ケイマンSは最高出力が350psで、0-100km/h加速は4.6秒。

最後に多田氏は、「本音を言うと、スープラはこうしたサーキットよりも一般道を走った方が、その良さがわかる」と、話した。この楽しいスポーツカーを、一刻も早くワインディングロードで走らせてみたいと、強く思うのであった。

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