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オーテックが止まらない! 2代目マーチから始まった福祉車両の衝撃「進化」とは

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オーテックが止まらない! 2代目マーチから始まった福祉車両の衝撃「進化」とは

ライフケアビークルの乗り降りサポートは常に進化中

 オーテックジャパンが手がける日産グループの福祉車両(ライフケアビークル)。多彩なベース車両、さまざまな仕様が用意され、施設での利用から個人利用まで、幅広いニーズに応えるモデルがある。そんなオーテックジャパンのモデル開発の歴史を紹介しているこのコーナー。前編では車いすを載せるチェアキャブについてご紹介してきたが、今回は身体の不自由な方のための、乗り降りのサポートを行う車両について紹介して行くこととした。

45年前から福祉車両をリード! 技術の塊「オーテック」の歴代モデルが熱い

マーチから始まった回転シート

 現在オーテックジャパンのラインアップの中にはシートが回転して乗降をサポートする回転シートや、シートが電動昇降するスライドアップシート、さらには自動でステップが出てくるモデルなどが乗り降りのサポートを行う福祉車両として用意されている。

 オーテックジャパンの回転シートの歴史は1995年のマーチ(K11)から始まっている。当時は在宅介護の負担が社会的にも表面化した時代で、介助の負担を減らすためのクルマの装備にも注目が集まった。マーチに搭載された回転シートはそのひとつだった。

 身体が不自由な方がクルマで出かけるのをサポートすると言う願いを込めた回転シート。誰もがドライブを楽しめる環境を作るために作られた新しいタイプの福祉車両だった。

スライドアップシートはセレナから

 1996年にはセレナベースのモデルにも2列目に回転シートを備えたモデルを投入。しかもシートが回転して降りるというメカニズムを持ったスライドアップシートを搭載。ミニバンの広い室内やスクエアなボディ形状からチェアキャブのベースとしてもたびたび用いられてきたセレナは、日産の福祉車両ベースとしてすっかり人気の車種となっていた。

 1998年にはエルグランドにも2列目のスライドアップシートを採用。このモデルではモーター部分などのユニットを小型化。従来はシート背面に取り付けていたユニットを、座面の下に収めることができるようになり座席後ろのスペースを犠牲にすることもなくなる。

 加えて同年には2列目ではなく助手席にスライドアップシートを備えた車種(プレサージュやプレーリーリバティ)も登場。それまではAピラーの角度などで助手席へのスライドアップシートの設置は難しかったが、ミニバンのボディ形状によって設置の可能性が高まったのも新たなモデルの登場に影響している。

 身体の不自由な方を助手席に載せて、2人でドライブに出かけるという利用方法も想定され、ますます福祉車両が特別なクルマでは無いことをアピールすることになった。

 2002年には人気が高まっていたスライドアップシートがまたも進化。複雑なメカニズムを備えているスライドアップシートはそれまで前後スライドができなかった。しかし新型ではスライド機構を新設。最初に搭載したのは2代目となるキューブ。リクライニングと合わせて乗員が快適に座ることができる環境を整えた。

 さらに2003年にはスライドやリクライニングを電動化。シート(助手席)操作のボタンは一般的な左側に加えて、右側にも設置されるのが特徴。これは身体の不自由な方がボタン操作が難しい場合、運転席の介助者が操作できるようにと設置されたのだ。また左半身が不自由な場合でも右手で操作できることも考慮された作り。このように福祉車両に乗る際の快適性は年々アップしていった。

ニーズに応えて続く 進化と多様性

 2007年にも大きなスライドアップシートの進化がある。従来のスライドアップシートの動作は一定のスピードだったが、新モデルは人が乗っていないときには速く動く機構が搭載された。雨の日など、シートを速く動かしたいときに便利な機能となった。さらに従来シートの乗降はボタンを使って手動で行っていたが、新しいモデルはメモリー機能を備え、車いすの座面に合わせて自動的にシートを乗降できる機能も新設された。介助者にも優しい使いやすさを重視した設計があちこちで進化を遂げた時代だった。

 ここまで紹介してきたオーテックジャパンのライフケアビークル。1970年代から常に進化を続け、幅広いニーズに応える福祉車両を開発し続けている。

 そんなオーテックジャパンの魅力のひとつは車種の多様性だ。軽自動車からマイクロバスまで、用途に合わせて福祉車両のサイズを幅広く選べる数少ないメーカーのひとつなのだ。事業所など、複数の車両を利用する場合、ひとつのディーラーで小型から大型の福祉車両までをメンテナンスできるのも大きな魅力だろう。

ライフケアビークルが選択肢のひとつとなった時代に

 また福祉車両へのベース車の適応という面でも日産車には魅力が多い。セレナe-POWERも福祉車両のベースとして採用されているのがその一例。

 他社のハイブリッド車はラゲッジに大きなバッテリーを備えているため、リフターなどの設置は難しいことも多い。しかしセレナe-POWERはバッテリーをフロントシート下部に設置しているため、ラゲッジはガソリン車と同じ構造でありラゲッジへの福祉車両関連の装備が無理なく設置できるのだ。

 変わったところでは補助ステップにLEDを取り付けるなど、従来の実用一点張りの福祉車両では無く、カッコ良さやデザイン性を追求したモデルや装備の投入も始まっている。

 進化を続けてきたオーテックジャパンの福祉車両。1998年からは日産グループでは福祉車両をライフケアビークルと呼び、高齢者を含めた身体の不自由な方をサポートする車両としている。出かける喜びを一人でも多くの方に感じてもらえるように、オーテックジャパンでは日々開発を進めている。ますます一般的なクルマに進化している福祉車両、高齢者のいる家庭も含めて車種選択のひとつに入れておきたいクルマとなっている。

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みんなのコメント

1件
  • 間違っても飯塚のような高齢のせいで体が悪い人に売ってはいけない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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