現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > アメリカでは「アクア」も「プリウス」 日本と海外で車種名を分ける理由 「86」はスラング!?

ここから本文です

アメリカでは「アクア」も「プリウス」 日本と海外で車種名を分ける理由 「86」はスラング!?

掲載 更新
アメリカでは「アクア」も「プリウス」 日本と海外で車種名を分ける理由 「86」はスラング!?

■米国で信頼のブランド「プリウス」 ならば「アクア」も…

 日本車が海外で売られる、あるいは輸入車が日本で売られる場合、車種名が変えられることがあります。なぜ車名を国ごとに変える必要があるのでしょうか。

高級車の車検は高い!は本当か 新車時4000万円「ベントレー」の車検費用は?

 車種名に詳しく、『車名博物館PART1』(八重洲出版)の著書もある同社の吉川雅幸さん(以下:吉川)によると、理由はケースバイケースとのこと。どのような例があるのか聞きました。

アメリカではネガティブに捉えられたトヨタ「プリウスPHV」

 吉川:「プリウス」はハイブリッドカーを誰もが買える市販車として世に広め、世界にその名を轟かせています。そのネームバリューが特に大きいアメリカでは、「プリウス」=環境車、燃費がいいクルマというイメージが強く、「アクア」も「プリウスC(Cityの意味)」という名前で販売されているほどです。

 プリウスの派生モデルである「プリウスPHV」は、先代まではアメリカで「プリウスプラグインハイブリッド」と呼ばれていましたが、現行モデルから「プリウスプライム(最上の)」という車名に変更されました。「プラグイン」という名が、「プラグインしないと走れないクルマ」とネガティブに捉えられてしまったそうです。そこで、プリウスの最上級グレードのような位置づけでイメージチェンジが図られました。

 ちなみに、日本では「PHV」をアピールすべく変更されませんでした。「プリウス」の名前をしっかり育てていくうえで、このクルマも一翼を担っているため、名前を残したとのことです。

■2大スポーツカー「86」「ロードスター」、海外では…?

 販売地域からの要望や、その地域の人々へ配慮する形で、車種名が変えられた日本車もあります。

強烈なスラングだったトヨタ「86」

 吉川:トヨタとスバルのコラボレーションによって誕生したトヨタのスポーツカー「86」は、アメリカでは当初、若者向けブランド「SCION」を冠した「サイオンFR-S(FRスポーツの意味)」と呼ばれていました。「86」つまり「EIGHTY SIX」は、「何かをぶっ壊す」という意味のスラングだったからです。

 しかし、昔のAE86(カローラレビン/スプリンタートレノ)がクールだとアメリカのクルマ好きにも評価されるようになり、現代の「86」(2012年~)には、スラングのネガティブな印象はもはやなかったといいます。そこで、2016年夏の「サイオン」ブランド廃止とともに、日本と同じくTOYOTA「86」になりました。

 ちなみに、ヨーロッパでは「86」だけだとどのようなモデルか分かりづらいということで、キャラクターを示すGTを冠した「GT-86」と命名されています。地域に応じてスラングに配慮したり、車両のキャラクターをわかりやすくする狙いから、車種名を分けているのです。

「MX-5」その意味は? マツダ「ロードスター」

 吉川:「2人乗り小型オープンスポーツカー」の累計生産台数においてギネス世界記録を更新し続けているマツダ「ロードスター」は、欧州をはじめ世界的には「MX-5」と呼ばれています。Mはマツダの頭文字、Xは「RX-7」のようにスペシャルティモデルに統一して付けられる符号、5は車格的な意味合いです。かつて「カペラ」系クーペの海外名は「MX-6」でした(のちに「クロノス」系クーペの名として国内でも使用)。

 アメリカではさらにサブネームを付けた「MX-5 MIATA」とされています。「ミアータ」はコンピューターで作られた言葉で、「ラテン系と混血の日本の女の子」をイメージさせるということで命名されたものです(「ミアータ」は古いドイツ語で「報酬」「贈り物」の意味もある)。

 このクルマは日本よりもアメリカで先に発売されています。個別の愛称を好む日本では「ミアータ」を推す声もありましたが、国内営業部門からの要望で「ROADSTER(ロードスター)」に決まりました。軽量スポーツカーとして軽さやコンパクトさを実現するため、ソフトトップを重量のかさむ「カブリオレ」「コンバーチブル」タイプではなく、簡便で軽い「ロードスター」タイプにしたことが命名につながっています。これも、地域ごとの要望から車名が別れてしまった例ですね。

■フェラーリの車種名が日本で変わったワケ

 輸入車の販売名が日本で異なる例もあります。

2語が商標とバッティング フェラーリ「599GTB フィオラノ」

 吉川:輸入車を日本で販売する場合はたいてい、名前はそのままです。これは、海外の車種名は数字や記号名が多く、商標を取りやすいのと、海外メーカーならではの言葉の使い方(イタリア語の4ドア=クアトロポルテなど)があり、既存の商標に引っかかりにくいのが理由として考えられます。ただ各メーカーとも、世界展開に際しては当然各国の商標をきちんと調べます。そのなかで日本のメーカーが持つ商標とバッティングし、改名を余儀なくされることもあるのです。

 古くはオペル「コルサ」がトヨタの持つ商標とバッティングしたため、「VITA(ヴィータ)」に改名したケースもあります。近年では、フェラーリ「599GTB フィオラノ」で、「GTB」「フィオラノ」とも日本の企業が持つ商標だったことから、フェラーリ599として日本で展開していました。

 プジョーがグレード名に使用している「シエロ(スペイン語で天空の意味)」も、日本でかつてトヨタが「スプリンター シエロ」で使っていたものです。しかしこれは、何らかの形で権利がプジョーに移転しています。

日本の商標なのに変わらなかった例 マセラティ「レヴァンテ」

 吉川:マセラティ初のSUVが「LEVANTE(レヴァンテ)」です。これは「ギブリ」などと並んで地中海近辺を吹く風の名前に由来しています。穏やかな風から一瞬にして強風となり、このクルマの個性と相通じるものがあるところから命名されたものです。

 この名前、日本ではマツダの登録商標でした。もともとは1967(昭和42)年に出願されています。車両としては1987(昭和62)年に発売された「ファミリア」3ドアの寒冷地限定車(4WD)に対して使用され、その後、1995(平成7)年にはスズキから「エスクード」のOEM供給を受けた「プロシード レバンテ」として使われました。

 マツダの商標の権利が期限切れを迎えていたのか、あるいはマツダと交渉して商標の受け渡しがあったのかは不明ですが、こちらは意外な形で「復活」を遂げました。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
VAGUE
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
レスポンス
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
motorsport.com 日本版
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
くるまのニュース
まるでリアルRPG!? 目指せ鈴鹿8耐優勝! レーシングライダー石塚健が新チーム立ち上げを発表
まるでリアルRPG!? 目指せ鈴鹿8耐優勝! レーシングライダー石塚健が新チーム立ち上げを発表
バイクのニュース
デジタル装備が進化、走行性能もアップ!フリークも納得した新型「ゴルフ8.5 GTI」の高い実力
デジタル装備が進化、走行性能もアップ!フリークも納得した新型「ゴルフ8.5 GTI」の高い実力
@DIME
【MotoGP】ホンダは思ったより大丈夫? アプリリアから加入のアルベシアーノ「革命は必要ない」
【MotoGP】ホンダは思ったより大丈夫? アプリリアから加入のアルベシアーノ「革命は必要ない」
motorsport.com 日本版
「これが普段使い!?」メルセデスAMG A35が“異次元”サウンドマシンに進化 Pro Shop インストール・レビュー by レジェーラ 後編
「これが普段使い!?」メルセデスAMG A35が“異次元”サウンドマシンに進化 Pro Shop インストール・レビュー by レジェーラ 後編
レスポンス
スーパーフォーミュラの改革は話題づくりだけじゃない。さらなる発展に不可欠な“制度整備”……ハンドボールリーグ元事務局長が荒地を耕す
スーパーフォーミュラの改革は話題づくりだけじゃない。さらなる発展に不可欠な“制度整備”……ハンドボールリーグ元事務局長が荒地を耕す
motorsport.com 日本版
スバル新型「S210」登場! 計算された“300馬力”の意図は? めちゃ速いのに室内が超快適なワケとは? 「“スゴい”スポーツセダン」についてSTI本部長に聞いてみた!
スバル新型「S210」登場! 計算された“300馬力”の意図は? めちゃ速いのに室内が超快適なワケとは? 「“スゴい”スポーツセダン」についてSTI本部長に聞いてみた!
くるまのニュース
 今や“シールドあり”が主流!? 「オフロードヘルメット」とは?
今や“シールドあり”が主流!? 「オフロードヘルメット」とは?
バイクのニュース
タナク、2.5秒差の3番手から虎視眈々「明日を楽しみにしている」/WRCスウェーデン デイ2コメント
タナク、2.5秒差の3番手から虎視眈々「明日を楽しみにしている」/WRCスウェーデン デイ2コメント
AUTOSPORT web
ランチア「ストラトス」やアウディ「クワトロ」など貴重なラリーカーが富士を逆走!「トヨタ7」のエンジンにも火が入りました
ランチア「ストラトス」やアウディ「クワトロ」など貴重なラリーカーが富士を逆走!「トヨタ7」のエンジンにも火が入りました
Auto Messe Web
Genbの『ハイエース』用ブレーキパッドが進化、同乗者や積載物にも優しい自然なフィーリング実現
Genbの『ハイエース』用ブレーキパッドが進化、同乗者や積載物にも優しい自然なフィーリング実現
レスポンス
神童アントネッリ……実は普通の18歳。好物は和牛!? 「鈴鹿を走るのは楽しみだけど、東京とか日本の色々な所に行ってみたい!」
神童アントネッリ……実は普通の18歳。好物は和牛!? 「鈴鹿を走るのは楽しみだけど、東京とか日本の色々な所に行ってみたい!」
motorsport.com 日本版
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選 
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選 
WEB CARTOP
路面電車にも「スピード違反」はあるのか 最高速度制限の法律と運用どうなっている?
路面電車にも「スピード違反」はあるのか 最高速度制限の法律と運用どうなっている?
乗りものニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

214.6283.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.8325.0万円

中古車を検索
アクアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

214.6283.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.8325.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村