さらなる高みを目指すという意志が感じられるから、エールを送るという意味を含めて厳しく評価する。そこには、こもだ氏の愛情が込められている。「2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」受賞の新型レヴォーグをどう見ているのか、まとめてくれた。(Motor Magazine2021年3月号より)
レヴォーグ高評価のポイントはボディ剛性
レヴォーグが「2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したことに異論はない。60名の選考委員の中で、ベスト5に入れたのが57名、そのうち満点を入れたのは25名で、見事に2位のヤリス三兄弟に差をつけることができた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)
ちなみに筆者はレヴォーグに3点を投じたが、点数を入れた選考委員の中では低い方だ。その辺の理由を説明しよう。
レヴォーグの高評価の要因はボディにあると思う。ボディがしっかりしているからハンドリング性能と乗り心地という走りの原点が、これまでの日本車では到達できなかった高いレベルに到達した。
高速道路でもフロアまわりの剛性の高さがあり、太いフレームがズドンと通っているような安心感がある。ブルブル振動も少なくなり、ヘラヘラした安っぽさもないから乗り心地、快適性が2ランクくらいアップした感じだ。
これに伴いハンドル応答性も格段に正確になった。ニュートラルの遊びは小さく、微小舵から遅れなく反応する。ゲインは高過ぎずビギナーからベテランまでクルマをうまく操れる。
課題を感じるレヴォーグのドライブトレーン
ワインディングロードを走ってもハンドリング性能の好印象は変わらない。カーブの曲率に沿ってハンドルを切っていけば、ドライバーの期待どおりにノーズが入り込む。そのときにフロントの外側が沈み込むこともなく、かなり積極的に走ってもボディはフラットさを保っている。
カーブがさらに曲がり込んでいる場合でも、ハンドルを切り足すと応答性の追従がよく、アンダーステアを感じずに回り込んでいくから安心だ。路面が悪いところでも、ボディ剛性が高いので余分な振動を車内に伝えにくくなったので、高級感が出ている。
ただし、もう少しストローク感があるといいなと思うケースもある。試乗したのがGTとSTIで、走りにウエイトを置いているからかもしれない。あるいは、開発テストをもっとハイスピード領域でしているのか?という印象も受けた。
こういう味付けで何となく感じるのはドイツ車の後追い感だ。もしこの方向で行くなら、もっとエンジンに色気を感じさせなくてはいけない。回転の上昇の仕方、トルクの出し方、音のチューニングまで含めて魅力を出したい。課題はトランスミッションにもある。
リニアトロニックというCVTは燃費には有利だが、アクセルコントロールや踏み始めのレスポンスなどドライバビリティでは他方式に劣る。アイサイトXなど得意分野もあるが、ドライブトレーンが弱点として残る。(文:こもだきよし/写真:永元秀和)
スバル レヴォーグSTIスポーツEX主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1580kg
●エンジン:対4 DOHCターボ
●総排気量:1795cc
●最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rpm
●最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・63L
●WLTCモード燃費:13.6km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●車両価格(税込):409万2000円
スバル レヴォーグGT-H EX主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1570kg
●エンジン:対4 DOHCターボ
●総排気量:1795cc
●最高出力:130kW(177ps)/5200-5600rpm
●最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・63L
●WLTCモード燃費:13.6km/L
●タイヤサイズ:225/45R18
●車両価格(税込):370万7000円
[ アルバム : こもだきよし「COTY高得点のワケ」 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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