もくじ
ー 積算5407km 高機能なシート
ー 積算1万4693km ニュルブルクリンクの過酷さ
ー M5の真の魅力
ー 慣れるには時間も
ー テスト車について
ー テストの記録
積算5407km 高機能なシート
ステアリングコラムや背もたれ(の上下)、腿下のサポート、ヘッドレスト、シートの上下前後すべてが電動で調整できる。メモリー機能を使わなければいけないほど、調整できる項目は多岐にわたる。
さらに、ヒーターやクーラー、マッサージ機能すらついてくるのだ。シートはわたしの体重以上に重いに違いない。
積算1万4693km ニュルブルクリンクの過酷さ
ラインラントの目がくらむような草原の中に、一筋の黒いラインが続いている。温泉で有名なバート・ノイェンアールと、ニュルンベルクの間に存在するコースだ。大部分はきれいに舗装されており、のどかな景色に囲まれている。Eクラスのタクシーがお似合いで、まったく悩みがないような世界に見える。
面白いことに、この道はある程度攻め込むと途端に過酷なコースに変わる。2速、3速だけでなく、4速コーナーすら存在するばかりか、路面状況は気まぐれに変わり、思いがけない傾斜もある。
なかには、かの有名なラグナセカのコークスクリューのようなコーナーもあり、こればかりは本当に勘弁してほしい。ほかにも、ブラインドコーナーかつ出口が路面が切り替わり、幅が狭くなるようなコーナーもある。ここを3速フルスロットルで駆け抜けなくてはならないのだ。
ご存じの通り、これがニュルブルクリンクだ。ニュル24耐がおこなわれた週末、ここでM3 CSが発表された。M3 CSこそがM最強モデルだというが、正直ほぼM5と互角だと思う。こうして比較できるのも、長期テストをしているM5でもニュルを走ったからだ。
M5の真の魅力
残念ながら、M5は400kgほど重く、重心も高い。しかし純粋に、驚異的なボディコントロールや、まるでロータス・エキシージのために用意されたようなこのコースを楽しませてくれたという事実からは、そのエンジニアリングが同じように賞賛に値すると言える。
予想していたかもしれないが、自宅とニュルを往復したのはこの長期テスト車である。そこで、M5の真の魅力を垣間見た。
ふたつの高速道路に挟まれた裏道は1450kmほど続いており、平均燃費は9.1km/ℓ、費用の合計は260ポンド(3万7000円)だった。4.4ℓのV8ツインターボでは質素さなど望むべくもないが、もしもっと曲がりくねった道を走ろうものなら、速度無制限のアウトバーンが恋しくなっていただろう。
M5は264km/hになるとリミッターにかかって速度が落ちるものの、まだまだ加速していきそうに感じられる。だが、もしかすると、この速度域でも後席のパッセンジャーと大声を出さなくとも話せる点の方が特筆に値するのかもしれない。
M5なら、この手の旅は極めて簡単で安楽だ。大陸側に入ると自動的に速度表示をkm/hに変更さえする。快適でスペースは広く、ハーマン・カードンのサウンドシステムは非常に素晴らしい。まさに疲れ知らずだ。
慣れるには時間も
だが、M5はとてもずんぐりしていて、幅はランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテ並みだ。そのせいで、ヨーロッパトンネル鉄道のトップデッキ幅に限界があり、アロイホイールには小さな傷が入ってしまった。
わたしが幸運にもこのクルマを運転できるときにはいつも、3つ思うことがある。着座位置があまりにも高く、スーパーサルーンとしてもボディコントロールは毎日の運転には少々過敏で、もう少しホイールアーチが欲しい。M5の波長に合わせるのは少し時間がかかるものの、一度できてしまえば心奪われてしまう。
好きなトコロ
ミサイルのようなクルージング
マッサージ機能のついた600psのサルーンなら国越えも容易だと想像がつくが、やはり体感すると驚きだ。
嫌いなトコロ
航続距離
嫌いというと言い過ぎだが、もし燃料タンクが現在の70ℓよりももう少し大きければ、一回の補給で720kmほど走ることができるのにとは思う。
テスト車について
モデル名:BMW M5
新車価格:8万7940ポンド(1259万円)
テスト車の価格:10万1900ポンド(1459万円)
テストの記録
燃費:9.1km/ℓ
故障:無し
出費:無し
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