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日本車屈指の色香! マツダRX-7で1500km(1) ロータリーターボでバイオ燃料を燃やす

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日本車屈指の色香! マツダRX-7で1500km(1) ロータリーターボでバイオ燃料を燃やす

燃費が悪いことでも有名なFD型マツダRX-7

かつてのクルマ好きは、血中アルコール度を守り、生活費と帳尻を合わせ、社会の調和を維持すれば問題なかった。クルマの環境負荷は高くても、その時代なりの努力がなされ、合理化することはできた。

【画像】ロータリーターボでバイオ燃料を燃やす マツダRX-7で1500km RX-8とコスモ110Sも 全100枚

ところが、近年はクラシックカーの電動化、エレクトロモッドへ注目が集まっている。古いクルマを嗜む人でも、罪悪感に苛まれる割合が少なくないことを示している。

ただし、電動化が唯一の手段ではない。持続可能性を担保した燃料を選べば、エンジンを降ろさずに愛車との時間を気兼ねなく楽しめる可能性はある。今回は、そんな新エネルギーの実際を確かめるため、グレートブリテン島を縦断してみようと思う。

選んだのは、1992年式のFD型マツダRX-7。特徴的なロータリー・ツインターボエンジンを積むが、燃費の悪さでも有名なモデルだ。ダークなモンテゴ・ブルーに塗られたボディは、小柄で滑らか。眺めている限り、ガソリンを大量に燃やすようには思えない。

ツインローターの排気量は1.3Lで、最高出力は240ps。AUTOCARでは1992年に詳細データテストを実施し、5.5km/Lという燃費を目の当たりにしている。同時期のフェラーリ512 TRは、428psで5.2km/Lだった。

この燃料消費量に対応するため、ガソリンタンクは77Lと巨大。その結果、荷室の床面が高い。

官能的な美しさを湛える有機的デザイン

今日、このタンクを満たしているのは、英国のサステイン社が精製した液体。原油由来ではない、バイオ燃料だ。通常のガソリンと比較して、産出や輸送コストまで含めると、CO2排出量は82%も削減できると主張されている。

今回は、このバイオ燃料で1500kmほど走る。グレートブリテン島の最北に位置する、ジョン・オ・グローツという小さな村を目指す予定だ。

サステイン社が主張する通り、何の改造も加えずに、30年以上前のRX-7は長距離を快走できるだろうか。この遠征が成功すれば、ピストンエンジンのクラシックカーにも対応するはずだ。

と、堅苦しいことを書いているが、筆者が何より楽しみなのはFD型の運転そのもの。日本製スポーツカーのレジェンドの1台と、3日間をともにできるのだから。

ドアを開く前から、自分は魅了されている。歴代の日本車で、スタイリングの素晴らしさは5本の指に入るだろう。1990年代は曲線基調の有機的なデザインが流行したが、RX-7は無駄に膨らむことなく、均整の取れた姿に仕上がっている。

官能的な美しさを湛えつつ、スポーツカーらしい。日本のクルマは真似が多いと批判されることもあったが、この例は間違いなく違う。同時期のBMWやポルシェと並べれば、独創性や先進性が顕著に見えるはず。

線形的なトルクカーブ 過給音が聴覚体験の中心

出発地はグレートブリテン島南西部の先端、ランズ・エンド岬。晩夏の早朝で、道には人影が殆どない。国道A30号線は、幅は狭いが適度にカーブを描く。RX-7の操縦性を確かめるのに、絶好のロケーションといえる。

13Bユニットは、極めて滑らかに回る。パワー感は一般的なターボエンジンと違わないものの、シーケンシャル・レイアウトのツインターボで、トルクカーブは線形的だ。

自然吸気のロータリーエンジンと異なり、中域トルクも充分。2基目のターボが効き始めるのは、5000rpmの手前から。ここを過ぎると勢いが増すが、エグゾーストノートは大きくなく、高音の過給ノイズが聴覚体験の中心になる。

7000rpmまで引っ張ると、リミッターのブザーが鳴る。気持ちを鎮めるように。

40分も走らないうちに、道は直線中心に。クルーズコントロールをオンにする。ダッシュボード上のボタンは、システム起動のボタン。ステアリングホイール上に、セット、キャンセル、アクセルのボタンが並ぶ配置は独特だ。

それ以外のキャビンに、変わった部分はない。内装はブラックのプラスティックが支配的。エアコン用のダイヤルが触れやすい位置にあり、ドライバー正面にあるタコメーターの色使いは、ポルシェに似ている。

シートは感心するほど座り心地に優れる。身体を包み込みつつ、窮屈ではない。シフトレバーとステアリングホイール、ペダルのポジショニングも完璧。しっかり人間工学が意識されている。リアシートはなく、収納ボックスが据えられる。

バイオ燃料の価格はガソリンの約3倍

高速道路でRX-7を味わっているうちに、ロンドンの西、オックスフォードシャー州へ。サステイン社の拠点があり、クラシック・スーパー80と名付けられたバイオ燃料の給油所もある。

今のところ、ここが英国で唯一のスタンドだが、2024年中に4・5か所へ増える予定にある。このバイオ燃料には原油由来のガソリンが20%混ぜられ、コストを抑えている。それでも、1L当たり4.65ポンド(約900円)でかなり高い。

英国ヒストリックカー・クラブ連盟の試算では、燃費約7.0Lのクラシックカーで2000km走ると、燃料代は424ポンド(約8万円)から1264ポンド(約24万円)へ増えるという。

古いベントレーやフェラーリをコレクションする富裕層にとっては、巨大な額ではないかもしれない。しかし、MGBやゴルフ GTIを週末に楽しむような庶民には、現実的な選択肢にはなりにくいだろう。

この付近の荒れた一般道は、RX-7と相性があまり良くないようだ。乗り心地は充分しなやかだが、路面からの入力をサスペンションが吸収しきれず、稀にボディシェルへ衝撃が届いてしまう。

マツダは高剛性で軽いRX-7を目指したため、サブフレーム・マウントは硬い。防音材は最小限で、欧州仕様ではサスペンションも強化され、フロントストラットにタワーバーも追加されている。シャシーの反応は、清々しいほど機敏だ。

淀みなくパワーを生み出すロータリーターボ

高速道路のM1号線へ合流。グレートブリテン島の真ん中、シェフィールドの街で2度目の給油をする。バイオ燃料のドラム缶を載せたサステイン社のサポート車両が、RX-7を追走してくれている。

ドラム缶からの給油時間は、一般的なガソリンスタンドと殆ど変わらない。うっかりこぼした時に備えて、養生マットを敷く手間はあるけれど。人間もエネルギーを補給し、最初の夜を明かした。

翌日、目指すのはグレートブリテン島西部にあるウィンダミア・ボート・レーシングクラブ。このクラブが管理するボートの数隻は、バイオ燃料で航行しているらしい。

高速道路のM6号線で北上。国道A685号線へ降り、ルーン渓谷の道へ飛び込む。ロータリーターボが淀みなくパワーを生み出し、グリップを活かして鋭く旋回。滑らかなアスファルトが敷かれた日本の峠とは異なるが、素晴らしく楽しい。

凹凸を越えると、テールが稀にきしむ。ボディの負担を考え、程なくペースを落とした。シェフィールドからウィンダミア湖までなら、RX-7でも給油の必要はなかった。

この続きは、マツダRX-7で1500km(2)にて。

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みんなのコメント

2件
  • *****
    この赤いタワーバー1つですら純正としてはかなりオシャレでもあったよね👍
  • HT128
    そりゃ動くでしょ
    元々、REはマルチフューエルの先駆け的エンジンなんだからさ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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