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プリンス・スカイライン2000GT(昭和40/1965年2月発売・S54型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト026】

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プリンス・スカイライン2000GT(昭和40/1965年2月発売・S54型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト026】

この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第26回目はスカイライン2000GT。スカイライン伝説はこのクルマから始まった。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)

「羊の皮を被った狼」の伝説を生み出したプリンス最後のスカイライン
高性能スポーツセダンとして認知されたスカイラインは、2代目のS50型である。初代ALSI型は、どちらかというとアメリカン・スタイルを採り入れたボディが印象的で、大型の高級ファミリーカー路線を歩んだが、2代目のプリンス・スカイラインは、一転してオーソドックスなヨーロピアン・ルックを持つオーナーカー&小型ファミリーカーへと転換を図った。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

昭和38(1963)年9月に登場したS50型スカイライン1500は、軽量かつ高剛性のモノコックボディを採用し、エンジンも1.5L直列4気筒OHVのG1型だけに絞り込んでいる。1500デラックス(S50D-1)は、激烈な販売競争が始まっていた1.5Lクラスへのプリンスの切札として投入されたモデルで、従来の1900はグロリア・シリーズに移し、1500のみとなった。

リアサスペンションもそれまでのド・ディオンアクスルをやめ、平凡な半楕円リーフリジッド・アクスルとなったが、グリスアップポイントをシールし、3万kmの無給油シャシとするなど、当時としては画期的な試みが盛り込まれていた。

またスポーツキットを設定したことも目新しく、4速フロアシフトを設定、さらに回転計、ノンスリップデフ、リクライニングシートなどが含まれており(価格は18万8000円、本体価格は73万円)、実はこのスポーツオプション設定がスカイラインGT誕生の伏線のひとつだった。

もうひとつの動機は、S50型が登場する4カ月前に開催された昭和38(1963)年5月の第1回日本グランプリでのプリンス・チームの惨敗である。このレースで各メーカーはモーターレーシングが販売に及ぼす影響に一驚したのだ。

昭和39(1964)年5月、スカG伝説が始まった
かくしてプリンスは翌昭和39(1964)年の第2回グランプリにて汚名を晴らすべく、S50型を進化させた高性能セダンの開発に着手。そのとき製作されたのが、スカイラインGT(S54A-1)である。

GTはスカイライン1500(S50型)のバルクヘッドから前をホイールベースで200mm延ばし、2代目グロリアのスーパー6に積まれていた2LのG7型直列6気筒SOHCユニットを強引に押し込んだ。

スカイラインGTは、ベレットに続いて「GT」を名乗った国産高性能モデルで、ホモロゲーションを満たすため、100台が製作され、翌昭和39(1964)年3月に発表されている。標準仕様のG7型エンジンは圧縮比8.8で、シングルキャブを装着し、 最高出力105ps/5200rpm、 最 大トルク16.0kgm/3600rpmを発生した。

だが、レース仕様はオプション装備として用意したウエーバーのツインチョーク・キャブレターを3連装してパワーアップ。トランスミッションも3速+OD付きとした。また。コーナリング性能を高めるためにLSDを装着している。

そして迎えた第2回日本グランプリ。GT-IIレースに出場したスカイラインGTは式場壮吉のポルシェ904GTSを抑えてポールポジションを奪取。決勝では格上のポルシェの圧勝に終わったが、わずか1周ではあったが、ポルシェを追い抜いてトップを走り、優勝は逃したものの上位を独占する活躍を見せた。これが世間から評価され、同じスペックのGTを望む声が一気に高まっている。

さらなる高性能化により無敵の存在に
そこで昭和40(1965)年2月、正式にカタログモデルとして登場したのがS54B-2と呼ばれるスカイライン2000GTだ。スペックはレース仕様とほぼ同じ。ウエーバーの40DCOEキャブを3連装し、圧縮比を8.8から9.3に上げて、最高出力は125ps/5600rpmを発生。OD付き3速フルシンクロのギアボックスを備え、最高速は180km/hと、当時の日本最速を誇った。

シャシのレイアウトはS50型とほとんど同一だが、ブレーキは前輪がディスクとなっている。タイヤは高速走行を保証する5.60-13 6PRを履いていた。タコメーターも標準装備する。ノンスリップデフと呼ばれるLSDや5速ミッションはオプション設定だ。

その年の9月にはシングルキャブ仕様で青バッジを付けた2000GT-Aを仲間に加えた。これを機に2000GTは2000GT-Bと改名している。赤バッジのGT-Bはサーキットで敵なしの快進撃を続けた。 

そして、昭和41(1966)年10月には日産自動車との合併を受けて「ニッサン・プリンス・スカイライン」を名乗っている。これ以降の2000GT系がS54B (A)-3だ。

翌、昭和42(1967)年8月 に は1500デラックスが新世代のSOHCエンジン・G15型を搭載。型式を新たにS57D型とし、プリンス最後のスカイラインとして登場した。

TOPICS
第2回日本グランプリ(昭和39(1964)年5月)での伝説の1シーン。生沢徹のスカイラインは式場壮吉のポルシェ904をかわして一時は首位に。結局はポルシェに勝てずにGT-IIクラス3位に終わったが、これがスカG伝説の出発点となった。

VARIATION
シングルキャブ仕様(105ps)のGT-Aの量産型は昭和40(1965)年9月から。街乗りではデリケートなGT-Bより乗りやすかった。写真は後期(S54A-3)モデル。フロントグリルのデザインが変更されている。スペックは最高速170km/h。0→400mが18.4秒。

プリンス・スカイライン2000GT-B(S54B-2)諸元
●全長×全幅×全高:4255×1495×1410mm
●ホイールベース:2590mm
●車両重量:1070kg
●エンジン型式・種類:G7型・直6SOHC
●排気量:1988cc
●最高出力:125ps/5600rpm
●最大トルク:17.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速MT(後に5速MT)
●タイヤサイズ:5.60-13 6PR
●新車価格:89万5000円

[ アルバム : プリンス・スカイライン2000GT-B はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

7件
  • wad********
    まあ、今の若い子らには乗れないでしょ?ハンドル重いしマニュアルシフトでクラッチ思いだろうし、パワーもないしブレーキは効かないし。
  • sin********
    ツートンカラーに塗られたのはカッコいいなあ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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