■新型インプレッサのエントリ―グレードがかなりお安い!?
最近よく「クルマが高くなった」と言われる。確かに、軽自動車だって支払い額200万円超えも珍しくないし、2リッター級のミニバンになれば500万円など普通。
そんななか、スバル新型「インプレッサ」の発表時に「ずいぶん安いですね!」というモデルを見つけた。それが「ST」というベースグレードで、2リッター水平対向エンジンを搭載し、ほとんどフル装備なのに229万9000円(消費税込)です。
【画像】「えっ!」 これが新型インプレッサの“最安モデル”です! 画像を見る(25枚)
スペックを詳しく見るとさらに驚く。もっとも「凄いね!」なのは、歩行者エアバッグを標準装備していること。スバルの場合、夜間の歩行者すら高い速度域から停止可能な衝突被害軽減ブレーキを含む「アイサイト」を標準装備する。
それでも対応しきれなかった時に「硬いAピラーやボンネットの根本に頭部が接触することを防ぎましょう」というもの。歩行者にとって世界一優しいクルマと言って良い。
もちろんアダプティブクルーズ機能を含むアイサイトは標準装備。衝突した時に乗員を守るエアバッグも前と横だけでなく、ドライバーのひざの前に「ニーエアバッグ」、助手席シート下の「シートクッションエアバッグ」まで付く。
おそらく「事故を回避する性能」と「事故に遭遇した時の防御力」は世界有数だと思う。自分だけでなく歩行者を含めて命を大切にした人にすすめたい。
安全アイテム以外も充実している。ヘッドライトはLEDだしアルミホイールも付いているし、スポーティモデルのようなパドルシフト付CVT、電動格納式ミラー、左右独立制御式フルオートエアコン、熱線吸収ガラスといった上級クラスのようなアイテムまで標準装備。
10万円くらいで買える後付けのナビ&オーディオ一体機など購入するだけで、大満足かつ安全性の高いクルマになる。
STがなぜ安いかといえば、スバル全体のラインナップを見ればわかります。
自動車メーカーは、官公庁や営業用のクルマを供給するという社会的な責任もある。スバル車も相対的に価格帯が上がってしまい、従来まで存在した1.6リッターモデルもない。
そんなことからSTだけ飛び抜けてバリューのあるモデルにした次第。猛烈にお買い得だと思う。実際、売れているそうです。
ちなみに今回試乗車した車両は“スッピンのST”でなく、オプション設定のスマートキーと、オーディオ一体型上級ナビが付いていた。
■車両重量が軽いぶん、スポーティな走りが際立つ
では試乗といきましょう。Dレンジをセレクトして走り出すと予想通り、ハイブリッドの「e-BOXER」より頼もしい。
STの154馬力に対しe-BOXERは158.6馬力あるのだが150kgも重い。e-BOXERの場合「完全に足回りがエンジンに勝ってます」と感じるほど。
STの車重1350kgなら必要にして十分なパワーになる。高回転まで引っ張ってやれば、なかなか元気。
しかも前述の通りCVTながらパドルシフト付き。「レヴォーグ」や「WRX S4」に搭載される2.4リッターターボを除き、現在販売しているスバル車のなかじゃ相当スポーティかもしれません。
燃費を追求したいのならアダプティブクルコンを使って巡航するも良し。「スバルあるある」で、長く走ると燃費が良くなる。
エンジンより圧倒的に優れているのが車体。なにしろ基本は400万円程度するレヴォーグと同じ。
他メーカーだとDセグメントあたりから採用する、凝った「Wピニオン」(電動パワステのモーターをステアリング軸でなくラックに装着することで剛性が大幅に向上する)を採用したり、サスペンションは前がストラット式、後ろがダブルウィッシュボーン式を使うなど、400万円級のハードウエアで構成されている。
乗り心地は上質だし、ハンドル操作した時のレスポンスや正確性も229万9000円のクルマだと思えないレベル。ハード面の手抜きをしていない輸入車のベーシックグレードと同じような魅力をタップリ持っている。
そうそう。リアシートに座っている人の印象を聞いたら「リアにエアコンの吹き出し口が無いのを除けば素晴らしいです」とのこと。試乗時の天気は、真夏の太陽ギラギラでした。
※ ※ ※
弱点は20世紀的な純エンジンという燃費イマイチのパワーユニットながら、週末用のクルマや、年間の総距離が短いという使い方ならあまり気にならないかもしれない。
はたまた10年とか15年乗り続けるという人には、シンプルなメカニズムだからメンテナンスしやすいかもしれません。
運転アシスト機能が心強い高齢者や、命を大切にして欲しい若い皆さんに、新型インプレッサを強くおすすめしたいと思う。
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