フィット 4代目現行モデルで苦戦
text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)
【画像】クールなモデューロXで巻き返し【ノーマルとモデューロXのフィットを比較】 全166枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
今のクルマでは、安全装備や運転支援機能が充実している。
安全性が高まったのは喜ぶべきことだが、乗用車の価格は2000年頃に比べて1.2~1.3倍に高まった。
その一方で平均所得は1990年代の後半をピークに下がっている。
クルマが値上げされ、所得は伸び悩むから、ユーザーはクルマを乗り替えるときに、従来よりも小さな車種を選ぶ。
その結果、ダウンサイジングが進み、軽自動車と全長が4m前後のコンパクトカーが売れ筋になった。国内で販売される乗用車の40%弱が軽自動車で、約25%をコンパクトカーが占める。
そのコンパクトカーの主力車種がホンダ・フィットだ。
2001年に発売された初代モデルは、燃料タンクを前席の下に搭載して、空間効率が優れていた。全高を立体駐車場が使いやすい高さに抑えながら、室内がとても広かった。
価格も割安でヒット作になり、2002年には軽自動車まで含めた国内販売の総合1位になっている。
2代目と3代目も、同様の特徴を受け継いで堅調に売れた。
ところが4代目の現行フィットは売れ行きが伸び悩む。
発売は2020年2月だから、今は最も好調に売れる時期だが、2021年1~6月の登録台数は1か月平均で約5000台だ。
少ない台数ではないが、現行フィットを発売したときに設定した1か月の販売計画は1万台だから、今の登録台数は遠く及ばない。
ちなみに今の販売計画は一種の公約で、生産を終えるまでの平均値とされる。
発売から時間が経過すればクルマの売れ行きは下がるので、発売直後には、販売計画以上の台数を売らないと計画を達成できない。
それなのにフィットは、発売直後の販売実績が計画台数の約半数だ。
ホンダにとっては予想外の販売不振だから、その理由を考えてみたい。
賛否両論のデザイン 見た目で損してる?
フィットの売れ行きが伸び悩む理由として、まず挙げられるのが外観のデザインだ。
現行フィットは前後左右ともに視界が優れ、コンパクトカーでは理想的なボディといえるが、フロントマスクを含めてデザインには賛否両論がある。
内装ではステアリングホイールが2本スポークになり、3本スポークを見慣れていると違和感が伴う。
クルマに限らず、商品の機能的な優劣と、売れ行きは必ずしも合致しない。
フィットの場合、車両のイメージを大幅に変えたことがマイナスに作用した。
販売網で圧倒 ライバル「ヤリス」の影響も
販売が伸び悩む2つ目の理由はライバル車の動向だ。
2020年2月には、フィットとあわせてトヨタから新型ヤリスも登場した。
ヤリスは発売時点では一部地域を除くとネッツトヨタ店の専売だったが、2020年5月からは、トヨタの販売体制の変更によって全店(4600店舗)が扱う。
ホンダの販売店は2200店舗弱だから、販売規模はヤリスの半分以下だ。
そしてヤリスは2021年1~6月の1か月平均で、フィットの2倍に相当する約9900台を登録した(ヤリス・クロスとGRヤリスを除く)。
ライバル車のヤリスがフィットと同時期に登場して、大量に売られた結果、フィットが顧客を奪われた面もある。
2020年12月には、新型ノートも販売を開始したから、コンパクトカー同士の販売競争は一層激しくなった。
身内にも敵 フィットの顧客食うNボックス
3つ目の理由は、フィットと同じホンダが販売するNボックスの好調な売れ行きだ。
Nボックスは2021年1~6月の1か月平均届け出台数が1万8400台に達した。
フィットの3~4倍に相当する。ヤリスと比べても2倍近い。
Nボックスは軽自動車ながらも空間効率が優れ、車内はフィットよりも広い。
後席側のドアはスライド式だから、ミニバンのように乗り降りもしやすい。安全装備や運転支援機能でも遜色はない。
Nボックスの価格は、フィットのノーマルエンジン車と同程度か少し安いので、実用重視のユーザーはNボックスを選ぶ。
Nボックスが1か月平均で1万8400台も売られると、フィットが影響を受けて当然だろう。
不運 半導体不足も台数低迷の原因に
4つ目の理由は半導体の不足だ。
半導体が足りないのはフィットに限った話ではないが、販売店では「半導体の影響は車種によって異なり、フィットでは納期の遅れが目立つ。フィットの車両本体は完成しても、ディーラーオプションのカーナビが遅れて納車できない場合もある」という。
以上のように、主に4つの理由に基づいてフィットの売れ行きは伸び悩む。
それでも車両自体は合理的に開発されて機能が優れ、価格は割安だ。コンパクトカーを買うときにはフィットもチェックして欲しい。
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みんなのコメント
エクステリアが韓国人デザイナーによるもので、もっさりしていてカッコ悪い。
在日韓国人や親韓派専用車なので、大半の日本人には受け入れられない。