輸入車 [2024.03.04 UP]
進化を続ける「iDrive」。BMWの未来インターフェース【石井昌道】
文●石井昌道 写真●BMW
ワンランク上の春ドライブを楽しむならこのモデル!先進機能やアイデアが光る最新輸入車5選
2001年デビューの4代目BMW7シリーズはクリス・バングルによる大胆なエクステリアデザインやバルブトロニックを採用したエンジンなど、何かと話題の大きなモデルだったが、新たなインターフェースとしてiDriveが登場したこともまた注目を集めた。
BMW 7シリーズ(2001年モデル)が採用した第1世代iDrive
カーナビやオーディオ、エアコン、電話などの機能をセンターコンソールのダイヤル式コントローラーで操作させるもので、インパネのセンターディスプレイにタッチする必要はない。こういった操作はできれば停車中に行うべきだが、走行中にカーナビの縮尺を変更したり、エアコンを調整することもあるだろう。タッチパネル式やインパネのスイッチを操作するよりも、運転を阻害しないiDriveは、さすがはドライバーズオリエンテッドのBMWだと絶賛された。その後、メルセデス・ベンツとアウディも追従して、同じようなダイヤル式コントローラーのインターフェースを採用したことからも、画期的であったことが証明された。
タッチパネル式だとディスプレイがドライバーに近くなければ操作しづらくなってしまうが、そうではないから視線移動、焦点調整にとって理想的な配置ができる。だからiDriveを採用したモデルのディスプレイは、高く遠いところに置かれていた。それもオペレーションシステム7と呼ばれる第7世代までで、2021年登場のiXで初出となったオペレーションシステム8からは変化が生じた。初採用のカーブドディスプレイはドライバーの眼前の12.3インチ・ディスプレイとセンターの14.9インチのディスプレイが1枚のパネルでまとめられ、デザイン的にも優れている。
BMW OS8を採用したiX(2022年モデル)
古くからBMWは、インパネセンターをドライバー側に傾けるなどしていたが、ディスプレイをカーブさせることで同様のコンセプトとなっているのがBMWらしい。さらに、ダイヤル式のほかタッチパネル式としても機能するのが新しかった。以前よりも情報量や出来ることが増えていて、ホーム画面はスマフォやタブレットのようで、タッチパネルのほうが素早くサクサクと操作できる場面も多い。
iX以降に発売されたモデルはオペレーションシステム8が採用されているが、2シリーズやX1などFFベースではダイヤル式コントローラーがなくなったのが少し残念に思える。タッチパネルが有利の場面もあるが、走行中には手を前方の高い位置に伸ばすよりも、センターコンソールのダイヤルをクルクルと操作するほうが容易いからだ。
2023年にはオペレーションシステム8.5が登場。新たにQuickSelectコンセプトを採用して画面下にホームボタンやエアコンの温度調整などよく使う機能が並ぶ、ショートカット的な機能だ。
最新はX2に採用されるオペレーションシステム9で、8.5との違いはサードパーティのアプリが使えるようになったこと。Tverなども使えるので、BEV(電気自動車)の外出先での充電時などには重宝しそうだ。X2もFFベースなのでダイヤル式コントローラーがないのは致し方ないところだと思っていたが、じつは将来的にはすべて廃止されてしまうようだ。
最新のBMW OS9を採用した新型X2
昨年のジャパンモビリティショーに出展されたノイエクラッセの発売は2025年以降とされ、意外と近い将来にお目見えするが、インテリアを見てもダイヤル式コントローラーはない。これこそ次世代のiDriveおよびオペレーションシステムで、ドライバー眼前のメーターはなく、センターディスプレイとパノラミックヴィジョンと呼ばれるガラスの全幅にわたる3Dヘッドアップディスプレイにすべての情報が表示される。操作はタッチパネルと音声入力、そして新たなマルチファンクションステアリングで行う。ステアリングのスイッチ操作にもフィードバック機能など新機軸が盛り込まれていて、これが使いやすければダイヤル式コントローラー以上に運転を阻害することはないだろう。
次世代モデルノイエクラッセでは、さらなる進化したインターフェースを搭載する
また、パノラミックヴィジョンも想定通りに機能すれば、視線移動や焦点調整の必要がほとんどなくなるはず。iDrive登場から四半世紀を経て、いよいよ理想的なインターフェースになりそうなのだ。
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みんなのコメント
タッチパネルは確実に視線が逸れる、音声入力は確実性に欠ける
結局は単純で最低限の情報だけを物理的なスイッチで確実に切り替える操作系統が生き残る。
目新しさと親しみやすさは同居できる。
何でも複雑で多種多様にしてしまうのは簡単だが、
運転手の目線で、あくまでも道具としての使い勝手を考えるべきですね。