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F1分析|ソフトタイヤが一番長持ち! ベルギーGPで起きた大逆転現象

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F1分析|ソフトタイヤが一番長持ち! ベルギーGPで起きた大逆転現象

F1ベルギーGPの決勝レースは、ある意味不思議なレースであった。本来ならば長持ちするはずの硬めのタイヤがあまり機能せず、性能劣化も顕著……一方で本来ならば早めに性能が劣化するはずのソフトタイヤが最も長持ちする形となったのだった。しかも週末の間ずっと雨がちであり、ドライコンディションで走行できるチャンスはほぼゼロで決勝レースを迎えた……そのため、1ストップから3ストップまで、様々な戦略が入り乱れることになったのだった。

そのレースを、ラップライム推移を視覚化し、検証してみよう。

【動画】ハイライト|2023年F1第13戦ベルギーGPスプリント&決勝

この難しいレースを最も顕著に表したのが、マクラーレンのランド・ノリスだった。

ノリスとマクラーレンはシーズン序盤こそ苦戦したものの、オーストリアGPで投入したアップデートが大いに効果を発揮し、イギリスGP、ハンガリーGPと連続で2位表彰台を獲得。一気にトップチームの仲間入りを果たしてみせた。

今回のグランプリでも、マクラーレンは予選の段階から揃って上位につけ、土曜日に行なわれたF1スプリントでは、ノリスのチームメイトであるオスカー・ピアストリが2位に入った。

決勝レースでも同じような活躍を見せると思われたが、ピアストリは接触により1周目にリタイア。ノリスはレース序盤からペースが上がらず、ずるずると後退。5周目にピットストップし、スタート時に履いていたミディアムタイヤを早々に諦め、ハードタイヤへと履き替えた。

ただこのハードタイヤでもノリスのペースは上がらず、やはりポジションを落としていく結果に。そして17周目に2回目のピットストップを行ない、ソフトタイヤへと交換。これにより、最後尾までポジションを落とすことになった。

ただ、ここでノリスは突然息を吹き返す。それがグラフを見ていただくとよく分かる。オレンジ色の折れ線が、ノリスのペースを示したモノだ。

■ソフトタイヤが一番長持ち……稀に見る逆転現象

ハードタイヤでのスティントの最後、ノリスのペースは1分55秒6まで下落。しかしソフトタイヤに交換すると、一気に1分51秒7までペースが上がっている。そのタイムの上がり幅は4秒”も”である(グラフ赤丸の部分)。

ソフトタイヤは、本来ならば性能劣化が最も大きいはずであり、まだ半数以上の周回を残した段階で装着したため、もう1回ピットストップするのは必至と思われた。しかしノリスのペースはほとんど衰えず、そのまま26周を走り切り、チェッカーフラッグを受けた(グラフ青丸の部分)。

最終ラップのノリスのタイムは1分52秒445。計算上のデグラデーションの値は1周あたり0.027秒であった。ちなみにハードでのデグラデーション値は0.253秒/周、ミディアムでのデグラデーション値は0.87秒/周……これまで見たこともないような逆転現象だったと言えよう。

なおソフトタイヤが予想以上に使えそうだと示してくれたドライバーがいた。それがアルピーヌのピエール・ガスリーだった。

ガスリーはソフトタイヤを履いてスタート。レースの半分以上である23周を走り切ったところでピットストップを行なった。1回目のピットストップを最も遅らせたのが、このガスリーである。

ガスリーのペース推移を見てみると、レース序盤こそ少しペースを落とす傾向にあったが、その後回復。タイヤを1度変えたマシンと遜色ないペースで走っていることが分かる(グラフ黄丸の部分)。そして前述の通り23周を走ったところで1回目のピットストップを行ない、残りの周回数をミディアムタイヤで走り切るという1ストップ作戦を敢行した。

なおガスリーは、ピットストップを行なう直前にアルファタウリの角田裕毅にオーバーテイクされたが、その直後にピットストップを行ない、角田をアンダーカットし、前に出ることを狙った。角田もこれに反応し、ガスリーがタイヤを交換した翌周に2回目のピットストップを行なっている。

ガスリーにとって誤算だったのは、右フロントタイヤの交換に手間取り、タイムを失ってしまったことだ。このことで、同じタイミングでピットストップを行なったウイリアムズのアレクサンダー・アルボンに先行され、角田をアンダーカットすることにも失敗してしまう。

■1ストップが正解! しかしピットでのタイムロスがガスリーのポイントを奪った

レース中のピットストップ・サマリーをみると、アルボンが23.596秒、角田が22.737秒でピットレーンを通過しているのに対し、ガスリーは25.664秒も要していることが分かる。つまりガスリーは、ここで2~3秒ほどタイムを失っている。

上のグラフは、レース中の先頭からのタイム差を表したモノである。これをみると、ガスリー(ピンク色の点線)がピットストップの際に、かなり後ろにいたはずのアルボン(紫の実線)に先行され、その後しばらく抑えられてしまっているのが分かる(グラフ緑丸の部分)。これがなければ、少なくとも角田(グレーの実線)の前に立っていたことは間違いなかろう。

このガスリーの他、ジョージ・ラッセル(メルセデス)とランス・ストロール(アストンマーチン)も今回のレースを1ストップで走り切っている。ただこのふたりは、ガスリーとは逆でミディアムタイヤでスタートし、ソフトタイヤに切り替えたドライバーたち。それでもやはり、ラッセルはレースのちょうど半分、ストロールは半分以上をソフトタイヤで走り切り、大きく順位を上げてフィニッシュしている。

これらを考えると、今回のレースでは1ストップ戦略、しかもソフトタイヤを長く使う1ストップが正解だったということになるだろう。ガスリーも、ピット作業での失敗がなければ、順位を上げていたはずなのだから。

この原因は、気温や路面温度が低かったからだとも言われる。しかし、イギリスGPの予選やオーストリアGPの決勝と、それほど大きく温度が違っていたわけではない。そういう意味では、温度だけでは説明できそうもない。

この難しい現象を、ノリスの言葉が物語っている。

「どうやって7番手でフィニッシュしたのか分からないよ。正直、ほとんどの部分で最後尾を走っているような感覚だったんだ」

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みんなのコメント

1件
  • 同じ ハイスピードコースでも
    オーストリアは 高地でエアロが弱く、ハイダウンフォース
    イギリスは コーナー速度が大事で、保々ハイダウンフォース
    スパは ロードラッグ仕様だから、気温が低いとソフトしか 機能しなかった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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