BMWのエントリーSUVとなる、2023年3月に国内販売が開始された最新のX1に加わったのがiX1と呼ばれる、BMWとしてもっとも手ごろな価格で手に入るBEV=電気自動車である。ボディサイズは全長4500×全幅1835×全高1620mmと、アウディQ3に近い、日本の道でも持て余さない、欧州SUVの中ではかなりコンパクトなサイズを持つ。X1はFF(前輪駆動)を基本とした駆動方式のSUVだが、このBMW iX1 xDrive30を含め、X1の日本仕様はガソリン、ディーゼルを含め全車4WDになる。
最大400km近い走行が可能、実用性の高いBEV
今週、話題になったクルマのニュース4選(2022.11.19)
電気自動車で気になるバッテリーの総電力量は66.5kwh、一充電走行距離は公称465kmとされる。エアコンなどを使った実質航続距離は、今回、試乗車を借り出したときのデータ、すなわちメーターに表示されるバッテリー残量83%で航続可能距離353kmから推測すれば、最大、400km近い走行が可能になると思われる。
BMW iX1 xDrive30は実用性も高い。運転席周りの収納は十分にあり、ドアオープナーなどに妙な先進操作!?を持たせていないため、始めて運転しても戸惑うポイントは少ない。ただし、後席はガソリン、ディーゼルのX1とは違い、床下にバッテリーを敷き詰めた影響でフロアがやや高まり、室内高はガソリン、ディーゼルモデルと変わらないため、頭上スペースを維持するためか、シートをやや低めにセットしたことで、いわゆるヒール段差=フロアからシート座面までの高さが低まり、乗員の体形、身長によっては膝を立てる着座姿勢になりがちだった。
コンパクトSUVのカテゴリーながら、スクエアな形状のラゲッジスペースの広さは十二分。奥行880mm、幅1010mm、天井高700mmが確保され、電気自動車として主に高さ方向が制限されるのだが、通常490L、最大1495Lが確保されている。後席を格納すれば、最大奥行は1815mmに達し、それこそ長身の人でも寝そべることができる。
2tを超える車重にもかかわらず驚くほどの軽やかさ
そんなBMW iX1 xDrive30を走らせれば、2tを超える車重にして、驚くほどの軽やかさある、気持ちのいいモーター駆動の加速を開始する。操縦感覚はBMWならではの思い通りに向きを変えてくれる回頭感、自在感が健在で、さすがに床下バッテリー搭載による低重心、全高1620mmのSUVとしては低めの車高もあって、カーブなどでの腰高感は皆無。高速レーンチェンジもビシリとして不安な動きなくこなしてくれるのだから安心だ。乗り心地はバッテリーがボディ剛性を担っていることもあり、すこぶるしっかり感ある硬めのタッチながら、とくに高速走行ではフラットで快適。加速性能は極めて強力で、アクセルペダルを深く踏み込めば、血の気がひくような速さを披露するのだが、そこは暴力的ではなく、BEVらしい、ひたすら静かでスムーズな加速マナーに徹している。
街中で走りやすい!!と感じさせたくれたのが、前車に接近した時に回生力を生かし、自動減速してくれる機能だ。トヨタで言えばプロアクティブドライビングアシストに相当するもので、じつにありがたい。BMWのインテリジェントなアシストは、高速走行での優れたACC機能などだけでなく、普段使いにも活躍してくれるのである。
そしてBMW X1の大きな魅力が、このBEV(電気自動車)、ガソリン、ディーゼルの3タイプのパワートレーンが選べるラインナップを用意しているところだ。しかも、ガソリン車なら586万円の値付けで、606万円のディーゼルモデルに対してiX1は698万円に達するものの、電気自動車の補助金を考慮すれば、東京都の場合、ディーゼルモデルとほぼ同等の価格で手に入れることもできる”買い得感”もある。
それにしても、BMW iX1のライバルではなかなか得られない走りの軽やかさ、自在の操縦性はまさに「駆け抜ける歓び」そのもの。電気自動車になってもBMWはBMWであり続ける・・・ということを強く実感させてくれたのだった。
文・写真/青山尚暉
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いずれ地雷になると思う