2023年4月に登場したスバル 新型インプレッサ。先代型から採用が始まったスバルグローバルプラットフォームも2巡目に入って熟成度がアップ。ここでは、3人の自動車評論家がそれぞれの視点でズバッと斬る!!
※本稿は2023年6月のものです
文/国沢光宏、岡本幸一郎、諸星陽一、写真/ベストカー編集部、SUBARU
初出:『ベストカー』2023年7月10日号
実用車として申し分のない新型インプレッサ!! ただスバル強みのエンジンが……
■走りの質感を高めた6代目インプレッサ
2023年4月登場の新型スバル インプレッサ
6代目となる新型インプレッサは、先代型にあったセダンのG4を廃止して5ドアハッチバックに一本化。その新型はパッと見の印象が先代型と似ているうえに、ボディサイズも先代型から全幅が5mmワイドになった以外はホイールベース含め変更なし。
しかし、プラットフォームを第2世代のものへ進化させ、ステアフィールを向上させる2ピニオン電動パワステなども採用。パワーユニットは2L水平対向4気筒のみとなり、そのNA仕様とマイルドハイブリッド仕様「e-BOXER」の2種を用意する。
ベストカー本誌5/26号では鈴木直也氏が優れたシャシー性能を高く評価したが、ここでは国沢光宏氏、岡本幸一郎氏、諸星陽一氏に評価を依頼。さて、この3名は新型インプレッサをどのように斬る!?
●インプレッサ ST-H・FWD
・全長×全幅×全高:4475×1780×1515mm
・ホイールベース:2670mm
・重量:1540kg
・エンジン:2L 水平対向4DOHC+モーター
・最高出力:145ps/6000rpm
・最大トルク:19.2kgm/4000rpm
・モーター:13.6ps/6.6kgm
・WLTCモード燃費:16.6km/L
・価格:299万2000円
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■実用車としては申し分なし! 楽しいかと聞かれたら……
ヘッドライトは全車フルLEDハイ&ロービームを装備。ST-Hグレードはステアリング連動タイプとなる
新しいインプレッサに試乗したら、皆さん素直に「いいクルマですね!」と感じることだろう。
なんたってボディの基本骨格はDセグメントとして作られたレヴォーグと共用。コストの掛かるラックモーター式(アシストモーターがハンドル軸でなくラック本体に付いている)のステアリングまで同じというのだから驚く。
接着構造を使ったボディ剛性も存分に高く、荒れた路面を通過したって横方向のGを掛けたってガッシリしたまんま! 素晴らしい!
加えて完全に足回りのポテンシャルがエンジンパワーを上回っている。コーナーの立ち上がりでアクセル全開にしたって何事もなく曲がりながら加速していく。
はたまた少しばかりオーバースピードでコーナーに進入してしまっても、ブレーキ踏みながらハンドル切ってやれば、優秀なスタビリティコントロールと足回りで何事もなかったように走れてしまう。
ADAS性能だってワンランク向上。新しいインプレッサに乗っていれば、ほとんどのアクシデントを回避できそう。
ほかの最新スバル車と同様にタテ型のセンターディスプレイが設定(ST-G、ST-Hは標準)されるインパネ
ここまで絶賛です! 実用車として使うなら、同じカテゴリーのハイブリッドやディーゼルより燃費が大きく劣るのを除けばいいクルマだ。
ただし、楽しいかと聞かれたら、大いに悩ましい。アクセル全開にしても足回りが優秀なのでワクワク感が薄い。エンジン自体も存在感という点で物足りない。スバルといえばクルマ好きの笑顔を作り出すメーカーというイメージながら、新しいインプレッサはいい実用車。
ちなみに、買うなら(マイルドハイブリッドじゃない)普通の2Lエンジン搭載グレードを薦めておく。
●国沢光宏の採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:4点
・静粛性:8点
・内外装の質感:7点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:8点
(TEXT/国沢光宏)
■完成度は高いがわかりやすい「存在意義」が欲しい!
タイヤサイズはST-Hグレードで215/50R17
新旧を比べた時の進化のほどはよくわかった。クロストレックでも感じたとおり、第2世代のSGPの実力はかなりのものだと思うし、型式は同じでもパワートレーンも進化しているし、2ピニオン式の電動パワステの採用も走りに効いている。見た目も若々しく、全体の完成度はかなり高い。
ところが、それでOK! とならないのがこのクルマの難しいところ。スバルのなかでもいまやクロストレックのほうが販売面でも圧倒的に主役で、インプレッサは例えどんなにクルマの出来がよくても数はそれほど期待できる状況ではない。
それでも、せっかく出すからには何かわかりやすい“存在意義”があったほうがよいことには違いない。一方で、車格の近い競合車に対しても、あえてインプレッサを選ぶわかりやすい理由があったほうがよい。その点で新型は、もう少し何かあるとよい気がするのが正直なところではある。
クロストレックとどちらを選ぶかは見た目の好みだろうが、車高が低く重量やバネ下が軽くなるインプレッサは、走りにおいては有利なことずくめ。実際、クローズドコースではかなりよかったことは言っておこう。その強みを訴求できる、もっと走りに特化した仕様があってもいい気がする。
2L・NAの水平対向4気筒エンジンを搭載。上位のST-G、ST-Hグレードは13.6psのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドとなる
一方で、競合車に対して物足りなさを感じるのがパワートレーンだ。完成度としては高いことには違いないのだが、パワフルさも燃費もメカニズム的にもいまひとつ印象が薄い。
WRXほどでなくてもよいから、エンジンなりハンドリングなり何からの形で走りをもっとアピールしたほうが、よりインプレッサのキャラが立って存在意義を高められると思う。
●岡本幸一郎の採点チェック
・ハンドリング:8点
・加速性能:7点
・静粛性:8点
・内外装の質感:7点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:8点
(TEXT/岡本幸一郎)
■走りはスムーズで仕上がりよし! 欠点は燃費か!?
Cセグハッチバックのなかでも広い後席を実現する
進化させているが、先代のプラットフォームをキャリーオーバーしており、見た目でもあまり変化が感じられない。が、その是非はユーザーが決めればいい。
試乗はサーキットでのみだが、フィーリングは充分につかめた。新型インプレッサのポイントは「すっきり感」であると言える。アクセルを踏んだ時の加速の仕方はスムーズだ。
先代では若干の振動を伴うような感覚もあったが、新型はそうした余分な要素がない。FFと4WDを乗り比べると、なるほど4WDのほうが加速時のトラクションの掛かり方などがスムーズで気持ちよく運転できるが、FFが物足りないかといえばそんなこともない。
非降雪地帯に居住、ウインタースポーツはやらないというのであれば、FFで充分だろう。
2ピニオン式を採用したステアリング機構は、操作に対してリニア感にあふれていて、応答遅れもなければ、パワー機構によるステアリングインフォメーションのスポイルも感じられない。
段差越えの際にボディが異常にブルッとしたり、大きな横Gが掛かった時にボディが原因で挙動が乱れるようなこともない。実に仕上がりがいいのである。
奥行きのある広く使い勝手のいいラゲッジを持つのも特徴。後席は6対4分割可倒式で、比較的フラットなさらに広い荷室にすることもできる
純正の縦型モニターはちょっと存在感がありすぎで、メカニカルなクルマ好きとしては違和感を覚えるが、操作性や視認性を考えればかなりいいものである。
4WDで300万円を切る価格設定はもはやリーズナブルだといえる。ただし、クロストレックの一般道試乗で、あまりいい燃費ではなかったことから推測すると、インプレッサの燃費にも期待はできないのがネックである。
●諸星陽一の採点チェック
・ハンドリング:9点
・加速性能:9点
・静粛性:8点
・内外装の質感:8点
・乗り心地:8点
・コストパフォーマンス:7点
(TEXT/諸星陽一)
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