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マツダ3はこうして誕生した!──担当者が教えてくれた開発秘話とは?

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マツダ3はこうして誕生した!──担当者が教えてくれた開発秘話とは?

“マツダの新時代の幕開けを飾るモデル”、という触れ込みで2019年5月24日に発表されたのが「マツダ3」だ。意欲的なエンジニアリングが特徴的な新型車である。

静岡県でおこなわれた事前撮影会に出かけたとき、美しい面を持つ2台のマツダ3がそこにはあった。すでに海外のショーでは見かけていたものの、太陽の下で実車を見るのは初めての体験。面の表情が豊か(=複雑であるが美しい面形状)なのに感心した。

マツダのコンパクトカーがさらに美しくなる!──アクセラあらため、マツダ 3デビュー!

意外ともいえるのがボディ形状だ。SUV全盛の昨今にあって、あえてハッチバックとセダンのみで登場した。昨今、マーケットの嗜好は大きくいうと、SUVに振れている。マツダ自身、新たに「CX-30」というCX-3とCX-5のあいだに入るコンパクトサイズのSUVを発表したぐらいだ。

そうしたなか、マツダ3をファストバックのハッチバックとセダンのみで販売するのに、マーケティング上の不安はなかっただろうか。その質問に対して、「最初はあった、いまはない」と応えたのが、マツダ3の開発陣である。

「(マツダ3の)マーケットがシュリンク(縮小)しているのは感じていました」。そう語るのは、会場で会った商品本部の別府耕太主査である。

「マツダ3をファストバック/セダンのみで販売した場合、ユーザーがついてきてくれるのだろうか? SUVに流れないだろうか? そういった疑問はありました」と、別府氏は述べた。

これまでのアクセラはセダン&ハッチバックのボディ形状のみでも、多くのユーザーに愛されてきた。また最近のマツダは、SUVもすでにラインナップに複数存在する。こうした状況を踏まえ、従来同様、マツダ3は従来のボディ形式を踏襲する方向で開発することになったという。

なかでもデザイン・コンセプトは重視したという。いくつかある理由のうち、ひとつは先代モデル(アクセラ)のデザインにある。とくに、セダンのデザインがうまくいかなかったという。カッコはいいけれど、セダンのデザイン作法からは外れていたそうだ。「ネクタイ着用と書いてある場所にノーネクタイで出かけるような反則だった」と、別府氏は振り返る。

そこで新型のセダンは、キャビンとトランクが独立している伝統的なスタイルを守りつつ、埋没しないデザインを追究したそうだ。

とはいえ、開発初期段階におこなったターゲット・カスタマーへのインタビューによって「本当にCカー(マツダ3のカテゴリー)が好きで乗っているひとなんかいない」という結果を知り、衝撃を受けたそうだ。ゆえに、「誰もが羨望するクルマを作ろう!」と、決意したという。

「ファストバックのターゲットイメージは、世の中の常識や既成概念に対して”本当にそれって正しいの?”って言える自由人です」。そう述べたのはデザインを統括した土田康剛チーフデザイナーだ。別府氏とともに、新型マツダ3の大胆なデザインコンセプトを練り上げたひとである。

「セダンは、強く、そしてフォーマルな雰囲気を出そうと思いました。いっぽうファストバックは、従来の“作法”をほとんどやめました。たとえば、キャラクターラインを廃し、面で個性を出すことを目指しています」

続けて土田氏は「ファミリーがいるユーザーにはCX系(SUV)がある。マツダ3はもっとパーソナルなモデルとして開発した」とする。さらに、「ブランドやトレンドに振りまわされず、自分らしく生きている人に、乗っていただけたら」と、述べた。

マーケットはSUV主流だからハッチバックやセダンは作らない、というように考えることは「やめた」と、別府氏ははなす。また、「ファストバック/やセダンのマーケットはシュリンクしていない、と考えています」とも述べ、「マツダ3との出会いによって、『自分の生活が楽しくなりそう』とか、『いままでと違うことが出来そう』などと思ってもらえると最高です」と、つけくわえた。

いっぽう土田氏は、「“生命感”を出したくて、面の作りこみなど、徹底的におこないました。キャラクターラインをなくし、ショルダー(サイドウィンドウ下のふくらみ)もなくすという、いままでに見たことのないスタイリングを追究したのは、マツダ3を一目見て『新しい!』と、わかってもらいたいからです」と、話す。

なるほど、クルマ全体のコンセプトとスタイリングがしっかり結びついているのが新型マツダ3であるのだ。

「マツダ3にライバルはいないと考えています。なぜなら、ほかのメーカーと異なるアプローチで作られているからです」と、別府氏は話す。興味ぶかい意見である。いっぽうで、ダッシュボードをはじめとする内装はデザインテーマを発展させつつ、クオリティがうんと高まるなど、従来のマツダ・ファンの期待にも応えている。

「目指したのは一目惚れされるクルマです」という別府氏の言葉が、マツダが用意したプレス向け資料に掲げられている。

今回の事前撮影会で、試乗は出来なかった。ただ、美しいスタイリングを見ていると「試乗せずに購入しても満足するのでは?」とまで思わせるものがある。デザインのみでも人を惹きつけるマツダ3にはヒット間違いないのでは? と、感じさせる力がある。

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