■ETCカード未挿入の音声がアフリカでよく知られた日本語!?
日本車の中古車は海外で需要が高く、数多く輸出されています。
そんななか、最近SNSなどで話題になっているのが、エンジンをかけると聞こえる「ETCカードが挿入されていません」と話す音声案内。
この音声案内が人気だというのですが、どういうことなのでしょうか。
【画像】古いETC車載器が使用不可!? 2030年に使えなくなる車載器の見分け方を画像で見る(15枚)
これは、ETC車載器が装着されたまま海外に輸出された中古車から聞こえてくるもので、当然、現地では高速道路の料金をETCカードで決済することができません。
しかし、アフリカなどではこの音声案内がもっとも有名な日本語とされており、「Made in JAPANを感じさせる」とのことから、使えないのを承知でわざわざバッテリーに繋ぎ直して装着する人もいるようです。
また、意味が分からないけれど日本語が流れるということは日本製であり、それが日本車の証であることも評判となっているというのです。
ETCカード未挿入を知らせる音声だけでなく、中古で輸出された乗用車の営業車両や、バス、トラック、バンなどの商用車では、日本の社名などが入ったままの状態が圧倒的に人気なのだそう。
中古の日本車人気について、日本で中古車を買い付け、海外に輸出する会社に所属しているアルゼンチン出身のA氏に話を聞いてみました。
「日本車は南米でも人気が高いです。特にトヨタ『ランドクルーザー』の人気はダントツですが、日本市場で値段が急騰していることもあり、現在は商用車の輸出がメインになっています。
日本では乗り潰された走行距離の多い中古車という扱いを受け、格安で手放されたようなクルマであっても、海外ではまだまだ現役です。
しかも、日本のクルマは南米の熱帯気候でも壊れにくく、その信頼性の高さが人気の理由です」
鉄道などの公共交通機関の整備が追いていない新興国では、物流や移動手段のメインはクルマです。信頼性の高さを最優先にした結果、安価で燃費も良く、値段も手頃な日本の中古車が多く輸出されるのは必然だったのかもしれません。
「アルゼンチンでは、日本語の音声案内が人気ということはありませんが、日本語の注意書きステッカーなどはそのままのほうが喜ばれます。意味が分からないからこそ、日本語はクールに感じるみたいです」(中古車業のアルゼンチン人A氏)
■日本製は高級品の証
親日国家としても知られるタイは、中古の日本車が多く輸出される国のひとつです。
とはいえ、最近日本車の数は微妙に減っているといいます。というのも、韓国・ヒョンデや中国資本になったMGなどが安価で新車を販売しているから。
輸入車には高い関税がかかるタイでは、新車の場合、200%の関税がかけられるとされており、さらには中古車も関税の対象となることから、新車でも中古車でも日本車を輸入するとかなり高額になるのです。
タイに永住している日本人のI氏に、現地のクルマ事情について聞いてみました。
「クルマは庶民にとって高嶺の花ですが、一部の富裕層が日本車を乗り回しています。
またタイで生産される日本車も多いのですが、日本でしか買えないスポーツモデルなどを輸入するマニアも増えているようです。
タイでは三菱『ランサーエボリューション』やスバル『インプレッサ』などのスポーツモデルも人気なんです」
またタイにも日本のETCと同じような決済サービス「Easy Pass」があるのですが、それとは別に日本語の音声を発する機器はおしゃれアイテムとして人気だといいます。
「バンコクには東京以上に栄えている場所もあります。超一流ブランドの路面店が並び、高級車が数多く走るエリアがある一方で、相変わらず低賃金の生活を余儀なくされている地方もあります。
そういった地方では、『日本製=高級品』というイメージも根強く、中古車も購入時とほぼ変わらない価格で流通するほどの人気ですから、日本語音声の機器は喜ばれるようです」
※ ※ ※
「ETCカードが挿入されていません」という日本語は、日本人も頻繁に耳にするフレーズですが、それが海外へ輸出された中古車において、日本製という“信頼の証”になっているのは面白いものです。
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