サスのチューニングでサルーンに並ぶ操縦特性
BMW Mの50周年という節目に発売された、BMW M3 コンペティション・ツーリング。ボディ後方へ広がる大空間に、強力な直列6気筒ターボエンジン、深いバケットシートが組み合わされている。特定のドライバーにとっては、運命の相手かもしれない。
【画像】待望のMのワゴン BMW M3 コンペティション・ツーリング 競合モデルと写真で比較 全120枚
車重は1865kgと、サルーンのM3より85kg重い。これには、拡大されたボディ後半部分の板金だけでなく、ボディ剛性を維持するための補強材も含まれている。
シャシー周りを確認すると、リアのスプリングレートとダンパーの減衰力はM3 ツーリングの方が高い。サルーンに並ぶ操縦特性を与えることが目指されている。
グリップやトラクションが限界を迎えると、若干シャープに挙動が変化するものの、それ以外は狙いを実現したといって良さそうだ。直接乗り比べれば、若干ダルに感じられるかもしれないが、そうしなければ気付かない違いでしかない。
郊外の道やアウトバーンを短時間で走り切るという、M3らしい能力は高次元なまま。極めて正確な操縦性を得ている。最高速度は、Mドライバーズ・パッケージで280km/hに設定された。
スタビリティ・コントロールにはMダイナミック・モードが用意され、条件が許せば、アウディRS4 アバントとは異なるスタイルでシャシーを振り回すことが可能。電子アシストをオフにしても、挙動は漸進的で予想しやすい。
最高出力510ps、最大トルク66.1kg-m
試乗日は氷点下に迫る寒さで、サマータイヤを履いていたため、後輪駆動モードは試さなかった。しかし、これまでの体験から、滑沢なエンターテイメント性も備えているはず。
ブレーキペダルは、不自然にタッチが柔らかかった。効きの洗練性もM3 サルーンには及んでいない様子。数少ない、小さな弱点といえる。
動力性能は、これ以上が必要ないと思える水準。0-100km/h加速に要する時間は3.6秒で、997型のポルシェ911 GT2 RSに並ぶダッシュ力が与えられている。Dセグメントのステーションワゴンでありながら、シリアスなスポーツモデルに太刀打ちできる。
S58型の3.0L直列6気筒ツインターボの最高出力は510ps。最大トルクは66.1kg-mで、既存のM3 コンペティションと同値だ。
エンジンサウンドは、特に低回転域で、どちらかといえば控えめ。スポーティなモードを選ぶと、ザラついた合成音が強調されるが、かつてのS54ユニットのような音響は楽しめない。中間加速は、そこまで獰猛ではないようだった。
乗り心地は明らかに硬い。それでも、低速域での鋭い揺れさえ我慢すれば、動力性能を考えると許容範囲。M3 サルーンと大きな違いはない。
高速道路でのマナーは感心するほど磨かれており、有能なダンパーが路面からの入力を逐一丸めてくれる。コンフォート・モードを選べば、スプリングがしっかり仕事をするようになる。
クラス上の5シリーズに迫る車内の上級感
インテリアは、ダッシュボードなどが風合いの良いレザーで仕立てられ、クラス上の5シリーズに迫る上級感が漂う。ルーフラインが後方へ伸びたことで、リアシート側の頭上空間にはゆとりが出た。カーボンファイバー製フロントシートとの間隔も充分ある。
フロント側は、座面の前方中央とサイドボルスターが立ち上がり、乗り降りが少々しにくい。車内で気になった点は、その程度だろう。
Mモデル・ファンが長らく待たされてきた、最初で、恐らく最後のM3 ツーリングが、いよいよBMWのショールームへ並ぶ。筆者が望んでいた通りの完成度で。
実際のところ、M340i ツーリングでも、これの9割近いドライビング体験を享受できるとは思う。最高速度は、305km/hも出るアルピナB3 ツーリングには届いていない。すべてが合理的とまではいえないだろう。
とはいえ、ステーションワゴンのM3を待望してきたドライバーにとっては、見逃せる程度のことに過ぎないはず。心の底から欲しいと思えるクルマは、多少のことでは揺るがない。この世に生み出されたことを、筆者は素直に喜びたい。
BMW M3 コンペティション・ツーリング(英国仕様)のスペック
英国価格:10万150ポンド(約1602万円/試乗車)
全長:4794mm
全幅:1903mm
全高:1436mm
最高速度:280km/h(Mドライバーズ・パッケージ)
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:9.7km/L
CO2排出量:232g/km
車両重量:1865kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
「ヘッドライトが“まぶしい”んですけど、どうにかならないですか?」 困惑の声多数! あなたの行為「違反」かも? 「ハイビーム」の“落とし穴”とは
なぜ「暖機運転」必要なくなった? 昔はあたりまえの“習慣”も今では「NG」に!? 最近では「暖機“走行”」必要との見方も
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
諦めたよ!!