クロカンブームの頃は憧れの対象だった背面タイヤも、ブームがひと段落すると、逆に時代遅れの象徴のような扱いを受けてきた。
オフロードを走行しない街乗り重視のSUVの増殖に伴い、背面タイヤを採用するクルマは激減し、一部のクルマにしか採用されなくなった。
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それがSUVブームの到来で、武骨さゆえの強さ、個性を主張するアイテムとして再び脚光が集まっている。ただし、装着しているモデルが少ないのが難点だが、結果として、希少価値が高まっているのも事実だ。
強さの証、背面タイヤを装備する希少価値のある現行モデルを紹介していく。
文:大音安弘/写真:SUZUKI、JEEP、MERCEDES BENZ、JAGAR LANDROVER、TOYOTA、NISSAN、HONDA、MISTUBISHI、SUBARU、ISUZU、DAIHATSU
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なぜ背面タイヤは減ってきたのか
かつてはオフロード走行を得意とするクロカンの象徴として、背面タイヤはマストアイテムだった。
その背面タイヤが流行した理由は、RV(レジャービークル)ブームに端を発して、RVテイストを付加するためには最適なアイテムだったからだ。
1980年代から背面タイヤを装着したクロカンはあったが、憧れの対象になったのは2代目パジェロのデビューに端を発したRVブーム以降
軽自動車、ステーションワゴンにまで背面タイヤを装着してRVテイストを演出し、実用よりもファッションアイテムとしてユーザーも歓迎した。
しかし、背面タイヤはどんなクルマにも装着できるわけではなく、装着するためには取付部分やリアドアの剛性確保は必須。
テールゲートの構造によっては、取付用のフレームを必要とするものもあり、そのぶんコスト増にもつながる。とはいえ、アクシデントに備えてスペアタイヤをフロア下に直接、固定されているのが一般的だ。
ラゲッジルームへのアクセス性の向上、そして後方衝突での安全性の向上など、理由は複数あると思われるが、背面タイヤのアイコンとして存在しにくくなった現実がある。
写真で見てもわかるとおり、背面タイヤを装着するには別パーツを使ったり、リアドア部分の剛性確保が必須だからコストアップにつながる
現在日本で新車購入できるのは5台のみ
オフロードキングとしても有名なランドクルーザーは、先代の100時代のデビュー時には背面タイヤを標準またはオプションで設定していたが、2005年に全グレードから消滅。
トヨタではもう1台ランドクルーザープラドも先代モデルでは背面タイヤが設定されていたが、現行モデルには設定されていない。
オフロード性能が高い高級SUVのランクルプラドは旧型の120系では背面タイヤの設定があったが、現行の150系には設定されていない
日本車では背面タイヤのカッコよさをユーザーにアピールしたパジェロは最後まで背面タイヤを装着していたが、残念ながら2019年に日本での販売を終了してしまった。
背面タイヤ装着車が続々となくなっているにもかかわらず背面タイヤを採用し続けているモデルもある。優れたオフロード性能を持ち、ボクシーな武骨なエクステリアデザインという共通項を持つ5台だ。
不思議なことにこの5台の人気たるや凄いものがある。背面タイヤを装着しているから売れているわけではないだろうが、貴重な存在であることは間違いない。
日本のSUVの多くが背面タイヤのカバーをラインナップ。ほとんどはオプションだったが、アフターでもいろいろなタイプのカバーが販売され人気だった
スズキジムニー&ジムニーシエラ
写真右がジムニーで左がジムニーシエラでどちらも大人気。両車を並べて見比べるとシエラのオーバーフェンダー、大型バンパーによる迫力が際立つ
2018年7月にデビューしたジムニー&ジムニーシエラの人気は、デビューから2年経過した現在も依然として高く、1年レベルの長い納車待ちが続いている。現在、背面タイヤを装着した現行日本車は、ジムニー&ジムニーシエラのみだけ。まさに超希少だ。
ジムニーシエラは、軽自動車のジムニーをベースに、1.5Lエンジンを搭載する登録車に仕立てたもの。
さらにシエラはワイドトレッド化を図っているのも特徴で、ジムニーの全幅が1475mmなのに対してシエラは全幅1645mmと170mmもワイド化されている。
旧型ジムニーのモデル終盤は異常なまでの燃費合戦が繰り広げられたこともあり、ジムニーと言えども背面タイヤを外す人もいたようだ
エクステリアの視覚的差では、拡幅によって、シエラ専用のオーバーフェンダーと大型の前後バンパーが与えられる。それにより、オーバーフェンダー付きとなるシエラは、ジムニーよりも迫力が増している。
そのいっぽうでインテリアは室内寸法、デザインとも共通だ。
レトロモダンと言える、原点回帰したボクシーなエクステリアに、背面タイヤがジャストフィット。
ボクシーなデザインに背面タイヤがジャストフィット。ジムニーは全グレードとも背面タイヤとハーフカバーが標準装備されている
旧型では燃費をよくするために背面タイヤレスにする人もいたようだが、現行ジムニー&シエラでは、カッコもいいので外す人はほぼいないと思われる。
ジムニー&ジムニーシエラとも背面タイヤは全車標準で、ハーフカバーも全着となる。そのスペアタイヤに標準装着されるのはスチールホイールだ。
ジープラングラー
日本で販売を伸ばしているジープにおいて、ラングラーはその約40%を占める人気モデルとなっている。昔ながらのデザインを踏襲しながらも進化して魅力アップ
ジープは日本での販売が好調だが、それを支えているのがジープラングラーだ。ジープは2019年も販売台数を伸ばしているが、そのうち、ラングラーが全体の約40%の販売比率を占めている。
今でも年配の人のなかには、オフロード車のことをジープと呼ぶ人もいるくらい、そのイメージは絶大で定着している。
ラングラーは旧来の価値観を継承していて、なおかつ現代のクルマとして大きく進化しているのが売れている要因だろう。ほかに替えが効かない、ある意味孤高の存在でもある。
ジープの武骨なデザインに背面タイヤというのはまさに強さの象徴。タイヤカバーは全モデル標準だが、ラングラーは外して走行している人が多い
だから本格オフローダーでもあるラングラーには、背面タイヤが当然のように装着されている。いや、背面タイヤがないラングラーなど想像できないほどの安定感だ。
現在スポーツ、アンリミテッドスポーツ、アンリミテッドサハラ、アンリミテッドルビコンの4グレードが日本で販売されていて、背面タイヤ、タイヤカバーは全車標準。
メルセデスベンツGクラス
初代の誕生から40年が経過するGクラスだが、2代目の現行モデルも初代を踏襲しつつ各部がリファインされて古臭さを感じさせない
Gクラスは初代モデルが1979年にデビューし、現行モデルは2代目となる。しかし、デビューから40年余り経過するものの、基本的なデザインが変わっていない。そのため、今回紹介する5台でも最も武骨な雰囲気を持っている。
現行モデルは2018年に大幅な改良が施されて、走りの質感の向上、最新安全装備の充実などが図られたこともあり、1000万円を軽く超える高額車にもかかわらず販売絶好調。
Gクラスの背面タイヤは全車標準装備で、スリーポインテッドスターが描かれたステンレス製のタイヤカバーも標準となっている。かつて背面タイヤを装着するほとんどの日本車がハードタイプのタイヤカバーをオプション設定していたのが懐かしい。
センターにスリーポインテッドスターがあしらわれたステンレス製のタイヤカバーは全車に標準装備。ボディ同色タイプがカッコいい
この丸みを帯びたタイヤカバーはボクシーで武骨なエクステリアと対照的だ。ちなみに、タイヤカバーを外すと、ホイール面が裏側、つまりリバースして装着されている。
ランドローバーディフェンダー
メルセデスベンツGクラスを凌駕するほどの武骨でタフなSUVとしてマニアから絶大な支持を受けていたディフェンダーの最新モデルが2020年から正式販売を開始。
先行販売モデルとしてローンチエディション、スタートアップエディションの予約を受け付けたがすぐに完売するほどの人気モデルとなっている。
武骨なハコといったデザインだった旧型から一転してスクエアだが丸みを帯びたデザインによって洗練された新型ディフェンダー。すでに日本で大人気となっている
最新のディフェンダーはタフなイメージは踏襲しつつも、エクステリアデザインは大きく洗練されたものになった。それでもスタイリッシュなSUVを多くラインナップするランドローバーとしては特異なデザインであることは間違いない。
エクステリアはずいぶんと洗練されたディフェンダーだが、タフなキャラクターを踏襲していることもあり、背面タイヤは全車に標準で装着されている。
標準タイヤサイズのほかに、18、19、20インチのタイヤがオプション設定されていて、それに合わせて背面タイヤのサイズも選べるようになっている。
基本はタイヤむき出し状態での装着だが、パックオプションを選択することで、ハードタイプのタイヤカバーを装着することもできる。
背面タイヤは全モデルに標準装備される。ハードタイプのタイヤカバーはパックオプションを選ぶことで装着可能。オフロード性能の高さは相変わらず
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みんなのコメント
本来あの場所しかないからあそこにあるのだ。
必然なのだ。