エリザベス女王が亡くなり、世界中で多くの人が悲しみにくれた。70年を超える在位期間をはじめ、これまでのエリザベス女王の功績はこれからも語り継がれていくことだろう。
そんなエリザベス女王、そしてイギリス王室といえば数々の公用車が大きな話題になってきた。近年のエリザベス女王が普段の移動手段としていたのはベントレーステートリムジンだが、その前にはロールスロイスを愛用していた。
エリザベス女王と25年!! 輝きを失わない先代公用車 ロールスロイスファントムVIが遺す英国の誇り
あまり日の目を浴びなくなってしまったかつての女王公用車であるロールスロイスファントムVI。国葬でふたたび脚光を浴びた世界最高峰の名車を振り返ろう(トップ画像はファントムV)。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Rolls Royce Motorcars
■イギリスの「誇り」がドイツの傘下になった日
常にイギリス王室とともにあったロールスロイス。写真は1966年のエリザベス女王(後席向かって左側)とフィリップ王配(同右)
エリザベス女王のロールスロイスを振り返る前に、最後の公用車となったベントレーステートリムジンについて触れないわけにはいかない。ベントレーといえば今さら説明する必要もないほど有名なイギリス発祥の高級車メーカーだ。
しかしエリザベス女王がロールスロイスからベントレーに乗り換えられたことは、単純に公用車のメーカーが変わること以上に大きな意味があった。
それはエリザベス女王の地位と車格に関係がある。ベントレーはロールスロイスの兄弟車という歴史を歩んできたブランドであると同時に、ロールスロイスよりスポーツ性が高くパーソナルユース志向が強いブランドだ。
ベントレーがいくら伝統的な英国車とはいえ、その車格はあくまでもロールスロイスの傘下にあったブランドであり、女王陛下の公用車としてはふさわしくないという指摘も多くあった。
ではなぜ公用車はロールスロイスからベントレーに変わったのか。そこにはロールスロイスとベントレーのブランド売却騒動が関係してくる。1998年にロールスロイスとベントレーは業績悪化からブランドの売却を決定する。その際に両社を購入したのがドイツのフォルクスワーゲンだった。
■ベントレーが「正統」になっても揺るがないロールスの立ち位置
2002年にロールスロイスから公用車の座を受け継いだベントレーステートリムジン。ベントレーが女王の公用車になったことに批判もあった
当時のフォルクスワーゲンはベントレーとロールスロイスの製造コストを適正化して超高級車ビジネスを成功させる狙いがあり、それまで職人が手組みをしていた6.75Lエンジンの採用を避け、BMWからエンジン供給を受けてより収益性の高いモデルを製造した。
しかしイギリスの二大高級車ブランドの波乱はそのままでは終わらず、今度はフォルクスワーゲンとBMWの間に新たな契約問題が起こる。そしてロールスロイスはフォルクスワーゲンからBMWに移管され、フォルクスワーゲンはベントレーを継続生産する。
実はここにベントレーがエリザベス女王公用車になる大きな分かれ道があった。それがフォルクスワーゲンがベントレーを手に入れたと同時に、伝統的にベントレー/ロールスロイスを製造してきたクルー工場も傘下に収めていたことだ。
2003年にBMWもロールスロイス用にイギリスのグッドウッドに工場とブランド拠点を設けるのだが、やはり伝統を重んじる英国王室らしく、イギリス王室の公用車を担う「正統」はクルー工場を含むベントレーという認識にこの時に決まったという見方は強い。
それを考えればエリザベス女王の公用車がベントレーになったのもある意味では当然かもしれない。ベントレーステートリムジンのエンジンについてもいろいろと噂はあったものの、結局は伝統的なOHVの6.75Lを誇るV8エンジンに落ち着く。
イギリス王室の公用車たるもの、イギリス伝統のエンジンがなければならなかったのだろう。
■新世代へ受け継がれるファントムVIの雄姿
こちらはファントムVIステートリムジン。女王が乗車される時のみフロントのマスコットが "Saint George and the Dragon(聖ゲオルギウスと竜)"となる
すっかり前置きが長くなってしまったがようやくロールスロイスの話に移る。エリザベス女王にとって先代の公用車であるロールスロイス ファントムVIステートリムジンだが、ものを大切にするイギリス王室、そして文化もあり、今日でもその存在感は揺るぐことがない。
ロールスロイスファントムVIステートリムジンは1977年にエリザベス女王即位25年を記念して、イギリス自動車製造販売者協会が献上したモデルだ。王室公用車特有のボルドーレッド(ロイヤルクラレット)と黒のバイトーンで塗られている。
また架装を担当するコーチビルダー「マリナーパークウォード」の施工によって、通常のファントムVIよりも高いルーフとパノラミックガラスが誂えられた。沿道から女王をはじめロイヤルファミリーのお姿が見えやすくなっているのも通常モデルとの大きな差異だ。
テレビを通じてファントムVIの姿はエリザベス女王と一緒に世界中に配信された。近年でいえば2011年にウィリアム王子(現:皇太子)とキャサリン・ミドルトンさん(現:皇太子妃)とのご成婚のシーンだ。
キャサリン妃が父親とウェストミンスター寺院に向かったのがまぎれもなくこのファントムVIだった。そしてエリザベス女王の国葬に際して、新国王に即位されたチャールズ国王が移動の際に乗られていたのも記憶に新しい。
エリザベス女王の70年を超える在位期間において、これほどまでに一緒に時間を過ごした公用車は数少ない。そしてロールスロイスの地位を世界的に高めた存在でもあったはずだ。またいつかイギリス王室の公用車としてロールスロイスが選ばれる日はくるのだろうか。
最後になるが現行のロールスロイスとベントレーはドイツ資本となってはいるものの、ビジネスとしては安定しており、もちろんイギリス国内でのクラフトマンシップも守っており、伝統と歴史をないがしろにしているわけではないことは補足しておこう。
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