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BTM通信 Vol.35 雪山ライダーに知ってほしい雪崩とセルフレスキューの原則

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BTM通信 Vol.35 雪山ライダーに知ってほしい雪崩とセルフレスキューの原則

来たるべき魅惑のパウダーシーズンに向けてアバランチレスキューを知ろう。ふと立ち止まったこんな時こそ読んでほしい帰路知識。

オフワンでも度々紹介しているスノーバイク。日本では北海道を中心にライダーが急増中だ。ぼくも北海道在住のライダーなので、シーズン中は、ダートバイクの代わりに、これを楽しんでいる。ラリーなどで砂漠のライディングを知っている人は「まさに砂丘のフリーライディング」というほどで、ライディング感覚はバイクそのもの。フィールドさえ良ければ、「人生で最高の」と言いたくなるぐらいの体験ができるだろう。

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雪崩というリスク
楽しいアウトドアスポーツは、しばしば危険を伴うものだ。雪山では当然、雪崩遭難のリスクが避けられない。バックカントリースキー、スノーボードと同じように、スノーバイクも深いパウダースノーが大好物なのでなおさらだ。天気予報などで、春の雪解けの時期になると毎日のように「雪崩注意報」が出されるので、雪崩は暖かくなってから起きるものだと思っている人が少なくないが、雪崩遭難事故の多くは、真冬に起きる表層雪崩によるものだ。

雪崩に遭わないために、雪山アクティビティを楽しむ人たちは、雪崩が起きやすい気象条件、雪質、地形、また雪崩を誘発する行動といったことを知識として身に着け、実践する。ここで安易にそれに触れることは誤解を招くことになりかねないので、別に機会を譲りたいが、スノーバイクのライダーも、ぜひ、専門書や、講習会の受講などによって知識を身に着けてほしい。ぼくたちも、仲間とともに定期的に講習会を受けたり、またレスキューのトレーニングを行うようにしている。

セルフレスキューの原則。なぜか?
ここでは、アバランチ(雪崩)レスキューに興味を持ってもらうために、基本的な装備を紹介しようと思う。バックカントリースキー、スノーボードを楽しむ人たちにとっては一般的なもので、かつては「三種の神器」とも呼ばれたが、これさえあれば安全、と誤解されることがあるので今はこういう言い方はしなくなった。この3点セットは雪崩に巻き込まれて埋没した場合に同行した仲間(パーティ)が、自力でレスキューを行うための装備だ。埋没した人間をできるだけ早く発見し、掘り出す。これをセルフレスキューというのだが、雪崩遭難ではこのセルフレスキューが大前提なのだ。

35分経過で生存率は30%に下がる
即死の場合も少なくない

雪崩による死因は、窒息、外傷、低体温の3つ。外傷によって即死していることも多いと考えられているが、窒息の場合には埋まってから15分で生存率92%、35分で30%まで下がる。仮に非常に運が良くて呼吸できる状態で埋没し窒息を免れる状態であっても2時間後には生存率が0%(低体温症、外傷のため)になる。

つまり、仲間が雪崩に巻き込まれたら、なんとしてでもその場にいるメンバーで、できるだけ早く掘り出して救出しなければならないということだ。救助を要請しても、到着する頃にはもう絶望的なのである。
※統計によって推定生存率は異なります。

雪山アクティビティ3つの必須装備
1.アバランチビーコン
一人ひとりが身に着ける電波発信機兼受信機。通常の行動時は、発信状態で、誰かが埋まったら、雪上に残った者が受信状態に切り替える。最新のビーコンでは、埋まっているビーコンの数、距離、方向までグラフィカルに表示する。デジタル式、アナログ式があるが、現在はデジタル式を装備するのが普通だ。業界標準の周波数を使用していて、各メーカー、製品が混在していても使用できる。価格は2万円~5万円程度。

2.プローブ
ゾンデとも呼ばれる。アバランチビーコンは性能的には0.5~1メートル以内まで場所を特定することができるが、例えば1.5メートル以上の深さに埋没している場合は、それ以上接近できないので、その分範囲が拡がることになる。ビーコンの信号である程度の場所を特定したあとは、そのプローブを雪に突き刺して、埋まっている身体の場所を特定する。長さは3メートル内外だ。
7千円~1万円程度。

3.シャベル
ビーコン、プローブで場所を特定したら、全員で全力で掘り出す。そのためのスコップである。堅い雪に通用する素材。1万円前後。

ブラックダイヤモンド(BlackDiamond) ディプロイ3

今回は、装備について簡単に紹介をした。次回は、もう少しだけ突っ込んで、「こんな考えは捨ててほしい」ということを書こうと思う。

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