ボルボ XC90やV90などに搭載されているPHEV「T8」のツインエンジンは、さまざまシチュエーションで、走行モードを選択することで多彩な使いこなし方ができる。ここでは、その幅広い楽しみ方を、一泊二日のロングランの中で紹介しよう。(以下の記事は、Motor Magazine 2018年8月号より)
3つのモードを活用して走りを楽しむ
さて、前回に紹介したとおり、PHEVはEVと同じように電気モーターの力だけで走行できる。ここでは、これを「EV走行」と呼ぶことにする。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
一般的に言って、ガソリンエンジンの力で走行するよりも発電所で効率的に生み出された電力を使ったほうが、CO2排出量は少ない。したがってPHEVの環境性能を最大限引き出すには、できるだけ外部充電した電力で走行することが重要となる。ボルボのT8ツインエンジンも「ピュア」モードでは積極的にEVで走行。バッテリーの電力を優先的に使用してCO2排出量削減に貢献できる。
「環境も大切だけれど、ときには力強い走りも楽しみたい」そんなわがままをかなえてくれるのが「ハイブリッド」モードだ。エンジンと電気モーターを効率よく利用。動力性能と環境性能を高いレベルでバランスできる。
また、ときにはワインディングロードでスポーツドライビングを満喫したいこともあるだろう。そんなときにお勧めなのが「パワー」モードだ。このモードでは、ガソリンエンジンが常にかかった状態になるので、いつでもレスポンス良く、爽快な走りを満喫できる。
これら3つのモードを活用するとどんな走りが楽しめるのか? XC90、V90、XC60という3台のT8ツインエンジンとともに一泊二日の小旅行に出かけてきたので、その様子を報告しよう。
最近は全国各地で充電施設を備えたホテルが増えている。私たちも宿泊先で夜間のうちに3台を充電。翌朝はフルチャージした状態でテストを開始した。
ボルボのカタログには、国土交通省の定める方法によって計測したEV走行距離が示されている。これは一充電でEV走行できる航続距離を示したもので、XC90は40.4km、V90は45.0km、XC60は15.4kmとなっている。
いっぽうEV走行であと何km走れるかは車内にも表示される。満充電後にそれぞれの値を確認したところ、XC90は40km、V90は45km、XC60は40kmと表示されていた。これはピュアモードの場合で、デフォルトのハイブリッドモードだとそれぞれ35km、40km、35kmと表示される。カタログ値と必ずしもマッチしていないのは、直前の走行状態が勘案されているためなのだろう。
まずはピュアモードで走り始めたが、地方の一般道ではエンジンはまるでかからない。5kmほど走行したところでハイブリッドモードに切り替えたが結果は同じ。ここまで10kmほどを走ってもガソリンを一滴も消費しなかったため、オンボードコンピュータには燃費が無限大だったことを示す「−」が表示されていた。
続いてパワーモードを選択するとエンジンが始動したが、T8ツインエンジンは遮音性が優れているため、エンジン音はほとんど車内に侵入しない。ここでも5kmほど走ったところで燃費を確認すると、XC90が7.1km/L、V90が9.0km/L、XC60が6.6km/Lと表示されていた。
ここでハイブリッドモードに切り替えたところ、V90とXC60は26kmほど走ったところで残充電がゼロとなってエンジンが始動。XC90はその4kmほど手前でバッテリーを使い果たした。ただし、パワーモードではほぼ電力を使用しなかったので、その分を差し引くと、いずれも20km前後はEV走行できたことになる。
ライフスタイルに合わせてスマートに充電したい
ここまでのところ、EV航続距離も燃費も決して良好なデータではないが、それは走行ルートが登り勾配の連続だったためだ。もっとも、ここで費やしたエネルギーは、あとで意外な形で回収できたのだが、これを明らかにするために、私たちはこんな実験も行った。
まず箱根の大観山まで上り、そこから箱根ターンパイクで「下山」。この間に回生ブレーキでどこまでバッテリーを充電できるかを試したのだ。ちなみにこの区間の距離は13.6km。なお、走行モードはいずれもハイブリッドを選択し、ギアボックスはXC60がDレンジ、XC90がBレンジ、V90はBレンジに加えエンジンで積極的にバッテリーを充電する「チャージモード」を選んだ。この結果、V90はなんと19km分の電力を回収。XC90は17km、XC60も15kmの電力を取り戻した。
続いてピュアモードで高速道路を走行すると、V90はその後の約25kmを電気モーターだけで走りきった。残る2台もこれと前後してバッテリーを使い果たしたが、完全に充電された状態でなくとも、満充電で走り始めた午前中に匹敵するEV航続距離を示したのは、それだけ勾配が与える影響が大きいことの証明といえる。
バッテリーを使い果たした後はピュアモードで編集部まで帰還。この間、およそ18kmを走行してXC90の平均燃費は13.5km/L、V90は16.1km/L、XC60は20.8km/Lをマークした。いずれも驚異的なデータと言っていい。
繰り返しになるが、CO2排出量をもっとも削減できるのは外部充電した電力でのEV走行である。そのためには、自宅に充電設備を設けたり、公共の充電施設を積極的に利用するのがお勧め。最近は駐車場やショッピングセンターにも充電施設が用意されているので、使わない手はないだろう。
たとえば、満充電状態で自宅を出かけ、最初は電気モーターで走行。バッテリーを使い切ったらハイブリッドモードで効率よく走行し、帰宅前にはチャージモードでバッテリーを充電。エンジンを停めて静かに自宅に戻る、というような使い方もできるのだ。
そういう意味では、PHEVは自分のライフスタイルに合った「使いこなし方」を探す楽しさも満喫できる。T8ツインエンジンなら、電動化自動車と暮らす魅力が、ひと足お先に体験できる。(文:大谷達也/写真:永元秀和)
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