女王陛下のベントレー
故エリザベス女王陛下がお使いになられていたベントレー「ミュルザンヌ エクステンデッドホイールベース」がその役割を果たし、本社のヘリテージコレクションに戻ってきた。そのクルマを見てみよう。
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公用車としての役割
故エリザベス女王陛下のためにベントレーが「アルナージ」をベースとした「ステートリムジン」を製作したことはとても有名な話である。2003年に作られた小豆色のそのクルマは、乗り降りの際にお帽子が邪魔にならないよう少し背が高く作られていた。女王陛下からの特別注文は車内で音楽をお聞きになりたいということでCDプレーヤーが付けられた以外、特別なリクエストは無かったと聞く。
今回クルーの本社に戻ってきたミュルザンヌは最終モデルのミュルザンヌ エクステンデッドホイールベースだ。オークションハウスのボナムズロンドンが2017年に同じく女王陛下が2012年から14年に使われていたミュルザンヌを出品したことがあったが、その個体とは異なる。
このクルマは2020年製のミュルザンヌの最終モデルということでお亡くなりになる直前までのわずかな期間、公務で使用されていた個体だと推測できる。
エリザベス女王陛下の仕様は
このミュルザンヌEWBは故エリザベス2世女王陛下のためにオーダーメイドで製作されたもので、ソリッドのバーナートグリーンのエクステリアに、トワインとカンブリアグリーンハイドのインテリア、バーウォルナットのウッドパネル、深いラムウールのカーペットが組み合わされている。じつに英国らしいカラーチョイスだ。これに、リアプライバシーカーテンと、ドアウエストレールにはめ込まれた英国王室の紋章が追加されたが、フロントセンターアームレストは、女王陛下のハンドバッグを収納する特注サイズのトレイを設置するために取り外された。
王室で使用されることもあり、さまざまな特別装備が施されてる。例えばブルーの前後のパトライト、サイレン、拡声器などだが、それらはギアレバーの後ろにあるウォールナット仕上げのドアの下に目立たないように専用のスイッチパネルが隠されている。
ベントレーヘリテージコレクションに展示
このクルマはお客様、VIP、メディア関係者、ベントレーの社員に見ていただけるよう、本社のヘリテージコレクションに2010年に制作された第2号車や2019年に発表された「ミュルザンヌ スピード」とともに展示される。
104年のベントレーの歴史の各年代を代表する、これまでに製造された中で最も素晴らしいモデルが現在45台展示されているが、そのファミリーの一員として、これまでの歴史を説明し表現する1台として新たな役割を担うこととなるのだろう。
AMWのミカタ ベントレーはここの所、積極的にヘリテージモデルの収集や再現に力を入れているように思う。確実に未来のあるべき姿を見据えながら、過去の歴史にも敬意を払う姿はクルマのボディデザインなどにも見て取ることができる。このようにクルマそのものの価値や希少性だけでなく、独自のストーリーを持った個体を集めてゆくのも、メーカーが運営するヘリテージコレクションのあるべき姿なのかもしれない。
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