現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 一度は消滅も独自の価値で再脚光!! トヨタ ハイラックスなぜ復活? 国産唯一のピックアップに新たな支持

ここから本文です

一度は消滅も独自の価値で再脚光!! トヨタ ハイラックスなぜ復活? 国産唯一のピックアップに新たな支持

掲載 更新 5
一度は消滅も独自の価値で再脚光!! トヨタ ハイラックスなぜ復活? 国産唯一のピックアップに新たな支持

 国内では2004年に絶版も、異例のカムバック! 国産屈指のピックアップトラック、トヨタ ハイラックスはなぜ復活できた?

 ハイラックスの歴史は意外と長い。初代は1968年に誕生し、6代目の2004年7月まで35年近く販売されていた車種だ。派生車としては、1983年から2009年まで販売されたハイラックスサーフがあり、こちらのほうが知名度は高いだろう。

一番売れてるミドルSUV!! トヨタ新型RAV4購入ガイド 買いに行く前に読むべし!!!

 ピックアップトラックとしてのハイラックスは、2004年に日本市場から消えたが、13年後に復活を果たす。現在では、日本で唯一のピックアップトラックとして、異彩を放つ存在だ。

 ハイラックス復活の裏には、何があったのだろうか。ピックアップトラックの販売事情などを考えながら、トヨタ販売店で営業活動に従事した筆者が、ハイラックス復活のナゼを紐解いていく。

文/佐々木亘
写真/TOYOTA、池之平昌信

【画像ギャラリー】2017年に復活を果たした「ハイラックス」歴代モデル全63枚

ハイラックスが消えた理由と復活への道

 1960年代から1990年代初頭、トヨタ パブリカや日産 サニー、ホンダ ライフなど、様々な車種にピックアップトラックが設定されていた。

 特に、日本市場で支持が高かったのは、小型のピックアップトラックだ。5代目ハイラックスまでは、ボディサイズが全長4700mm以下、全幅は1695mm以下に収まっている。

6代目ハイラックスから車体サイズが北米仕様並みに大きくなった。しかし、日本独自の小型ピックアップトラックではなくなったことで、販売は落ち込み、2004年に生産終了した(全長4690×全幅1690×全高1650mm)

 1997年、6代目へのモデルチェンジを機に、ハイラックスが変化する。北米のフルサイズピックアップトラックのようにサイズアップし、個人ユーザーへ向けた、強い訴求が行われた。ハイラックスは、スポーツピックアップと呼ばれ、TRDのカスタマイズバージョンを用意するようになる。

 しかし、日本独自の小型ピックアップトラックから姿を変えたハイラックスは失速し、同時に、ピックアップトラック自体の国内需要も落ち込んでいく。そして2004年、ハイラックスは日本市場から姿を消した。

 ハイラックスが廃止され、約9000人と言われるハイラックスユーザーが行き場を失った。多くは北海道地域で所有され、道内のトヨタ販売店からは、メーカーへ対して、ハイラックスの復活を求める声が高まりを見せる。

 メーカーは、慎重に復活を検討しながら10年が経過した。そして1台のクルマの復活を期に、ハイラックス復活へ向けた動きが加速していく。

復活を後押ししたランクル70の再販

2014年、ランドクルーザー70が、1年限定で復活を遂げた。ハイオク仕様のガソリン車(5速MT)のみで、ワゴンタイプとピックアップトラックの2種類が用意された

 2014年、1年限定で復活を果たしたクルマがある。ランドクルーザー70だ。ディーゼルエンジンではなくハイオク仕様のガソリン車、トランスミッションは5速MTのみで、ワゴンタイプとダブルキャブのピックアップトラックを用意した。

 この仕様で売れるのだろうかと、筆者を含め、全国の販売店スタッフは疑心暗鬼だっただろう。しかし、ランクル70はよく売れた。特にワゴンだけでなく、ピックアップトラックにも注文が集まっていた点は、大方の予想を覆すことになる。
 
 ランクル70の復活を機に、ピックアップトラックが再注目された。そしてこれは、ハイラックスの復活が現実味を帯びた瞬間でもある。ピックアップトラックの国内需要が、ある程度見通せるようになったのは大きい。

2017年、ハイラックスが復活した。新規での開発は厳しく、フルサイズピックアップトラックを日本の法規に合わせて導入することとなった。販売初月で年間販売計画を超える2300台が受注となった(全長5340×全幅1855×全高1800mm)

 そして2017年にハイラックスは復活した。しかし、復活を待望していた北海道ハイラックスユーザーにとっては、残念な部分も多い。

 ハイラックス復活にあたっては、小型ピックアップトラックを新規に開発することはできず、フルサイズピックアップトラックの8代目ハイラックスを、日本の法規に合わせて、導入することとなる。希望のクルマが復活とは、言い切れない状況だ。

 しかし、販売は順調に推移した。年間の販売計画は2000台と控えめに見積もられたが、販売初月で2300台の受注となる。トヨタとしてはうれしい誤算だろう。

日本市場でピックアップトラックを販売する価値はあるのか。

2004年までのユーザー層とは異なり、現行型ハイラックスのユーザー層は、20代~30代が中心だ。日本に受け入れ難いとされるピックアップトラックが若者の購買意欲に意外にも刺さった

 復活したハイラックスの購入層は、2004年までのユーザー層とは大きく違う。実際に、6代目以前のハイラックスから、現行型への乗り換えは進んでいない。現行型は全く新しい層のユーザーから支持される存在となった。

 2種類あるグレードのうち、約8割の注文が上級グレードに集まる。ユーザーの年齢は20代~30代が中心だ。若者のクルマ離れと騒がれているが、稀有な新型ピックアップトラックに、熱い視線を注いだのは若者だった。

 ハイラックスは乗り出し価格で450万円程度であり、若年層の中でも比較的所得が高い層が購入している。新しい価値観を持つと言われる若年層に対して、日本で受け入れ難いと考えられていた、大型ピックアップトラックが意外にも刺さった。

 復活から4年が経過した現在でも、購入層は若年層が多く、次いで60代以上の男性に人気があるようだ。ハイラックスは、小さな市場にしっかりとリーチし、ピックアップトラックという異例のカテゴリーで、安定的に販売台数を伸ばしている。

 クルマの価値や、所有に対する考え方が変わっていくなかで、これまでの大衆に受け入れられるようなクルマ作りでは、新しいユーザー層を取り込むのは難しい。今までの正解を捨て、狭く深くリーチするクルマも必要となるのだろう。ハイラックスは、現代における、クルマの新たな形を提案した存在となっている。

 ハイラックスの復活は、旧ユーザーの声と新ユーザーの新しい価値観に支えられている。ランクル70復活のタイミングも絶妙な後押しをした形だ。

 日本唯一のピックアップトラックは、自分だけの小さな市場に支えられながら、今後も独自の価値を追求していくに違いない。

【画像ギャラリー】2017年に復活を果たした「ハイラックス」歴代モデル全63枚

こんな記事も読まれています

クルマはいまやボディだけじゃなくてシートもコーティングが基本! 車内で飲食するなら「布シートコーティング」は必須だった
クルマはいまやボディだけじゃなくてシートもコーティングが基本! 車内で飲食するなら「布シートコーティング」は必須だった
WEB CARTOP
エンブレムが立ち上がった! メルセデスベンツ『EQS』が「電気自動車のSクラス」らしく進化 1535万円から
エンブレムが立ち上がった! メルセデスベンツ『EQS』が「電気自動車のSクラス」らしく進化 1535万円から
レスポンス
4連覇達成のフェルスタッペン、レッドブル離脱は考えていたのか? 内紛とライバル猛追に苦しんだ2024年を回顧
4連覇達成のフェルスタッペン、レッドブル離脱は考えていたのか? 内紛とライバル猛追に苦しんだ2024年を回顧
motorsport.com 日本版
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
motorsport.com 日本版
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
レスポンス
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
くるまのニュース
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
VAGUE
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
バイクのニュース
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
AUTOSPORT web
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
Auto Messe Web
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
モーサイ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
motorsport.com 日本版
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
バイクブロス
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
THE EV TIMES
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
レスポンス
「えっ…ホント!?」マイ自転車に取り付ければ“電動アシスト化”! フル充電で約50kg走行する「P.Wheel」って何?
「えっ…ホント!?」マイ自転車に取り付ければ“電動アシスト化”! フル充電で約50kg走行する「P.Wheel」って何?
VAGUE
究極の新型「爆速ラグジュアリーSUV」実車公開! 史上最もパワフルな「新型ディフェンダーオクタ」が置かれたイベントとは
究極の新型「爆速ラグジュアリーSUV」実車公開! 史上最もパワフルな「新型ディフェンダーオクタ」が置かれたイベントとは
くるまのニュース
茨城県唯一の本格的石垣城砦「笠間城」に昂る!
茨城県唯一の本格的石垣城砦「笠間城」に昂る!
バイクのニュース

みんなのコメント

5件
  • 本来のハイラックスは仕事用のクルマ。

    シンプルで安い4ナンバーじゃないと支持されるわけねーだろw
  • これだけハイラックスについて詳しく解説しているのに、タイ産であることは1ミリも触れてない

    いつも思うけどトヨタ車の記事って忖度しまくりだよね
    ハイラックスの記事でタイ産であることを触れてあるのって本当に少ない
    キックスの記事なら大体触れてるのに
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

407.2477.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

89.0690.0万円

中古車を検索
ハイラックスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

407.2477.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

89.0690.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村