日産にとって、2021年は間違いなく復活の年になりそうだ。
2020年6月24日に発売した新型コンパクトSUV、キックスは2020年11月24日に発表、そして12月23日に発売した新型ノートのフル販売を皮切りに、2021年に発売する新型車は、2月19日、新型ノートに4WD車やオーテックバージョンの追加設定。
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3月中旬にはノートベースの新型プレミアムハッチバック、6月には電気自動車の新型SUV、アリアを発売、9月にはエクストレイルがフルモデルチェンジ!
そして年末にはフェアレディZのフルモデルチェンジ、軽自動車ベースの新型電気自動車の発売と、これまでの鬱憤を晴らすかのように、怒涛の新車ラッシュとなる!
さあ、日産が復活をかける2021年にデビューする注目車はどんなクルマなのか、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が解説する。
文/遠藤徹
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 日産自動車
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新型ノートベースのプレミアムハッチバックは2021年3月中旬発売予定
現在発売されている新型ノートをベースにした上級版が登場。3ナンバーサイズとなり、価格はノート Xに対して40万~50万円アップする見込み
現在の動向からチェックしていきたい。キックスはタイからの輸入モデルであり、新型コロナウイルス蔓延の影響もあり、当初生産が軌道に乗るのが遅れ、納期が4ヵ月待ちで販売は月販3000台規模にとどまっていた。
それが2019年11月頃から増産態勢が組めるようになり、最近は5000台規模の供給で推移している。これによって今年は年初から月販4500~5000台レベルに拡大、納期も1ヵ月以内に短縮できる方向にある。
新型ノートは当面月販計画を8000台に設定している。2月19日には4WDやオーテック仕様がラインナップに加わるので、これによって月販1万台態勢の確立を目指すことになる。
さらにノートベースの新型プレミアムモデルがラインナップに加わる。ワイドフェンダーやバンパーの大型化などで全幅1740mm程度の3ナンバーボディに拡大、室内は上質のシートや内張によってクオリティアップを図った仕立てとなる。
タイヤのインチアップや1.2L、e-POWERの制御の見直し、足回りの強化などで走行性能の向上も狙う。車両本体価格はノートの上級仕様の「X」に対して40万~50万円アップした設定となる見込み。
まだノートのネーミングを冠するかどうかは明らかになっていない。2020年2月上旬にも販売店向けの商品説明会を開催し、以降ティザーキャンペーンや先行予約の受付を開始するものと思われる。
電気自動車の新型SUV、新型アリアは2021年6月発売予定
新型アリア。全長4595mm×全幅1850mm×全高1655mm。フル充電からの航続距離は430~610km。電動駆動4輪制御システム「e-4ORCE」が路面状況に合わせて最適な重量配分に制御する
新型アリアは2020年夏にすでに発表しており、商品概要は明らかになっている。全長4595mm、全幅1850mm、全高1655mmというボディサイズは、マツダCX-5に近いサイズ感で、ホイールベースが2775mmと長く、前後のオーバーハングが短く、クーペルックのラウンドしたルーフと大きく傾斜したバックドアが作り出すフォルムは、クロスオーバーSUVという既存のジャンルで言い表せない“新ジャンル”を感じさせる。
ツインモーターの電動駆動4輪制御システムを搭載したスタイリッシュな小型車クラスのクロスオーバーSUV仕立てだ。
65kWh仕様の2WDは160kW(217ps)、300Nm(30.6kgm)、もっともハイパワーの90kWh仕様の4WDだと実に290kW(394ps)、600Nm(61.2kgm)という高出力。航続距離は仕様により430~610kmとなる。
運転支援技術は一定の条件下でのハンズオフを可能とする「プロパイロット2.0」に加え、「プロパイロットパーキング」やコネクト技術も搭載され、スマホとの連動でルート検索やエアコン操作なども可能とする。
車両本体価格が500万円以上する電気自動車であるから、月販1000台以下にとどまり、日産の巻き返しにどれだけ貢献できるか不明だが、将来の主役となり得る存在で、日産のイメージアップに大いに役立つに違いない。
このモデルを見にショールームに訪れるユーザーが増えることで、商談のチャンスがさらに拡大することにもつながるはずである。
新型エクストレイルは2021年9月発売予定
北米仕様ローグ。日本国内ではエクストレイルとして発売される予定。パワートレインは2Lと2.4Lのガソリン、e-POWER、PHEV
新型エクストレイルはノートとキックスの中間に位置づけられる戦略モデルのポジション。アリアが都会派クロスオーバーSUV仕立てなのに対してこちらは引き続き4WD主体のオフロード色の強いSUVとなる。
傘下にある三菱自動車の次期型アウトランダーとプラットフォーム、パワーユニット&基本コンポーネント、ボディパネルの一部を共用した姉妹車仕立てとなり、ややサイズアップし、上級にシフトする。
インテリアはシート、内張などを上質仕立てとする。シート配置は2列シート5人乗りと3列シート7人乗りの2タイプ構成は引き継ぐ。
パワートレインは2Lと2.4LのガソリンNAエンジン、1.2Lのe-POWER、2.4Lエンジンと組み合わせたPHEVを搭載。2Lの1モーター&2クラッチ方式のフルハイブリッドはe-POWERに置き換わる。
2.4LエンジンとPHEVは三菱からの供給となる。ガソリン車いずれも2WD、4WD、CVTとの組み合わせになるが、PHEVは4WDで2列シート5人乗りのみとなる。
1.2L、e-POWERはキックスに搭載しているのと基本的に同じだが、モーター&バッテリーの容量は引き上げ性能を向上させる。
駆動方式はいずれも2WD、4WDを設定。PHEVは三菱自動車からユニット供給され、従来のアウトランダーに積んでいるものに比べると、効率アップを図りながらコンパクト化を進めている。
ルークスベースのスモール軽EV
東京モーターショー2019で公開された日産IMKコンセプト。航続距離は200km近辺となる見込み
軽自動車ベースの電気自動車は三菱自動車との共同開発で三菱は「i-MiEV」の後継モデルとなる。東京モーターショー2019で公開された日産IMkコンセプトを発展させたもの。ベースは現行ルークスで、プラットフォーム、ボディパネルをほぼ共用する。パワートレインはi-MiEV用ユニットをベースに大幅な改良を加える。
バッテリーの容量アップで1充電あたりの航続距離を200km近辺まで延長させることで、中距離までの移動に十分に対応できるように仕立てる。300万円以下の価格設定で1500台以上の量販を目指せるようにする。
新型フェアレディZの発売は2021年末予定だが遅れる可能性も
3Lターボ+6速MTの搭載で話題となった新型フェアレディZ。発売が2022年春まで延期される可能性もある
フェアレディZの世代交代は2022年春に先送りされる可能性がある。現行モデルの登場が2008年12月1日だから13年ぶりのフルモデルチェンジとなる。
プラットフォーム&基本コンポーネントを全面刷新し、ボディ剛性の向上、足回りの強化、エンジンの改良による大幅な走りのポテンシャルアップが図られるはずである。
搭載されるエンジンは、3.7L、NAから3Lターボに置き換えられる予定。トランスミッションはATのほか、MTが用意される。
そのほかの車種のマイナーチェンジ、改良情報
マイナーチェンジでは、2021年8月下旬にもNV200バネットがマイナーチェンジを受ける。
乗用ワゴンの5ナンバーバージョンは内外装のデザイン変更、安全対策強化が図られる。2WDのみで1.6Lエンジンに2列シート5人乗り、3列シート7人乗りの6AT車が1タイプずつのシンプルなラインアップ構成で、商用車の4ナンバー車が販売の中心になっている。
5ナンバーサイズのコンパクトミニバンはシエンタ、フリードが月販6000~8000台規模でシェア争いを演じているが、日産陣営は両雄に大きく引き離されている。
本来であれば別バージョンとしてノートベースのコンパクトミニバンが設定に向けて開発が進められているはずだが、まだ詳細な情報は出ていない。1年後の2022年にずれ込んでいる可能性がある。
車種整理についてはシルフィ、シーマがすでに2020年末で生産が打ち切られている。セダンはフーガとスカイラインのみになったが、国内バージョンは当面両モデルだけが継続される見通しである。
証言1:首都圏日産店営業担当者
「今年から日産は積極的なニューモデル展開で反転攻勢に出そうなので期待しています。新型ノートを軸にキックス、ノートの上級派生モデル、新型電気自動車のアリア、次期型エクストレイルが出揃えば、かなりの挽回ができると予想しています。
新型ノートは最上級グレードのXを中心に好調なスタートを切っています。キックスも増産でバックオーダーを解消しつつあるので今後に期待が持てる状況にあります」。
証言2:首都圏日産プリンス店営業担当者
「新型ノートはe-POWER車だけになってしまったので厳しいですが、上級の派生モデルや4WD、オーテックバージョンも加わりますので、なんとか頑張って売り込みを強化したいですね。
次期型エクストレイルが投入されればキックス、アリアを含めて3車種の新型SUVが出揃うことになるので、ライバル他社との対抗できる状況になるので期待しています」。
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みんなのコメント
壊れかけた企業の再建は一足飛びではできません。
日産は自ら輝かしい歴史という財産を食い潰した企業体質はそのままなのだから。