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威風堂々のNSX最終章!! 最終モデルType Sは30台限定2794万円

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威風堂々のNSX最終章!! 最終モデルType Sは30台限定2794万円

 2016年に登場したホンダのスーパーカーである、NSXの2代目モデルの最終限定車となるホンダNSX TypeSが2021年8月30日に正式発表された。単なる限定車ではなく、標準モデルは終売となり今後購入できるNSXはTypeSのみとなる。

 TypeSは既報の通り世界限定350台のうち日本への割り当ては30台。価格は2794万円だ。オーダーはNSXを扱うNSXパフォーマンスディーラーで2021年9月2日(木)から、デリバリーは2022年7月から開始される予定。

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 「最後のNSX」と書くととても寂しく感じるが、今回は2代目NSXの集大成となるTypeSの進化を中心に紹介したい。動画も合わせてぜひご覧ください。

文:永田恵一/写真:平野学/動画撮影:編集部/動画編集:成田颯一

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■究極をめざした「TypeS」のコンセプト

よりエッジが効いたデザインとなったTypeS。マイナーチェンジでこのデザインにしておけばとも思うが……

 初代NSXでは「TypeRはサーキットベスト、TypeSはワインディングベスト」という明確なコンセプトがあったが、2代目NSXのTypeSは特定の走るシーンを決めているわけではなく、「どんな走行シーンでも性能や楽しさを底上げした究極の2代目NSX」というのがコンセプトだという。

 開発責任者の水上聡氏に聞いてみると「特にワインディングロードでの速さと楽しさには自信があります」とのことだった(編註:水上氏はDC5インテグラの開発責任者でもあり往年のタイプRを知り尽くしたひとり)。

 ここからはTypeSでの進化をパートごとに見ていこう

【エクステリア】

バンパー開口部はもちろんダミーではなくダクトになっている。空力的な処理をよりアグレッシブにすることで戦闘的なイメージも

 まず目に付くのが戦闘的な形状となったフロントバンパーだ。このフロントバンパーは見た目に戦闘的なだけでなく、中央開口部を拡大。

 縦長の形状となった左右開口部はサイドラジエーターへの、バンパーコーナー部の形状変更もリアインタークーラーへの導風性といった、冷却性能の向上に寄与しており、いわば機能美である。

 また、フロントリップスポイラーとリアディフューザーの形状変更もダウンフォースの増加によるスタビリティ(走行安定性)の向上に貢献している。

 エクステリア細部もブラック化されたヘッドライトハウジング、テールライトハウジング、エキゾーストフィニッシャー(マフラー周りの枠)、ピアノブラックのドアハンドルやドアミラー、外からも見える深紅のエンジンセンターカバーなどにより、さり気なくTypeSの特別感が演出されている。

 なお、全10色となるボディカラーにはホンダ初のマットカラーとなる、写真のカーボンマットグレーメタリック(69万3000円)も設定される。

【インテリア】

ヘッドレストにNSXの刺繍が。そしてシートにも明るいカラーリングが用意される(写真はオーキッド)

 「スーパーカーとしては乗用車的」という声が多かった2代目NSXのインテリアは、TypeSもダッシュボードなどの形状はそのままだ。しかし、レッドステッチの多用やレッドのシートベルトの採用、ヘッドレストに加わったNSXのロゴ、グローブボックスに入ったTypeSのロゴなどにより、雰囲気はスーパーカーらしい高揚感ある方向となった。

 また、カードキーもTypeS専用となり、インテリアカラーはセミアリニンレザーと革のコンビシートがニューレッド、エボニィ、オーキッドの3色、セミアリニンフルレザーシートにはニューレッドとエボニィの2色が設定される。

■標準モデルから19馬力アップで600馬力突破

赤いヘッドカバーが用意されたTypeS。もちろん中身も大幅進化

 縦置きミッドに搭載される3.5リッターV6ツインターボエンジンはタービンの変更、ブーストアップ、インジェクターの噴射量アップ、インタークーラーの放熱量向上により、507馬力&56.1kgmから529馬力&61.2kgmにパワーアップした。

 また、フロント左右、後輪の3モーターもフロント左右モーターの20%ローレシオ化、制御の変更で7馬力アップしており、フルパワーとなるシステム最高出力は581馬力から610馬力、システム最大トルクも65.9kgmから68.0kgmとなった。

 サウンド関係もアクセル操作にレスポンスするインテークサウンドコントロールとスピーカーを使っていると思われるアクティブサウンドコントロールの最適化により、高揚感あるよりスーパーカーらしいものとなった。

 9速DCTとなるトランスミッションもシフトスピードが早くなったのと同時に、左のパドルを長引き(0.6秒)すると、その時にシフトダウン可能な一番下のギアに飛ばしシフトダウンのように素早く入るパドルホールドダウン機能が加わった(編註:一気に4段落とし、5段落としも可能とのこと)。

【足回り関係】

タイヤはピレリPゼロに。ホンダ認証タイヤとなる「HO」の表記もある

 タイヤの銘柄は従来モデルのコンチネンタルからさらにグリップの高いホンダ認証のNSX専用となるピレリPゼロに変更された。また、新デザインとなったホイールもインセットの変更でトレッドがフロント10mm、リア20mm広がっており、限界性能とコントロール性が向上した。

 サスペンションも可変式となるアクティブダンパーシステムの可変範囲が大幅に拡大されるなどの、変更が施されている。

 なお、車重は従来モデルより10kg軽い1790kgが目標とされ、20kgの軽量化になるカーボンセラミックブレーキやカーボンエンジンカバーも従来モデル同様にオプション設定される。

【制御関係】

 電動パワーステアリングや3モーターハイブリッド4WDとなるスポーツハイブリッドSH-AWDの制御も大幅に見直された。特に後者は下記3点を軸に改良されている。

・市街地などに適したクワイエットモード/EV状態での加速性能向上と、EV走行領域の拡大

・通常走行用のスポーツモード、ワインディングロードなどに適したスポーツ+モード/四輪の駆動制御や姿勢制御の最適化によりコーナーでのライントレース性、加速時のレスポンスを向上

・主にクローズドコースで使うトラックモード/スポーツ走行時などのコントロール性を向上

ド迫力のディフューザーも装備される。まさにTypeSはNSXの集大成なのだ

 まとめると、どんな走行シーンでも「クルマが思い通りに走ってくれる」というドライバーとの一体感、楽しさが究極レベルに進化したようだ。なお、速さの指標となるサーキットのラップタイムはホンダ社内の計測で、鈴鹿サーキットにおいて従来モデルより2秒速いとのことだ。

 TypeSに施された変更は、全体的に「世界限定350台のためによくぞここまで!」と感じる濃厚なものだ。もしかしたらホンダとしては、マイナーチェンジで今回のTypeSを標準モデルとして発表して、今後も2代目NSXを育てていこうという気持ちがあったのかもしれない。

 350台のためだけにこれだけの改良を行うとは考えにくいからだ。それだけにTypeSを買える財力がある興味のある人は、購入のため即動くべきだ。

■価格の妥当性と3代目へ紡ぐべき歴史

NSXは初代から徹底した「人間中心」を意識して作られた。「スポーツカー=MT」という時代だったにもかかわらず、ATモデルも用意され高性能スポーツを誰もが楽しめるモデルだった

 NSXの歴史は「初代はスポーツカー、2代目はスーパーカー」と、一見共通性はないようにも見える。しかし、あるコンセプトでは共通点がある。それはホンダのよき伝統でもあり、多くの車種に採用されてきた「人間中心」のコンセプト。

 スポーツカーの初代NSXでもホンダが提案したのが、当時のポルシェやフェラーリにはなかった「人間中心」の扱いやすさだった。

 2代目は初代よりはかなり気を使う車高の低さや乗降性の悪さはあったが、普通に乗っている分には非常にイージードライブで快適だった。「人間中心」の思想は2代目にも引き継がれていたと思う。

 また、商業的に2代目NSXを見ると、アメリカに生産を行うPMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)を立ち上げたのに加え、総生産台数もTypeSを含めトータル6年で約3000台と少なく、存在意義は大いにあれどビジネスで見れば大苦戦と言わざるを得ない。

 同時に価格の妥当性を考えると、極端に言えばこの種のスーパーカーは「欲しい人はいくらでも買う」という類のものだけに、性能や機能だけで見れば2500万円から3000万円という価格も相応と言えば相応だったとは思う。

 さらに言えば今回のNSX TypeSの国内価格については北米価格よりもたしかに高価だが、右ハンドル対応やサイドマーカーの意匠変更など、たった30台の日本専用仕様を誂えたことを考えれば妥当に思える。

 ただ、この価格帯のスーパーカーは性能や機能だけで買うものでもなく、ブランドや伝統を買うという側面もある。NSXは高いブランド力や伝統のあるポルシェ911ターボ、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンと同じ価格帯の土俵に立っている。

 そのあたりも含め「これらのスーパーカーと迷った際に、NSXを選ぶ魅力があったか?」と考えると、ブランド力や伝統という意味で2代目NSXは弱かった。だからこそ、スポーツカーやスーパーカーに付帯する伝統や伝説を作っていくためにも、2代目NSXが作り続けられなかったことは非常に惜しい。

 それでも、2代目NSXが残した「電動スーパーカーの先駆け」という功績や影響は大きかったのではないだろうか。

 2代目NSXはTypeSで最後となるが、万が一にもモデューロや無限などのホンダ関係のブランドから純エンジン車とした、シンプルなスーパーカーとして現在の半額くらいで継続するようなことがあれば、PMCの活用(今後は少量生産車の生産などを行うようだ)も含め嬉しいが、そういったことはおそらくないだろう。

 今後のNSXに対する期待としては、自ずといつのことかも分からない3代目NSXに向くが、もし3代目NSXがあるなら初代と2代目同様の何らかの提案に加え、初代NSXが15年間続けられたような継続性のあるスポーツカー、スーパーカーになって欲しい。その時を気長に待ちたい。

初代は1990年のバブル期から2005年の不況までひとつのモデルに改良を加えて乗り越えた。それはNSXに対するホンダの意地でもあったはずだ。3代目NSXに会える日を楽しみにしたい

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