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最新かつ最良の“ゲレンデヴァーゲン” ルックス不変でも中身は確実進化! 電動化された心臓を積むメルセデス・ベンツ新型「Gクラス」の印象は?

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最新かつ最良の“ゲレンデヴァーゲン” ルックス不変でも中身は確実進化! 電動化された心臓を積むメルセデス・ベンツ新型「Gクラス」の印象は?

“変わらないこと”こそが喜ばれるメルセデス・ベンツ「Gクラス」

 一般的に、クルマはフルモデルチェンジを経るたびにデザインが刷新されるというのが常識で、その方がユーザーたちに喜ばれます。

【画像】「えっ!…」これが“最新にして最良”のメルセデス・ベンツ「Gクラス」です(30枚以上)

 しかし、世の中にはそんな一般常識から外れ、“変わらないこと”こそが喜ばれるクルマも存在します。メルセデス・ベンツ「Gクラス」はまさにその好例です。

 なぜ「Gクラス」は人々にそう思わせるのか? それは独特のクラシカルなスタイルで、いまやアイコンになっているから。

「Gクラス」がデビューしたのは1979年のこと。1989年にメカニズムとインテリアを大きく変更するも、ボディやシャシーの基本設計はそのままでした。

 その後2018年に、車体構造を全面的に刷新する実質的なフルモデルチェンジを実施するも、クラシカルなルックスは受け継がれました。パッと見たところ、従来モデルとの違いに気づかない人も少なくないでしょう。

「Gクラス」はなぜデザインを変えないのか? その理由はただひとつ。「ユーザーがそれを望んでいるから」にほかなりません。

「Gクラス」を購入する多くの人は、このモデルが持つ特別な雰囲気に惚れ込んで選んでいることでしょう。

 メルセデス・ベンツは、「Gクラス」以外にも「GLS」などの上級SUVをラインナップしています。しかし、モダンなデザインのそれらでは「Gクラス」の代わりは務まりません。「Gクラス」のクラシカルなスタイルが多くの人々を惹きつけているのです。

 ちなみに「Gクラス」は世界的に人気が高い状態が続いており、いまオーダーしても1年以上待たされるのが一般的。少し前までは、生産が全く追いつかず受注をストップしていたほどです。

 2024年夏、そんな「Gクラス」が商品改良を受けました。いわゆるマイナーチェンジです。

 そのメニューを大まかに並べると「細部の最適化による空力特性/静粛性の向上」、「電動化によりさらなる優れたパフォーマンスと効率性を実現」、「快適性/利便性を高める対話型=音声入力対応のインフォテイメントシステム“MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)”を『Gクラス』として初採用」、そして「高性能バージョンであるメルセデスAMG『G63』に“AMGアクティブライドコントロールサスペンション”を初採用」といったところです。

 でも、ご安心ください。デザインは変わっていません。「Gクラス」はやはり「Gクラス」なのです。

 細かい部分でいえば、「フロントピラーの形状最適化」や「ルーフ前端にリップスポイラーを追加」といった空力特性と静粛性の進化が盛り込まれていますが、それはよほど詳しい人が細かく見比べないと分からない変化。ここだけの話、筆者(工藤貴宏)は新型を見ても違いがよく分かりませんでした。

 ディーゼルエンジンを搭載するスタンダードモデル「G450d」はフロントのグリルやバンパーのエアインテーク形状が変わっていますが、それも「見る人が見れば分かるレベル」の変化です。むしろ「従来モデルはどんなデザインだったっけ?」と思うくらい違和感がありません。これくらいの変化は許容範囲でしょう。

 一方、今回の試乗車であるメルセデスAMG「G63」では、「縦方向のフィンが力強い印象を与えるフロントサイドエアインテークを採用」、「AMGクレストデザインとなったボンネットバッジの採用」、「AMGクレストデザインとなったブランドロゴプロジェクターライトの採用」、そして「シルバークロームのAMG燃料給油口キャップの採用」などいずれも細かい変化。

 それらは“新しさを感じさせるもの”というよりも、“AMGらしさを強めた”という印象です。AMGモデルを買う人が、より満足できるような演出を加えたと考えるのが正しいとらえ方だと思います。

「Gクラス」はやっぱり「Gクラス」。マイナーチェンジを経ても孤高の存在感はそのままです。いやむしろ、今回の商品改良で存在感は強まったといっていいかもしれません。

 一方、車内に乗り込んでみると、従来モデルからの変化を実感することになるでしょう。

 その最大の理由はステアリングで、メルセデス・ベンツの最新デザインのものとなりました。左右のスポークがそれぞれ2本になり、スイッチがタッチ式になっているのが特徴です。

 また、ダッシュボード自体は従来モデルと同じですが、何かが違う……。そんな間違い探しのような気分で確認してみたところ、センタークラスターのデフロックスイッチ(フロント/センター/リアと3つのデフをロックできるのはさすが!)が小さくなり、ローレンジやマニュアル変速のスイッチ、さらにはディスプレイ画面をオフロード用に切り替えるスイッチなども集約されています。

 どうせデフロックを使用するユーザーは少数派ですし、オフロード関係のコントロール機能をここにすべて集めようという意思は理解できますが、それでも筆者は、大きなデフロックスイッチこそ“「Gクラス」らしい”主張があってよかったなぁ……なんて思ってしまいました。そんな思いを抱く人は少数派かもしれませんが。

 いずれにせよ今回のマイナーチェンジは、エクステリアは“ほぼ”変わっていないものの、インテリアには最新テイストが投入された、というわけです。

 この「見た目はクラシカルだけど、中は最新」という、まるで「リフォームでインテリアをモダンにした古民家」のような図式は筆者的には大歓迎。「見た目は古くても、インテリアは最新がいい」という顧客も多いのではないでしょうか。もしインテリアまで古典的だったとしたら、それは“ただの古いクルマ”になってしまいますから。

2種類のパワーユニットはともにマイルドハイブリッド化

 見た目はあまり変わっていない最新の「Gクラス」ですが、走行性能は着実にバージョンアップが図られています。

 従来「G400d」と呼ばれていた直列6気筒ディーゼルターボエンジン搭載車は37psのパワーアップを果たして367psとなり、さらに20psのモーター追加で「G450d」へ進化。ちなみにトルクは、エンジンの750Nmに加えてモーターが発生する200Nmも加わるなど、さらに太くなりました。ちなみにこのエンジンは、メルセデス・ベンツ史上最もパワフルなディーゼルエンジンです。

 一方、今回試乗したメルセデスAMG「G63」のエンジンは、4リッターV8ガソリンターボで、585ps/850Nmを発生。こちらも新たに小型モーター(20ps/200Nm)が追加され、マイルドハイブリッド仕様となりました。

 この「G63」、エンジンをかけた瞬間からただならぬ雰囲気。ドロドロドロ……とまるで脈打つような排気音は、とてもSUVのものとは思えません(いうなれば、アメリカンスポーツカーのよう)。さらにアクセルをあおってみれば、その鋭いレスポンスはまるでスポーツカー。さすがAMGです。

 そしてひとたび加速すれば、軍用車両のような出で立ちで2.5トンを超えるヘビー級のモデルとは思えないほどの鋭い加速を味わわせてくれます。

 ちなみに、停止状態から100km/hに到達するまでに要する時間は4.4秒。純粋なスポーツカーであるポルシェ「ケイマンS」より0.5秒も速いのですから、もはやスゴいというよりもあきれてしまうほどです。

“AMGアクティブライドコントロールサスペンション”という電子制御の油圧式スタビライザーの採用も、今回の商品改良における進化のひとつ。路面の状況と走行状態を検知し、瞬時にサスペンションの減衰力を調整するのに加えてロールの制御までおこなうことで、乗り心地とハンドリングのハイレベルな両立を図るのがこのシステムのねらいです。

 試乗し始めた際、「従来モデルより乗り心地がしっとりしている気がするけれど、気のせいかな?」と思った理由は、ここにあったのかと後で気がつきました。ただし、大きく違うのかといわれれば、そこまでの違いはありません。

 そもそも「Gクラス」のAMGモデルは、ハンドリングと乗り心地をハイレベルで両立しておりは、まるでスポーツカーのようにシャープなハンドリングで気持ちよく走れるのに対し、乗り心地も悪くないという不思議な乗り味。最新モデルもそれをしっかり継承しているため、従来モデルから乗り換えるユーザーの期待を裏切ることはないでしょう。

 というわけで、“変わらないことが大切”な「Gクラス」。最新モデルに試乗して思ったのは、“変わらない美学”は詰まっているけれど、中身はしっかり進化しているということです。最新の「Gクラス」はまさに最良の「Gクラス」なのでしょう。

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