欧州では新型ジュークが2019年9月に登場したが、日本には導入されることはなく、2019年末で販売を終了した。
ジュークのみならず、2019年に多くのモデルが姿を消してた日産だが、ようやく新型「ルークス」以外にも気になる新車が登場するという情報が入ってきた。それが、ジュークに替わるコンパクトSUV「キックス」だ。
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日本市場では現在SUVが人気だが、そのなかでもコンパクトSUVが人気を博している。特にトヨタ「ライズ」は販売台数ランキングでトップを快走する好調ぶり。日産の販売サイドとしては、ジュークの抜けた穴をカバーするだけでなく、ここで一発ホームラン級のモデルが欲しいと考えている。
今回は消費者だけでなく、販売サイドも期待するキックスについて、ディーラー取材でつかんだ最新情報をお届けしたい。
文/遠藤徹
写真/NISSAN
【画像ギャラリー】日産注目のコンパクトSUV「キックス」の2020年仕様をチェック!!
■人気のe-POWERでスタートダッシュを狙う! 安全性能もぬかりなし
日産ジュークの後継モデルである「新型キックス」は2020年5月頃の発売予定でスケジュール調整をしている模様である。
2018年に、北米で発売開始した同一ブランドのモデルをベースに日本仕様にアレンジして仕立てている。ジュークのような個性の強い尖ったエクステリアデザインではなく、オーソドックスながらワイルド感を漂わせたクロスオーバーSUVシェルを採用する。
北米で発表された2020年仕様の日産「キックス」。北米仕様では、7種類のエクステリアカラーと5種類のツートンカラーが用意されている。国内仕様では若干の意匠変更が施される可能性もある
ボディサイズは全長4295×全幅1760×全高1585mm。ジュークの4135×1765×1565mmに比べると全長はプラス160mm、全幅マイナス5mm、全高プラス20mmだから室内居住空間はかなり拡大しているといえる。
ジュークはファストバック的なクーペシェルであったのに対して、新型キックスはSUVシェルでルーフラインを高めなレイアウトを採用しているので特にリア席のたっぷり感と荷室の広さを確保することで、レジャービークルとしては使い勝手を大幅に向上させていることが伺える。
フロントマスクは、セレナやエクストレイルのようにV字タイプの幅広銀メッキ板と大型逆台形グリルの組み合わせ、ヘッドランプは横長のグラスケースに丸型LEDライトを埋め込んだ、シャープで鋭角的なデザインを採用している。リヤビューは、広いラウンド感のあるハッチゲートのグラスエリアと横長三角シェルのクオーターピラー処理で、広い視界を確保している。
個性的なデザインを採用していたジューク。サイドビューを見るとわかるが、後席空間はあまり広くなく、前席をメインとして使うユーザー向けの設計となっていた
キックスは頭上空間が広く、ジュークと比べると後席の居住性が大幅に向上することが見て取れる。デザインはジュークよりは先鋭的ではないが、オーソドックスなスタイルで幅広そうに受け入れられるだろう
パワートレインは当初、シリーズハイブリッドである1.2Lエンジンを発電に使う、日産得意のe-POWERユニットのみを搭載する。
同ユニットは、ノートやセレナに搭載しているものをベースにしながら大幅に改良、モーター出力や制御の向上、アイドリング時のエンジン騒音低減、ワンペダル操作でのスムーズな走行性など大幅に改良している。これによって燃料経済性もかなり改善するようだ。
駆動方式は当初は2WDのみ、グレードは標準のSと本革シート、アルミホイール、タイヤのインチアップをさせるなど装備を充実させた上級のXとの2タイプ構成となる。
ジュークに積んでいた普及版の1.5LNAガソリン、スポーツバージョンの1.6Lターボ、悪路走破性を向上させた4WDバージョンは多少遅れて追加するものと思われる。
最新の安全装備を備えたパッケージや自動運転支援のプロパイロットの標準装備車も設定する。車両本体価格は275~350万円程度でトヨタ「C-HR」やホンダ「ヴェゼル」のハイブリッド車と対抗させる。月販計画は当初5000台程度で同クラスクロスオーバーSUVのトップブランド争いに参戦するものと思われる。
2020年3月には各所で販売店向けの商品説明会を実施、以降ティザーキャンペーンをスタートさせるものと思われる。4月からは価格を決め手先行予約が開始する方向でスケジュール調整をしている。日産は今後1年以内にミディアムクラスのSUVである「エクストレイル」もフルモデルチェンジする予定であり、これによって一気に同ジャンルでのトップシェア争いの盛上げを図る構えである。
日産のSUV戦略に欠かせない存在となったエクストレイル。新型登場は、キックスとともに、販売サイドとして期待の1台となっている(画像はベストカーによる予想CG)。発売は2021年上旬になる可能性もある
■起爆剤となり得るか!? 販売店のキックスへの期待度
●証言1:首都圏日産店営業担当者
2020年3月中にもメーカー主催の商品説明会を実施し、4月中旬当たりから事前の先行予約をスタートさせる方向にあると聞いている。
久し振りに収益性と販売増が見込める、本格的な新型クロスオーバーSUVなので大いに期待している。これまで各社が相次いで新型SUVを投入し、激しくシェア争いを演じているが、日産は古いモデルばかりで、とても太刀打ちできる状況ではなかった。この新型キックスを皮切りに今後は有力な新規モデルを複数発売するはずであるから、ようやく劣勢を跳ね返すことができるようになるだろう。
最近は毎日のように、ジュークを中心に既納ユーザーからの問い合わせも多くなっているので、実際に発売になれば、一気に挽回ができるようになるに違いない。
e-POWERはセレナ、ノートで実証されているように、性能の高さ、運転のし易さが周知徹底されているので、ライバル車との競争では優位になると思う。課題だったエンジンブレーキの利き過ぎやアイドリング時のうるさいのはかなり改良されていると聞いているので楽しみにしている。
ただ従来のジュークで設定していたリーズナブルな価格設定の1.5LNAガソリンやスポーツバージョンの1.6Lターボは遅れて発売になるというので、フルラインアップが出揃った時点が本格的な戦いになって行くと予想している。
●証言2:首都圏日産プリンス店営業担当者
SUVがブームやトレンドになっているのに、これまで有力なモデルがなかったので苦戦を強いられてきた。今度は戦える商品ラインアップが整えそうなので期待している。
ジュークはあまり個性的で好き嫌いがはっきりしていたので、発売当初は比較的好調に売れていたが、すぐに飽きられてしまった経緯がある。新型キックスは海外での好評のようだから、国内でもかなり売れると予想している。
ジュークよりもひと回りサイズアップして、後席や荷室スペースも広いようだから売り易い。なによりも期待が持てるのは、改良したe-POWERを搭載することだ。ノートe-POWERは今でもシリーズ全体の70%を占める人気の高さだから、これだけでもライバルに負けない売れ行きを確保できるだろう。
ライバル他社のハイブリッド並みの価格設定であれば、十分に売れ行きを伸ばすことは可能と思われる。2020年度は軽自動車のルークス、キックス、さらに数車種の新型戦略モデルが年間を通じて販売されるので、これまでの借りを一気に返せると予想している。
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