最近、長年にわたって親しまれてきたマツダ車の車名が変更されています。2019年5月には、「アクセラ」がフルモデルチェンジをおこなって「マツダ3」に変わり、7月4日には「アテンザ」が改良とグレード追加をおこなうと同時に「マツダ6」に変更すると発表されました。
日本で親しまれた「アテンザ」が「マツダ6」に車名変更(写真は北米仕様車) アテンザの発売は2002年、アクセラは2003年なので、車名はかなり浸透していましたが、2019年のタイミングで日本国内の名称を海外と同様に統合しています。
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今後も「デミオ」が「マツダ2」になるようですが、マツダはなぜ日本名を廃止して、海外での名称に統一するのでしょうか。
車名を変えた理由を開発者に尋ねると、以下のような返答が得られました。
「もともと日本国内は、『ファミリア』『カペラ』『キャロル』など、ほかのメーカーと同じく固有の車名で呼んできました。一方、海外では『MAZDA3』『MAZDA6』という具合に、数字とアルファベットで表記されています。
そして魂動デザインとスカイアクティブ技術に基づく新世代商品群の展開を開始したとき、車名の流れも変わりました。2012年に発売された先代『CX-5』は、日本・海外ともに共通の車名で、アルファベットと数字を組み合わせました。
その後に登場したSUVも、『CX-3』『CX-8』という海外と同じ表記になっています。同様の流れをセダンやハッチバックにも展開するわけです」
アルファベットと数字の表記については、次のように説明しています。
「BMWでは、メーカー名がBMWで、車名が『320i』とか『530i』ですが、マツダは少し違います。メーカー名はマツダで、車名がマツダ3とかマツダ6です。
従って“マツダのアクセラ”と同様の表記をする場合は、“マツダのマツダ3”になります。この背景には、アクセラとかアテンザという車名ではなく、あくまでもマツダというメーカー、ブランドの商品を選んでいただきたい気持ちがあります。
SUVはCX-5を筆頭に人気を高めていますから、新しい車名も浸透すると思います」
固有の車種名を用いる理由は車種をたくさんそろえることを想定していたから アルファベットと数字で表記される車名は、過去を振り返ると、BMW3/5シリーズなどの欧州車から始まりました。ひとつのメーカーが取り扱う車種の数が少ないこともあり、車種名よりもメーカーやブランドを訴求しようと考えたからです。
マツダ新型「マツダ3」 例えばメルセデス・ベンツは、1980年代に「190シリーズ」が発売される前は、主力のコンパクトメルセデス(現在のEクラス)、上級の「Sクラス」、スポーツカーの「SL」、このほかは商用車しかありませんでした。そうなるとメルセデス・ベンツ「300E」とか「450SE」と表記した方が、メーカー名やブランド名を訴求できて都合が良かったわけです。
デザインも同様で、メルセデス・ベンツやBMWは、それぞれのブランドを象徴するフロントマスク(ファミリーフェイス)を備えています。
これはクルマの選び方にも影響を与えました。「次に買うのはメルセデス・ベンツにしようかな、それともBMWかな」という迷い方はあるでしょう。しかし「次のクルマはマツダかな、それともホンダかな」というのは少ないと思います。欧州車はメーカーやブランド、日本車は車種で選ぶのが普通です。
日本車がメーカー名よりも車種ごとの個性を重視して固有の車名を訴求するのは、アメリカのGMやフォードと同様、50年以上も前から車種を大量にそろえることを想定していたからです。
マツダは、軽自動車の「キャロル」、コンパクトカーの「ファミリア」、ミドルサイズの「カペラ」、上級の「ルーチェ」、スポーティな「コスモ」や「サバンナ」というように、車種を増やしていきます。こうなるとメーカーごとの表現は難しく、車名がアルファベットと数字では分かりにくく、固有の車名が必要でした。
その一方でマツダは、早い時期から欧州での販売にも力を入れています。そこで海外では車種を抑えて、車名もファミリアが「マツダ323」、カペラは「マツダ626」、ルーチェは「マツダ929」というように、メーカー名と数字で構成しました。この流れで今のマツダ3やマツダ6があり、今後は日本国内も同様に表現するわけです。
今のマツダは、「プレマシー」や「ビアンテ」など、国内向けのミニバンを廃止しました。他メーカーから供給されるOEMの軽自動車と商用車を除くと、車種数が大幅に減っています。
しかもそのすべてが魂動デザインとスカイアクティブ技術で成り立ち、クルマの持ち味も統一させたので、車名を海外と共通化することが可能になりました。
この動向は欧州メーカーと対称的でしょう。例えばメルセデス・ベンツは、2000年以降はSUVを数多く開発するようになり、そのほかのカテゴリーも増えました。それなのに車名は以前と同じアルファベットと数字の組み合わせなので、表現が繁雑になっています。「CLA」「GLA」「GLC」「CLS」「SLC」と並ぶと、よほどのファンでない限り、すぐには外観が思い浮かばないでしょう。
海外で「MX-5」と呼ばれている「ロードスター」も統一されるのか!? マツダの車名統一で気になるのは、「ロードスター」をどうするかという点です。ロードスターの海外の名称は基本的には「MX-5」ですが、北米では「MX-5ミアータ」と呼ばれています。
歴代「ロードスター」 ロードスターの場合、日本では過去の歴代モデルに、それぞれファンがいることも特徴です。
記者会見でマツダの福原和幸常務執行役員は、「ロードスターは国内の愛称で、マツダの財産ともいえます。車名を海外と統合せずにそのまま残します」というコメントを発表していますが、仮にそうなると戦略に矛盾が生じます。
アクセラをマツダ3に変えた時に開発者は、「新型マツダ3は、従来のアクセラとはプラットフォームが異なり、新開発エンジンのスカイアクティブXも搭載しています。魂動デザインも進化したので、車名の変更に相応しいモデルチェンジだと判断しました」とコメントしています。
表現を変えれば「国内ではアクセラの生産を終えて、新規車種のマツダ3を投入した」ことになるのでしょう。
しかし、アテンザがマツダ6に変更したのは、マツダ3のようなフルモデルチェンジではなく、2012年に発売されたアテンザのマイナーチェンジというタイミングです。車名の変更に相応しいモデルチェンジとはいえず、おそらくアテンザは当分の間フルモデルチェンジしないため、小規模な変更でも車名を変えたと思われます。
このあたりをマツダの販売店スタッフに尋ねてみました。
「アクセラの車名をマツダ3に変えたのには驚きましたが、フルモデルチェンジしてクルマが大幅に良くなるのであれば、車名を変えてもまったく問題ありません。ニューモデルとして、新しいお客様を迎えられるからです。
しかし、アテンザのようにクルマの中身があまり変わらない場合は、親しみやすさが薄れ、車名の変更が裏目に出ることがあるかも知れません」と指摘します。
他社の例では、日産「スカイライン」は現行型になったときに、「日産」のエンブレムを海外と同じ「インフィニティ」に変えました。日本では日産ブランドのスカイラインがインフィニティのエンブレムを掲げるという妙なことになっていましたが、今後の変更で日産のエンブレムに戻すようです。
※ ※ ※
クルマの使われ方は、国や地域によってさまざまなので、同じ車種でも受け取られ方が違います。ピックアップトラックをファミリーカーとして使う地域もあります。
クルマの名前やエンブレムは、商品の表現ですから、国や地域によって異なっても構わないでしょう。大切なのは、その国や地域で喜ばれる商品を、相応しい車名で販売することです。
顧客を思う気持ちに素直になれば、車名やデザインがグローバルでも、あるいはローカルでも、支持されるのではないかと思います。
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