2023年6月21日に待望の新型が発表されたトヨタのラージミニバン「アルファード/ヴェルファイア」。ライバル不在といっていい唯一無二の存在感と人気で、いまや高級ミニバンとしてだけでなく、高級車市場も牽引する存在だ。
ただ、日産もホンダも、エルグランドやオデッセイで、アルファード/ヴェルファイアのマネをしようと思ったらできたはず。なぜマネをしなかったのだろうか。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、NISSAN
デビューするやいなや、エルグランドが築いた市場をかっさらった、アルファード
「高級ミニバン」という市場を開拓したのは、アルファードではなく、日産のエルグランドだ。1997年に登場した初代エルグランドは、「大人数を乗せて快適に移動する空間」というコンセプトがヒットし、飛ぶように売れた。その後2002年に2代目エルグランドが登場するタイミングで、初代アルファードがデビュー。FFベースのプラットフォームで広い室内空間にしたことと、リーズナブルな2.4Lエンジン搭載車の設定で燃費面でも有利であったことから、アルファードはエルグランドを抜き、あっという間に市場トップの座を獲得した。
アルファードのデビュー初年度(2002年)の販売台数は5万3428台、対してライバルのエルグランドは4万439台。ここからアルファードは、翌2003年に追加したハイブリッドモデルによって人気がさらに加速、エルグランドの倍以上となる販売台数8万1,647台を記録した。アルファードはデビューから現在まで、一度もエルグランドの追随を許していないのだ。なお、直近2022年の統計では、アルファード6万225台(ハイブリッドを含む)、エルグランド2,214台と桁違いの差となっている。
一方のホンダは、2013年に登場した5代目ホンダ オデッセイで、アルファードを猛追。デビュー翌年の2014年こそ3万2,749台とモデル末期であった2代目アルファードの2万5,863台を上回ったが、その後フルモデルチェンジを果たしたアルファードの勢いを止めることはできず、それ以降は登録台数を徐々に減らし、2022年には年間5000台程度にまで落ち込んだ。
2002年発売の初代アルファード。FFベースのプラットフォームで室内は広く、全高のある堂々としたフォルムと贅沢な内外装ディテールで贅沢な雰囲気を醸し出す
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自動車メーカーとして、走りを二の次にできなかった
アルファードは初代から「堂々とした存在感と豪華な雰囲気」が魅力のモデル。大型グリルやリアガーニッシュ、たっぷりと贅沢に使った木目調パネルなど、日本人の好みに合わせた内外装作りが実にうまく、広いパネル構成を存分に生かした高級感が歴代モデルで表現されている。モデルチェンジのたびに時代に合わせた洗練度と存在感が増していき、先代の3代目からはさらに「威圧感」も加わり、アルファードのアイデンティティとなった。
ライバルはというと、エルグランドは、2代目までのFRベースのシャシーをやめ、現行3代目ではFFベースに。低床化によって全高を抑え、スポーティでモダンなスタイリングを目指すためだったが、低全高となったことで、威圧感に欠けることに。オデッセイも、(5代目以降の高級ミニバン市場へと路線変更を狙ったモデルで)「徹底した低床化とホンダらしさ」を全面に強調した結果、「わかりやすい高級感」が不足してしまった。
エルグランドもオデッセイも、ラージミニバンなのに走りがよいとか、ラーミニバンなのに乗り降りが楽で使い勝手がよい、というメリットでアルファードとの差別化を図ろうとしたが、アルファードが体現する「日本人独特の美意識」と、「背の高さからくる優越感やプレステージ性」に勝つことはできなかったのだ。
日産とホンダが、アルファードと同じサイズ感を目指していれば、いまのアルファードの一人勝ち状態はなかったかもしれないが、走りにこだわりのある両社は、走りを二の次にすることができなかったのだろう。大型ミニバンでは実現が難しいセダン並みのハンドリングまで詰め込むことにより、自滅したかたちとなってしまった。実際、先代の30系アルファードの走りは、コーナーをキビキビ走るようなものではないものの、ゆったり大らかかつ、直進安定性も合格点のレベルにあったため、アルファードを求めるお客様にとっては、それで十分満足いくものだったのだ。
日産エルグランドの現行モデル。2014年に実施されたマイナーチェンジで「オラオラ系」になるべく巨大グリルが採用されたが、効果はあまり出ず
5代目オデッセイの前期モデル。4代目まで続けてきた背低ミニバンから一転、後席スライドドアの採用と、エスティマ並のサイズ感のミニバンとなった
さらに昇華した「堂々優雅な世界観」は、新型アル/ヴェル最大の長所
新型アルファードは、迫力のあるフロントマスクに、躍動感のあるサイドのプレスライン、リアバンパーに向かってのボリュームたっぷりな造形など、先代よりもさらに力強く、積極的な動きのある表現でありながら、凜とした上品な静かな穏やかさも感じられる。このボディサイズとパッケージングだからこそできることだ。
新型アルファードのエクステリアデザインを担当した、トヨタ車体 デザイン部 デザイン戦略企画室の横井聡氏によると、アルファード/ヴェルファイアが歴代築き上げてきたのは「日本独自の堂々優雅な世界観」だそう。確かに、新型アルファードのデザインをずっと眺めていると、「ミニバン」を見ているというより、「豪華な建造物」を見ているかのような感覚にさえなってくる。
ユーザーがアルファードに求める「日本人独特の美意識」と「背の高さからくる優越感やプレステージ性」をしっかりと捉えて、その期待を上回る仕上がりを実現させている。間違いなく、新型アルファードも憧れの高級車というポジションを獲得するだろう。
新型アルファード。今作も間違いなく、所有欲を満たしてくれるラージミニバンだ
◆ ◆ ◆
アルファード最大の強みは、その大きなボディサイズいっぱいに表現した優雅で堂々とした世界観だ。操縦安定性が不利になるというデメリットを受けようとも、その世界観というメリットが上回るのは、アルファードの他に見当たらない。まさにライバル不在、唯一無二の存在といえるだろう。
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みんなのコメント
>アルファードが体現する「日本人独特の美意識」と、「背の高さからくる優越感やプレステージ性」に勝つことはできなかったのだ。
これが現実なんだろう。
ベンツではなくBMWを買うように私の「威圧感」や「優越感」をクルマに求めない感覚は日本人に多い感覚と違う事を実感するよ。
エルグランドは当初シートはアルファードとかよりも良く、乗せてもらうのは大好きだったんだけどな。