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メルセデスのピュアEV「EQC」 その走りはテスラ「モデルS」などのSUVとどう違う?【試乗】

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メルセデスのピュアEV「EQC」 その走りはテスラ「モデルS」などのSUVとどう違う?【試乗】

■満充電で400km走行可能! 0-100km/h加速5.1秒の俊足ピュアEV

 2019年7月にメルセデス・ベンツのブランドとして初の100%電気自動車、「EQC」が日本でも発売された。

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 これまでスマートのEVや、ドイツ本国には「Bクラス」のEVもあったが、EQCはメルセデス・ベンツのEVに向かう新たなフェーズのスタートになる。それはネーミングにも表れていて、「EQ」というのがメルセデス・ベンツの電動化を意味する新しい記号、「C」はCクラスの意味になる。

 EQCのプラットフォームは、DセグメントSUVの「GLC」がベースになっている。EQCのボディサイズは全長4761mm×全幅1884mm全高1623mmで、全長が少し長い程度でほぼGLCと同じとなる。

もちろん、ガソリン車とEVでは搭載するパーツが大きく変わるので、EQC向けにアレンジが施されている。

 ボンネットを開けると、エンジンの代わりにエレクトリックドライブモジュールが搭載されていて、この周りをサブフレームが囲んでいるのが見える。これにより、パッシブセーフティ性能を引き上げ、ガソリン車並みになっているそうだ。

 客室のフロア下には80kWhという大容量のリチウムイオンバッテリーが搭載されている。

 一般家庭で使う1カ月分の電気量は約400kWhくらいなので、計算するとこれはおよそ6日分の量となる。

 これにより、2495kgという車両重量でも400km(WLTCモード)の航続距離を誇る。充電は、家庭用電源でおこなう「200V」(リヤバンパー右端)と急速充電の「CHAdeMO」(右リアフェンダー)の2つの方法が可能だ。

 前後軸にそれぞれ同じモーターが配置されている4マティック(4輪駆動)で、最高出力は300kW(408馬力)、最大トルクは765Nmを発生。最高速は180km/hに制限されるものの、0-100km/h加速は5.1秒と俊足を誇る。回生による発電は前後2つのモーターで可能となっている。

 加速やコーナリングなどの状況に応じたドライバビリティを得られるように、前後のモーターに最適なトルク配分する協調制御をおこなっているのも特徴だ。通常走行の負荷がないときはFWDだが、トラクション重視あるいは曲がることを重視するときはリアに多く配分し、安定性重視ならフロントに多く配分する4WDで走る。電気モーターなのでスムーズで素早い制御が可能となる。

 タイヤは前235/50R20、後255/45R20というサイズで、試乗車は最新のミシュランパイロットスポーツ4 SUVを履いていた。これは乗り心地、ドライグリップ、ウエットグリップ、ハイドロプレーン性能に優れたタイヤだが、とくにEV用にふさわしく静粛性も優れたタイヤとなる。標準ホイールは5本スポークの間に青色のスポークを配置し、EVのイメージを強調している。

■操作方法もその走り味も、メルセデスらしさを極めている

 今回試乗できたのはスタンダードモデル「EQC400 4MATIC」だったが、特別仕様車の「エディション1886」には放射状の細かい模様の専用ホイールが組み込まれている。

 エクステリアデザインは、どこを見ても角が丸く、ヌメッとした印象で全体がひとつの塊に見える。それでもフロントグリルの真ん中にスリーポインテッドスターが鎮座することで、誰もが即座にメルセデス・ベンツのSUVと認識できる。

 最近のメルセデス・ベンツ車ではおなじみとなっているが、MBUX(MercedesーBenz User Experience)と呼ぶ、音声認識アシスタントで操作できるインフォテインメントも装備されている。

 これはもちろんEV用にモディファイされて、航続距離、充電状況、エネルギーフローなどの情報が得られ、充電時間や出発時刻に合わせた空調などの設定もできるようになっている。

 EQCに乗り込んで走り出すまでの操作は、他のメルセデス・ベンツのモデルと何ひとつ変わるところはない。もし日常的にメルセデス・ベンツに乗っているのなら、EVということをまったく気にすることなく、何のコクピットドリルも不要でそのまま乗ることができるはずだ。

 シートポジションを合わせて、ハンドルとミラーの位置も合わせて、シートベルトをして、ブレーキペダルを踏みながら左手でスタートボタンを押し、右手でセレクターを下に下げればDレンジに入って、アクセルペダルを踏めば走り出す。

 もしかすると、助手席に座る奥さまはこのクルマがEVだとは気づかずに「あらっ、今度のクルマはずいぶん静かになったのね」とつぶやくかもしれない。それほどまでに、EQCはメルセデスらしさを追求している。

 エンジンがないことから、当然吸気音や排気音、エンジンの回転音もない。ピュアEVだが、インバータの音もほとんど聞こええてこない。

 さらにスピードを上げていっても、風切り音もタイヤのパターンノイズ/ロードノイズも最小限に抑えられていて、今のメルセデス・ベンツのラインナップのなかで、静けさではトップランクのモデルといえる。

 ただ運転の仕方でほかのメルセデス・ベンツ車と違っているのは、パドルシフトの使い方だろう。

 トランスミッションがないので、もちろんシフトダウンもアップもできないのだが、アクセルペダルを戻したときの回生の強さを、パドルによって変更できる。通常は「D」になっていて最大減速力が0.6m/s2だ。

 左側のパドルを一度引くと「D-」になり、1.7m/s2でブレーキランプが点灯する程度の減速力になる。

 さらに左パドルを引くと「D–」になり、2.5m/s2という高速道路の本線上の料金所に向かってスピードダウンするくらいの強めの減速力が出る。

 このように、ワンペダルドライビングができそうな回生ブレーキだが、停止までは制御しないのとクリープは働くので、最後はブレーキペダルを使って止まらなくてはならない。こういう点でも、EQCというEVを特殊なクルマ扱いせず、これまでのメルセデス・ベンツと変わらない走りと運転の仕方を目指しているのがわかる。

ブレーキペダルの感触はダイレクトな感触ではなく、強いスプリングを介して押すような感じが、通常のエンジン付きメルセデス・ベンツモデルとは違う点となる。

このように静かで滑らかなEQCの走り味は、EVテイストを丸出しにした未来感ある走りのテスラ「モデルS」や、スポーティな走りを売りにしたジャガー「Iペイス」などともまったく異なっている。上級なメルセデス・ベンツの乗り味をEVで味わえるように仕立てたのがEQCといえる。

試乗車:Mercedes-Benz EQC400 4MATIC

●車両本体価格(消費税込):1080万円

・全長:4770mm
・全幅:1925mm
・全高:1625mm
・ホイールベース:2875mm
・モーター最高出力:408馬力/4160rpm
・モーター最大トルク:765Nm/0-3560rpm
・バッテリー容量:80kWh
・トランスミッション:1速固定式
・駆動方式:4WD
・一充電走行距離(WLTCモード):400km
・ブレーキ前/後:Vディスク/Vディスク
・タイヤ:235/50R20(前)255/45R20(後)

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