現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 走りながら「CO2」を回収するトヨタ「カローラ」登場! 水素エンジン進化と新たな挑戦! S耐最終戦での挑戦とは

ここから本文です

走りながら「CO2」を回収するトヨタ「カローラ」登場! 水素エンジン進化と新たな挑戦! S耐最終戦での挑戦とは

掲載 9
走りながら「CO2」を回収するトヨタ「カローラ」登場! 水素エンジン進化と新たな挑戦! S耐最終戦での挑戦とは

■走りながら「CO2」を回収するトヨタ「水素エンジンカローラ」とは

 2023年11月11日にトヨタは、スーパー耐久シリーズ2023の最終戦に参戦。

【画像】えっ…! 新「レクサスLX」初公開! トヨタが披露した車両や技術を画像で見る!(28枚)

 従来から開発を進めている液体水素で走行する「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(以下水素エンジンカローラ)はどのような進化を遂げたのでしょうか。

 水素エンジンカローラは、これまで気体の水素、そして液体の水素と燃料の性質を変えつつ、水素社会の実現に取り組んでいます。

 液体水素を燃料とする水素エンジンカローラは、2023年5月の24時間レースで初参戦しました。

 そうした中で今回の水素エンジンカローラについて、TOYOTA GAZOO Racingの高橋智也プレジデントは次のように話しています。

「前回参戦したオートポリスから約3か月の間に大幅の進化を遂げています。

 これはエンジニアだけじゃなく、多くの仲間がいるからの進化出来ました。

 今回は『エンジン性能』『航続距離』『車両車重』『CO2回収』と大きく4つのカイゼンを行っています」

 エンジン性能について、基本的に高出力実現のためには液体水素ポンプが安定して高い燃料圧力を発生させる必要があります。

 その課題であった液体水素ポンプの昇圧性能と耐久性の向上により、今回の最終戦でガソリンエンジンおよび気体水素搭載時と同等レベルの出力を実現したと言います。

 航続距離では、給水素時満タン判定の精度向上、タンク内への入熱低減によりボイルオフガス量の低減、アクセルが全開ではない時の燃料噴射量最適化などの改良を行ったと言います。

 この部分について水素プロジェクトを統括する伊東直昭氏は「2023年5月に行われた富士24時間レースでは、1回の給水素で走行できる最大の周回数が16周でしたが、今回では20周を目標としてレースに挑みたいと思います」と語っています。

 車両重量には、安全安心第一の軸は変えず、これまでの走行で培った知見を活かしてカイゼンしています。

 その中で軽量化できる部品を特定し、厚さや数の調整等による軽量化を実現。

 特にタンクを作り直し、外板厚を法規に沿って薄くしたこと。安全弁・ボイルオフガス弁、ロールケージ、高圧部水素系部品などを軽量化したことでオートポリス時と比べて1910kgから50kgの軽量化となる1860kgとなっています。

 車両重量のカイゼンについて前出の高橋氏は「車重は後続距離向上だけでなく、ドライバーのタイムやサスペンションへの影響など全体的に良い効果が出ています」と話しています。

 CO2回収については、車両や工場から排出されるCO2を減らすだけでなく、大気中のCO2も回収していくことがカーボンニュートラル実現のために必要です。

 今回の水素エンジンカローラでは、内燃機関が持つ「大気を大量に吸気する特徴」と「燃焼により発生する熱」を活用し、CO2回収装置をエンジンルームに装着し、大気中のCO2を回収する挑戦を試験的に行います。

 具体的には、エアクリーナー入口にCO2を吸着する装置とエンジンオイルの熱によってCO2を脱離する装置を設置。

 熱により脱離したCO2は吸着溶液で満たされた小型タンクに回収されます。

 なおCO2の吸着・脱離・回収には、川崎重工業が開発した「従来よりも低温でCO2脱離できる吸着剤」を塗着させたフィルターを使用してCO2の回収効率を上げているようです。

 なお前出の伊東氏は「今回のCO2は気体として回収し、タンク内の水に取り込む仕組みとなり、現在ではサーキットを1周走行すると20gを回収しています」と話しています。

 また前出の高橋氏は「今回のCO2回収技術への挑戦はあくまでも最初の一歩なので、今後進めていくことでトヨタだけでなく様々な仲間が集まり、大きなプロジェクトにしていきたいと思います」と話しています。

※ ※ ※

 なお、今回「水素エンジンハイエースの走行実証」をオーストラリアで開始したことも合わせて発表されました。

 スーパー耐久シリーズへの参戦を通して鍛え続けている水素エンジン技術を将来の実用化に向けてさらに鍛えるため、水素エンジンを商用ハイエースに搭載。

 建設会社、警備会社の運行による走行実証を2023年10月23日から2024年1月の約4か月間にオーストラリアのメルボルン近郊の公道で行う計画です。

こんな記事も読まれています

一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
一般車両侵入でSS12中止のラリージャパン、主催者に約800万円の罰金! 執行猶予付き1600万円の追加罰金も
motorsport.com 日本版
日本に世界が注目!? 公道激走バトルの「ラリー」開催! 3年目の「ラリージャパン」どんな感じ? トヨタ会長が語る
日本に世界が注目!? 公道激走バトルの「ラリー」開催! 3年目の「ラリージャパン」どんな感じ? トヨタ会長が語る
くるまのニュース
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
新型3列シート電動SUV『アイオニック9』正式発表、充電中は4人が広々休憩も…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
全国に「警察軽トラ」配備へ なぜ? 警察庁初の取り組み、理由は? ダイハツ製61台を24年度中に導入! 各都道府県警察で運用
くるまのニュース
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
転倒時にバイクを守る! エンジンガードは装着した方がいいのか?
バイクのニュース
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
『ランクル40 / 70』にもピッタリ! トーヨータイヤ『OPEN COUNTRY A/T III』がラインアップ拡充
レスポンス
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
寒いとバカっ速! ラスベガスで完勝ワンツーのメルセデス、懸念のグレイニングも一切出ず「不思議だね」とウルフ代表
motorsport.com 日本版
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
約99万円! トヨタ新型「“軽”セダン」発表! 全長3.4m級ボディで4人乗れる! 安全性向上&寒さ対策UPの「ピクシス エポック」どんな人が買う?
くるまのニュース
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
夢だけで終わらせたくない「マイ・バイクガレージ」 たぐちかつみ・マイガレージ回顧録 VOL.01
バイクのニュース
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
「(次期)セリカ、作ります!」ラリージャパン会場でトヨタ中嶋副社長が明言!! 開発開始を宣言、次期86も「出す」
ベストカーWeb
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
WEB CARTOP
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
車載電池のノースボルト、米国で破産法を申請 事業継続にめど
日刊自動車新聞
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
【初試乗!】さらにスポーティになった「メルセデスAMG GT 63 PRO」はポルシェとのGT対決に終止符を打てるか!?
AutoBild Japan
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
レクサス新型「FF最大・最上級セダン」世界初公開に大反響! めちゃ“斬新グリル”&一文字ライト採用! “6年ぶり”に内外装刷新の「ES」中国に登場!
くるまのニュース
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
20年前の個体なのに走行距離301キロ!? 555台の限定車 BMWアルピナ「ロードスターV8」がオークションに登場 極上車の気になる予想価格とは
VAGUE
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
完璧なシーズンでも届かない、王者の背中。ノリス「たとえミスがなかったとしてもタイトルを手にできたかどうか……」
motorsport.com 日本版
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
苦手な「前向き駐車」なぜコンビニで推奨されるのか? 「もちろんやってる」「出る時が怖い…」賛否あり!? バック駐車じゃない理由への反響は?
くるまのニュース
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
今でも現役! いろんなバイクに採用されています。「SOHC」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース

みんなのコメント

9件
  • mid********
    こっちの方がEVより技術的にすごいよな
    頑張れTOYOTA!
  • ymo********
    改良で軽くなったとは言え、まだ市販のカローラスポーツより500kgも重い
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

903.0987.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.0435.0万円

中古車を検索
プレジデントの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

903.0987.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.0435.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村