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三菱渾身のSUVは“電気”で勝負! エクリプス クロスPHEV試乗記

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三菱渾身のSUVは“電気”で勝負! エクリプス クロスPHEV試乗記

三菱自動車のコンパクトSUVの「エクリプス クロス」にPHEV(プラグ・イン・ハイブリッド)モデルが追加される。ひと足はやくプロトタイプに試乗した小川フミオの評価は?

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三菱自動車がさきごろエクリプス クロスPHEVのプロトタイプのジャーナリスト向け試乗会を開催した。10月初旬のことで、シームレス(継ぎ目のない)なパワー感は、すこし先の実車の登場が待ち遠しくなる完成度である。

モーター駆動車は、いちど乗ると、病みつきになる。アクセラレーターに載せた右足の力かげんで、ドライバーの感覚にぴったり合う加減速のフィーリングを得られるのが、最大の特徴なのだ。

Hiromitsu Yasuiプラグ・イン・ハイブリッド(PHEVともPHVともいわれる)も、エンジンを使うとはいえ、モーターがカバーする領域が広いおかげで、電気自動車なみに、ごく低速域から、強い力で引っ張られたみたいな加速を堪能できる。

昨今、車種が増えてきているジャンルだ。日本ではトヨタやホンダ、海外では、メルセデス・ベンツ、BMW、ボルボが日本市場に車種を投入している。ちなみに三菱が「アウトランダーPHEV」を発表したのは2013年と早い。

Hiromitsu Yasui三菱のセリングポイントは、こつこつと蓄積してきた技術と、それに組み合わせたフルタイム4WDシステムだ。もうひとつあるとしたら、(おそらく)価格の有利性。

エクリプスクロス PHEVは、まだ発売される前であるので、あくまで仮の話と前置きしつつ、三菱自動車の広報は下記のように言う。「トヨタでいえば、『RAV4ハイブリッド』(334.3万円~)と同等の価格帯を狙っています」。つまり、RAV4 PHV(469万円~)よりはだいぶ価格を抑えるのだ。

(追記:2020年10月15日に三菱自動車は受注を開始。価格は約385万円から450万円と発表した)

Hiromitsu Yasui現時点では市販車の詳細こそ不明であるものの、アウトランダーPHEVのシステムを使うということなので、おそらく2359cc4気筒ガソリンエンジン(94kW/128ps)に、フロント60kWとリア70kWのモーターの組み合わせが基本になるだろう。

プラグ・イン・ハイブリッドの優位性

今回はプロトタイプの段階だし、乗れたのは短いサーキットコースだし、試乗時間がごく限られていたので(なんと10分のみ)、断定的なことがかけないのは残念。それでも、印象はよかった、といえる。

なにより、フットワークが軽い。発進時はフロント137Nm、リア195Nmもの最大トルクを出すモーターのおかげで、地面を強く蹴るように飛び出す。パワフルなBEV(バッテリー駆動のEV)と同様、ブレーキを踏み、そこからアクセラレーターを再度踏み込むようなときも、力が途切れることはない。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasui内燃機関(純粋なガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車)のクルマは、変速制御によって、トルクが落ち込まないようにギアを変えていく。その必要がないのは、まさにモーターを使うメリットだ。小さなコーナーが連続するような道では、とくに”いいなぁ”と思えるはずだ。

プラグ・イン・ハイブリッドは、通常のハイブリッドよりメリットが多い。外部充電可能な大容量のバッテリーを搭載するためモーターのみでの走行距離が長くなり、同時に高出力の電気モーターを組み合わせられるため、パワフルな走りが楽しめる。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui日本では1997年の初代プリウスいらい、ハイブリッドが環境対策車の主流で、プラグ・イン・ハイブリッドが出てきたのは最近だ。プラグ・イン・ハイブリッドのデメリットは価格が高くなることなので、二の足を踏むメーカーが多かったのである。

欧州ではしかし、ハイブリッドをすっとばして、プラグ・イン・ハイブリッドが最近多く登場した。理由は、より効率的に燃料消費が抑えられるためだ。年々きびしくなる欧州委員会によるCO2排出量規制などをクリアするためには、ピュアEVとしても使えるプラグ・イン・ハイブリッドが必要なのである。

三菱自動車も、2020年7月27日に発表した中期経営企画で、国内事業は「プラグ・イン・ハイブリッドを軸とした環境車販売強化」を挙げている。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiスポーツクーペを操縦しているような感覚

つまらないクルマだったら、環境対策の笛を吹いても、消費者は踊ってくれない。その点、エクリプス クロスPHEVは、前後のモーターで駆動力を制御する「ツインモーター4WD」により、加速もよいうえに、コーナリング性能もかなり高い。独自の楽しさを持っているといえる。

かんたんな言葉でいうと、小さなコーナーを、おもしろいように、くいくいと曲がってくれるのだ。すぐれた操縦性を実現しているのは、上記の駆動力制御にくわえ、三菱自動車が「S-AWC」と呼ぶ技術によるものと説明される。

S-AWC(Super All-Wheel Control)は、電子制御4WDをベースに開発された独自のシステムだ。アクティブヨーコントロール、ASC(アクティブスタビリティコントロール)、そしてABS(アンチロックブレーキ)によって、ブレーキを統合制御。制動のみならず、コーナリング時の姿勢安定などをはかる。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiちなみにエクリプス クロスPHEVのシステムは、EV走行モード、エンジンがバッテリーへの給電のためだけに動くシリーズ走行モード、そしてエンジンとモーターが同時に駆動力を発生するパラレル走行モードからなる。これはアウトランダーPHEVと同様だ。

テストコースを走った日は、あいにく小雨。路面が濡れている状態の場合、ドライブモードで「ターマック」(舗装路面)を選ぶと、転がり抵抗を減らしたエコタイヤが、トルクに負けてしまうほどだ。ステアリング・ホイールを切り込み、少し多めにアクセルペダルを踏み込むと、姿勢が乱れる。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiターマックとラリー用語を使うだけあって、このモードはあえて後輪に多めのトルクを配分し、“走る楽しさ”を追求したモードだ。他社の用語でいうと、「トラック(サーキット)」とか「スポーツプラス」に相当するだろう。

このモードにすると、ドライな路面での静止から5mまでの加速は、「ランサーエボリューションX」よりも速いという。

Hiromitsu YasuiHiromitsu Yasui雨のなかを安全に走りたいのであれば「ノーマル」か「グラベル」(これもラリー用語)といった、駆動力が抑えられるドライブモードがよい。ターマックのときのように路面を蹴っていくような感覚はなくなるものの、それでも十分な加速感はあるし、コーナリング時の姿勢も安定している。

そもそもエクリプス クロスはガソリン仕様でも、コーナリングが楽しい仕立てだった。クルマのノーズがすっとカーブの内側に入っていき、同時に姿勢は安定。それゆえ、カーブからの脱出時の加速も無理なくおこなえた。

Hiromitsu YasuiHiromitsu YasuiHiromitsu Yasuiエクリプス クロスPHEVはその長所を受け継いだのにくわえ、アウトランダーPHEVで蓄積してきたノウハウをしっかり活かしているのだろう。スタイリングはセダンよりすこし背が高い(全高1.65mていど)クロスオーバー型であるものの、スポーツクーペを操縦しているような感覚だ。

三菱自動車では、エクリプス クロスPHEVをして、アウトランダーPHEVと、従来手がけてきた「パジェロ」やランサーエボリューションといったスポーティな4WD車のDNAが合体したモデルとする。

Hiromitsu Yasuiそういえば、EVとしての性能について書くのを忘れていた。三菱自動車では、参考としておなじパワーシステムを持つアウトランダーPHEV(13.8kWhのバッテリー搭載)のEV走行可能距離が57.6km(WLTC)であること、そして、200ボルトの普通充電で、約4.5時間で満充電となり、急速充電にも対応していることを明らかにしている。おそらくエクリプス クロスPHEVもこの数値に近くなるのだろう。

販売開始は2020年12月ともいわれているので、市販車がどのように仕上がるかを楽しみにしよう。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

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