日産リーフに追加されたグレード「e+」に公道で乗る機会を得た。ノーマルリーフに比べて高機能版であることは先刻承知、実際にどれくらいのパフォーマンスなのかを計測してみた。
「シートバックに押し付けられるような強烈な加速」とは時折見かける表現だが、イメージは伝わるもののいかにも漠然としている。というわけで何か数値で伝えられないかと思い、G-Bowlアプリを使って測ってみた。停車状態からフル加速して計測すると、以下のような結果が現れた。
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Dレンジ:最大加速度0.46G、最大加加速度0.56G/S
Bレンジ:最大加速度0.46G、最大加加速度0.63G/S
実はお借りしたクルマの空気圧が高いことがわかっていて(250kPa指定のところ310kPa充填状態)、念のため指定空気圧に戻して同じように計測してみた。
Dレンジ@250kPa:最大加速度0.47G、最大加加速度0.63G/S
Bレンジ@250kPa:最大加速度0.47G、最大加加速度0.60G/S
ご存じBレンジはアクセルオフの減速度を強める制御走行モードだが、こうしてみると加速時には大きな違いは見受けられなかった。しかしいずれにせよ、最大加速度0.47G、最大加加速度0.63G/Sというのは結構な値である。日産がゼロ発進対決でリーフとスポーツカーを比べるテレビCMを打つ理由もうなずける。
いっぽうでe-Pedalの減速制御ではどのような数値を示すのか。同じようにG-Bowlアプリで測ってみた。e-Pedalをオンにして、停車位置を見定めてふんわりとペダルを抜いていくとき、何も考えずにいきなりオフにするときの2種を計測したのが下の結果だ。
ふんわり:最大加速度(減速度)0.23G、最大加加速度0.25G/S
いきなり:最大加速度(減速度)0.58G、最大加加速度0.81G/s
日産のe-Pedalの説明によれば「アクセルペダルを戻すとブレーキペダルを踏んだ場合と同等の減速感(最大0.2G)を発生。精確なモーター制御により坂道での減速もスムーズ」とあり、おそらくこれは日常でのペダル操作についての言及だろうから、上記の0.23G@ふんわりにも通じる。
ぜひ、e+のみならず40kWh仕様車(つまりノーマル)でも同じように計測してみたかったのだが——今回の試乗会では用意がなかった。ご参考に、広報I(アイ)氏によれば、絶対馬力ではe+が勝るものの40kWh車は車重の軽さが幸いし、ゼロスタートでの発進ではむしろ勝るシーンもあるという。ぜひ、ノートe-Powerも含めて(なんならNISMO Sも含めて)挑戦してみたい。
62kWhパックのテクノロジー
リーフe+の技術的トピックといえば、62kWhまで増量したバッテリー容量。すでにあちこちで報告されているとおり、セル数を288としたことで実現した数字である。
試乗会後に、あらためてバッテリーのお話を聞くことができた。
パックにおけるセル数・192/288という数字は、96という数字をベースに組み立てられているという。つまり、直列セル数96=350Vという電圧値だ。
日産はハイパーミニとティーノハイブリッド(ともに2000年)の時代から、システム電圧を変更していない。さらに言えば、オートモーティブ・エナジー・サプライ社から調達するラミネート型リチウムイオンセルの電圧が変わっていないということとも同義である。
システム電圧を350V固定とすることで、開発時の変動要素を抑え、モーター/インバータの開発にも効率化が図れる。今回のe+の登場に際しても、モーターはEM57型を継続使用、インバータも最高出力時の効率向上を図るための熱損失低減制御などは盛り込んでいるものの、ハードウェア改変としては最小限に抑えている。
つまり、62kWh仕様を仕立てるためには288セルという数字は不可避、次なるステップは96×4=384という数字が現れるということだろう。
しかし192セルの筐体にさらに96を詰め込むというのは相当な難儀である。それゆえ、レーザ溶接を用いるフレキシブルモジュール生産方式が考案された。レーザ溶接を完遂するためには相当な寸法精度が必要。しかしバッテリーセルの電極タブは柔らかい合金である。それをどのようにしてバスバーと確実に接合するのか。
「タブを丸めてバスバーに押し当てているんです。裏側からスキャンして確実な接触を確認し、その後レーザを照射して接合します」
なるほど。確かにそうすれば確実な接触とすることができる。プレゼンテーションで公開した工法で二度の照射をしているのが気になったが、前段はインスペクション/後段はウェルドということをしていたというわけだ。
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